FISH
ダイニング部間借りから、栄転!
「ほぼ日」
たのしい釣りくるしい釣り。

ダイニング部のページへ。

「ダイニング部長がついに、食材の調達に行く!」
しかも築地市場ならぬ、
天然漁場へっていうんだから驚きだあ。
「自分で採ったものを料理して食う」。
料理人というか、人間にとって、
こんな贅沢なことはないけれど、
ちゃらちゃらしているようにも見えるが、
こころに料理人魂が息づいているってわけ。
見上げた決心だ!

中継のない日に、
ほぼ毎日うまいものを食べさせてもらっている
新人モモンガ部長(由来は不明)が、
いたくその心意気に感動し、
「釣り、いや、海に関しちゃ、
昔取ったキネヅカがある。ほれ、ここに!」
いや、それは杵柄じゃなくて釣り竿だろう?!
とばかりに、同行を懇願した。
それが今回の釣り取材である。

何でも外房の波しぶきザアザア、
船はまるで木の葉のように踊り狂う外海でも、
ミヨシ(船の先端)に陣取り、ヒラメやブリに対峙する。
三半規管が人より鈍いのか、強いのか
絶対に船だけには酔わない! と自負する男
海仁の兄貴も一目おく、
モモンガ部長がみなさんをめくるめく海の世界へ
お連れしま〜すというわけです。
ちょっと装飾過多だなぁ、今日のオイラの文章。

さて、今回向かう先は、
東京都羽田から出船の
『ボートスタッフ(アングラーズスタッフ』さん。
海のルアーフィッシング、
特にシーバス(スズキ)フィッシングに力を入れ、
知らない人どうしが乗るいわゆる乗合船ではなく、
数人の仲間で集まって船を貸し切る仕立船を
専門にやっている。
料金もリーズナブルで5人で行けば1人頭6000円。
タックルさえ持参すれば、気兼ねなく、
ソルトウオーターフィッシングを満喫できてしまうのだ。

今回、新人のモモンガだけではあまりに心もとないと
判断した我が編集部は、多くの手練をメンバーとして
同行させてくれたのでありました。
メンバーは以下のとおりである。

イトイdarlingさん。
「食えるのか、食えないのか、
 それが肝心であります」。

金沢セイヒローさん
「シーバスがなんぼじゃ! バスの魅力には勝て・・・
 食べるんですか? それなら勝ちます」。

齋藤海仁さん
「任せてください!」

うさぎ公団の斎藤さん
「たのしーーーーーーーーーっい!」。

まず、今回シーバス(スズキ)という魚を
ねらうにあたって、そいつは一体どんな魚なのか、
ということを少々知っておく必要がある。

●スズキという魚
ルアーの対象魚として脚光を浴び、
最近では「シーバス」と呼ばれることが多いこの魚は、
古くから江戸前の魚「スズキ」として、ハゼやアナゴ、
カレイなどとともに親しまれてきた魚のことである。
ゲームフィッシングとして1ジャンルを築いてしまった魚
“ブラックバス”に姿、形も去ることながら、
食性などが酷似しているということから、
海のバス=シーバスと呼ばれるようになった。
しかし、厳密にいうと、
スズキとバスは分類上違うばかりでなく、
スズキは大海で生活しているだけあって、
ファイトもサイズもバスとは桁違いである。
ナメていると、イトを切られたり、
鋭いエラで手を切られたりと、痛い目を見る魚なのだ。

でも逆をいえば、日頃、淡水の魚の手応えしか知らない
人がこの引きやファイトを味わってしまうと、
病み付きになるのもまた事実である。

スズキは例外になく、
岸よりも船に乗ったほうがより確実に釣れる魚である。
が、川や湖のように、手漕ぎボートを浮かべて
手軽にねらえるものではない。
かといって、船宿が年中船を出しているわけでもない。
風や波の影響で、船が出せない日もあるうえ、
いまだスズキを専門でねらう船宿の絶対数が少ないのだ。
その意味では、
まだまだ開拓の余地がある未開拓の分野でもある。
※釣り業界がバスフィッシングの次にねらっている土壌が
実はこの分野なのだ。

スズキの食性はゴカイ類などの底棲節足動物から、
エビ、カニなどの甲殻類、そしてシコイワシや
稚アユなどの小魚、つまりフィッシュイーター(肉食魚)
である。
食の旬と同様、釣りでも夏〜秋が本番で、
河口や、河口付近まで行動範囲を広げ、
活発にエサを追うため、岸からでも大型がねらえる。

生息域は、水深10〜70メートルから、
浅い所では2〜3メートル。
外海から内湾を広範囲に回遊する。
汽水域でも生活できるため、利根川の中流〜下流部などで、
バスの外道として釣れることもある。
一般に40cm以下をセイゴ、40〜60cmをフッコ、
60〜100cm以上を一般にスズキと呼ぶ。
ちなみに食べておいしいのは、フッコサイズ。

●釣り方&タックル
船の場合、大きく分けて、2つの釣り方がある。
1つは、小魚の形をしたプラスチック、または木製の
ミノーというルアーを使ったミノーイング。
この釣り方は、工場などの温水が流れ込む場所や、
シーバースと呼ばれる人工魚礁、ブイ、
そして海ホタルなどの海上建築物の周辺に群れている魚を
ねらうため、比較的、浅場で釣れる。
この場合、魚がルアーを追ってくるのを目で確かめられる
という醍醐味が加わる。
最近では、ミノーのほかに
バイブレーションプラグと呼ばれる
(リールを巻くと、上下左右に細かく振動しながら泳ぐ)
ひし形のルアーに定評がある。
大きさは、ミノーが7cmを基本に11cm、13cm。
バイブレーションの場合は28g(1oz)と大きめのものを
中心に用意したい。
参考までにタックルは、

1、ロッド
ミディアムライト、硬くても
ミディアムまでの6ftスピニングロッド。

2、リール
スピニングリール。
2000〜3000番クラス。

3、ライン
6〜8号のフロロカーボンラインの先に
念のため12lbのリーダー(メインのイトを保護するための
先イト)を2ヒロほど
(約3m。両手をいっぱいに広げた長さが1ヒロ=約1.5m)
電車結び、ユニノット、ループトゥ・ループで結ぶ。

そして、今回メインになるのがもう一つの釣り方、
メタルジグを使ったジギングという釣り方だ。
これは、冬場、深場に落ちたスズキを引きずりだすために
有効なのだ。
メタルジグとは鉛の塊を魚などにかたどったルアーである。
ひと昔前までは、何のことはない鉛の棒っきれに
簡素な加工がしてあるだけだったので、
アクション(動き)も単調だったが、
最近では、重心を後ろに置いたり前に置いたりすることで、
アクションにも幅が出てきた。
つまり、サオをあまり操作しないでも魚に充分にアピール
するものが増えてきている。

釣り方は海底、もしくは底付近までメタルジグを沈め、
シャクリながら(サオをあおったり、戻したりしながら
リールを巻いてくる)手元まで巻き上げるというもの。
時にはスピードを上げたり、ゆるめたりしながら
魚の反応を見ることも大切。
活性が高い時には、スピードの速いルアーも追うが、
活性が低いときにはまったく追わないこともあるからだ。

これを重労働と思うか、
小魚を追うスズキをイメージできるかで、
今回の釣果も違ってくるだろう。

参考までに、今回のジギングタックルは

1、ロッド
メタルジグ50g前後(1/2oz)が背負える
ジギングロッド。船なので、長くても6〜7ftまで。
ただし、ガチガチに硬い必要はなく、
バスフィッシングの時に使用する
クランクベイトロッドなどの胴が柔らかいものでOK。

2、リール
バスフィッシングで使うベイトキャスティングリール。

3、ライン
PE(俗に、新素材と呼ばれているイト)2号に
フロロカーボン12〜16lbラインを2ヒロほど
電車結び、ユニノット、ループトゥ・ループで結ぶ。

●東京湾の魚って大丈夫?
さて、最後に「釣って食べる」のメインイベント
“食べる”ほうだが、
鼠穴でも
「東京湾の魚なんて食べられるの?」
という疑問が少なからずあがった。
船長さんいわく
「シーバスは回遊するので、沖の深場で釣れるのも、
岸際で釣れるのも基本的に同じ魚です。
したがって、さほど味に変化はありません。
充分、食べられます」とのこと。
まれに居着きのシーバスがおり、これはまずいというか、
食べられないそうだ。
(環境ホルモン味?、ダイオキシン味?)
でも、そんなシーバスが釣れたら
船長さんが即座に「リリース!」と
アドバイスしてくれるので、
明日は安心して漁に専念しよう!


●問合先:東京都羽田/「アングラーズスタッフ」
東京都大田区羽田5-22-7
(エ03-3780-2368)
●基本料金(仕立船):3万円(5人まで、3時間)
※移動時間も含めると実質4時間
●出船時間、人数:応相談
※朝と夜、どちらでも可能
●交通:電車利用は、東京モノレール羽田駅下車。
海老取川方面へ向かい、橋を渡った右手の海老取川沿い。
徒歩約20分。車利用なら、首都高速横羽線羽田ICで降り、
環状八号線を羽田空港方面へ、約10分。

1998-11-25-WED

“明日は安心して漁に専念しよう!”
と、予告編でお知らせしたのはつい先日のこと。

そして11月26日、午前5時30分。
羽田空港のすぐちかく、多摩川岸にある東急ホテルの
駐車場に集まったメンバーの顔色はというと・・・。
ダーリンさんは鉛色。
なぜかエディーと呼ばれる遠藤さんは
オレンジがかった鉛色。
金澤性疲労さんは土気色。
齋藤海仁さんは、かぎりなく鉛色にちかい白。
モモンガ部長ことワタシは黒でした。ぢぐろ、ね。

そのいっぽうで、輪の中心には暖色系がふたりいました。
ひとりは、やる気がみなぎってピンク色にほてった
ダイニング部長。もうひとりは、燃える闘志と
トルクフルな熱いしゃべりで、釣り客の期待を煙に巻く、
真っ赤な服の船長、亀石さん。
「いや〜、1週間前はいい釣りしたなあ。
昨日入れ食いが終わったばかりだよお。ガハハハ!!!
みんなもう少し早い時期に来ればいいのに。
釣れなかったら、うちタイ料理始めたからさあ。
そこで中継やりなよ。★◯。×△☆☆□・・・」
・・・「釣れなかったら」って、センチョー!
ダイニング部で「釣って食べる」を中継するんだから、
絶対釣らなきゃダメなの。
口調は軽快だけど、「釣果はシブいかも」
という船長のコトバに
メンバーの不安は出船前からつのるばかりです。

釣りじたくは、ほぼカンペキなはず。
モモンガ部長ことボクが
メールを酸っぱくなるほど書き続けたおかげで、
みんな防寒対策はバッチリです。
不意の大ものだってガツンと釣りあげる
タックル(釣り道具)もそろってるぞ。
あとは、船長さんの長年の経験から出てくる、
ポイント選びを信じるだけです。
「しか〜し、亀石サンの“最近シブいナ”ってのは
おもつらいナ」。
など、不安がる声も誰からともなくモレてたですよ。

午前6時、いよいよ出船。
ボートは長方形で平らな底の
Y社25CFデイグラッド。
よけいな装飾品はいっさいつけていない。
船底が低く、まるで海のバスボートのようだ。
と書いてもサッパリわかりまへんね。
つまり、7人乗っても充分釣りができる小型ボートです。

波をこえると船底が海面をバーンと叩くもんだから、
スピード感、スリルともに満点。
「わーおもしろーい。」
ダイニング部長もお気に召したようです。
「この人には船酔いって感覚がないのか?」
荒くれを自負するボクは、ちょっと悔しくなった。

ボートは多摩川の河口から海に出た。
「ナニがナンでもスズキをゲットしなきゃ」。
メンバーの無言の圧力は、
軽快なトークでぼくらを煙に巻いていた
亀石船長のハートにも届いていたようです。
最初に向かったのは羽田沖に浮くオイルフェンスの際。
午前8時にはオイルフェンスで何かの作業が始まるらしく、
それまでが勝負という船長のとっておきの場所。
釣り方は45〜60グラムのメタルジグというルアーを
水深15〜18メートルの海底まで沈めて、
そこからリールやサオを使って、
シャクリ上げてくるジギングだ。

メタルジグなど

上がメタルジグ、
45〜60gだからけっこう重いよ。
下はバイブレーションプラグ、
遠くに投げてヨコに引く。
「こんなおもちゃに
釣られちゃう魚なんて・・・
イヤン」と
磯釣りマニアの
ダイニング部長

重いメタルジグを沈めると、イトがリールから
シューっと勢いよく出ていく・・・。
「うーん、底にバンバン魚の反応が出てるよぉ!」
魚群探知機の画面のようすから、
水中のようすを亀石船長が実況中継してくれる。
親切なんです、すごく。
でも、サオに魚の反応はない。
今回、釣りに行く前までは、
「オイラは海の男です」と職場のみなさんに
ハッタリをかましていたボクは、
フェンス下の水中に張られたロープにジグを絡めちゃって、
早くも2つのメタルジグを失っていました。あーあ。

そのときだった。
「ビュンッ!」
ロッドが大きく風を切る音。
次の瞬間、「来たア〜〜ア〜ア〜〜ア〜〜〜〜!!!!!」
ダーリンさんの声だ。
ビデオカメラをまわすセイヒローさん。
タモ網を持ってかたわらに寄るモモンガことボク。
みんなドキドキしながらダーリンさんのサオに注目した。
ダーリンさんのサオは、手もとから三日月のように
ググッと曲がっていた・・・こいつはデカイよ!

リールのドラッグ(強度の引きに対して、イトが少しづつ
出るようにして、イト切れを防ぐ装置)がキーキー鳴る。
おいおい、イトがどんどん出てるじゃないの。
で、でかいっ!
ダーリンさんがサオを立てて踏ん張ろうとすれば、
水中の相手は、強烈な引きでサオ先をもっていく。
「なかなか寄ってこないね」
こりゃ80センチオーバーのビッグフィッシュだろ。
みんな、そんな予想をするほど相手が重そうなのだ。

釣りを開始してわずか30分。
まさに「釣って食べる」の第一条件クリアの瞬間だよ。
あと少し、あと少しだ。
悔しい、ボク的にはちょっとジェラっちゃう引きだ。
でも、これで釣り部隊の任務は達成なんだよ!
このアミでダーリンさんの魚をすくおうと構えながら、
ボクはジェラシーに焦がされていた。あー、ウラヤマシイ。
“ブシューン!”
「アァァァ〜!」
すさまじい音だった。
幻の巨大魚(大げさ)とダーリンさんの挌闘の
なかだちをしていたイトがブッツリ切れてしまった。
怒り、憎しみ、悔しさ、焦りが入り交じった雰囲気が
みるみるうちに船内を満たしていく、って、おいオレ、
そんな大げさなことじゃねーだろ。
でも、イトが切れてから、ジェラシーよりも巨大魚を
観たい食べたい気持ちが強かったと気づきました、ハイ。

そのとき、亀石船長の携帯電話が鳴りました。
亀石さんの仲間のガイドが
別のボートで、別の場所を試してくれてたのです。
「ナニ!? 東京灯標で入れ食い?
 わかった、すぐイクよ」。
メンバーの希望を乗せて亀石さんが操るボートは
東京灯標と呼ばれるポイントに走った。
イレグイだよ、入れたら食ってくるんだよ。

東京灯標とは、海に突き出した、有人の灯台だった。
東京湾に入湾する船のみちしるべになっているという。
灯台を支えるために、何本もの太い鉄柱が
海上から海底にのびていた。
この下に、スズキがわんさか着いているらしい。
きっと、有名なポイントなんだな。
だって、すでにほかの乗合船、プレジャーポート(個人所有
のボート)が灯標の周りで釣りをしている。
近づいただけでも、とにかく釣れまくっているのが見えた。
亀石船長は、そのわずかな隙間に縫って入った、
さすが船長、強気な攻めだよ。


「まあまあの 1尾ってとこかな。フフ」。
海の紳士・齋藤海仁さん
(パパになりたて)

まさに、漁場 !オトコの仕事場ですぜ!
カーッ、燃えてきましたよ。
いっぽう 、海の紳士・齋藤海仁さんは
「サオをあおって、へたにルアーに
アクションを与えずに、
リールをただ巻きしてくるだけでいいですよ」
とルアーフィッシング初挑戦のダイニング部長をはじめ、
メンバー全員にアドバイスをしてくれた。
水深は、約15m。
特に、メタルジグが着底した瞬間に
スズキが食いついてくることが多いらしい。
その言葉を裏付けるように最初の1尾は、
齋藤海仁さんが釣った。
「キープしときますか?」静かに微笑む海仁さんが
ボクらに聞いた。
「もちろんです!」まずは、1尾ゲット。
夕食がふりかけゴハンになることはもうないね。
ちょっとゆとり。

釣りは気持ちしだいなのかもネ?
それからバンバンとメンバーのサオがしなり始めました。
遠藤さん、また海仁さん。そしてボクにも!
またまた齋藤さん。
なかでも、ピンク色のアニメ声で奮闘したのが
ダイニング部長だった。
「きたあ〜〜!。」。
「重いわ〜。」。
「釣れたわあ〜。」。
ボコボコとスズキを船にあげている。
「海の男の座・・・」
そんなハッタリはとっくにバレてたけど、
ボクはまたもや嫉妬した。


1食べるためには、
まず釣らにゃあ!
まずは任務をはたして
ヒト安心のダーリンさん。

さらに、さきほど巨大魚を
逃がしてしまった雪辱に燃える
ダーリンさんのサオに、
またもやビッグフィッシュがのしかかった。
いなし、走られ、またいなす。こんどは人間が勝ちました。
メンバーのなかではいちばんでかい60センチに近い
50センチオーバーのスズキをキャッチ!

こうなれば、もう火のついたカーテンと同じ。
なかなか消えない。
遠藤さん、海仁さん、ダイニング部長と、
ひとり海底のゴミを漁るセイヒローをしり目に釣りまくる。
釣り過ぎてサオを持つ左手を痛めたダイニング部長は
「それリリースして!」
「それは絶対キープよ!」と
いつのまにか食材選びの全権をにぎる指揮官になっていた。

午前9時30分。
満潮になり、潮流がとまった。
それまでの食いが嘘だったようにぱったりと食いが止まった。
この時点でサオ頭(船中でいちばん釣った人)に輝いた
ダイニング部長は「もう役目は終わったわ」とばかり、
余裕で菓子類などポリポリやりはじめた。
ずいぶん、よゆうじゃないか?
「だって、もう釣れる気しないもん」
なんでそんなこと言えるんだよ。
「え〜、なんとなく」
それを聞いてブルーになってた男がいます。
セイヒローさん、1ピキ掛けたけど、足もとで逃がした。
もう、つれないってさ。
さあ、船長さんこれからどうする?

はたして、食材は手に入れた。
小さいスズキはリリースして、
キープするスズキはサイズをそろえたし、
釣ったその場で血抜きもした。
あとは“楽しもうモード”ってことで、
残りの2時間はジギングをやめて、
バイブレーションプラグでシャロー(浅場)を
ねらうことにした。
すでにダイニング部長は
夕食調理に向けての体力温存のため、
ボートの上に座布団しいて眠りに落ちていた。
なんか、すごい姿だけど、
釣り人ならではの、寝グルメだな、コレは。


「東京湾のゴミ、
ごっつぁんです」。
ちかぢか力士からレスラーに
転進するというセイさん

思えば仲間からかかってきた
1本の携帯電話からメンバーの
「釣れなかったらどうしよう」という不安を
どこかにブッ飛ばしてくれた亀石船長。
そういうのも実力のうちなのか? 
不思議なヒトだ。
で、とっても親切でめんどうみのいい船長サンです。

では、ここで、
亀石船長の名ゼリフをご紹介。

セリフ1
「ここでも魚探
(魚群探知機)にはバンバン反応が
出てるんだけどなあ。何で釣れんかなあー!」

セリフ2
「あともうちょいのところで群れにあたるんだけどなあ。
もうちょい、もうちょい、はずれたあー!」

セリフ3
「1週間前は入れ食いだったのになあ。
もう終わっちゃったよお。
何で1週間早くこれないかなあー!」

セリフ4
「俺は釣りをキワめたけれど何が楽しいって、
そりゃあ釣れる釣りだよお。
今日みたいなさあ。ガハハハハ」


釣ったスズキは、
船の上でシメました。
さらに、桟橋にもどって
ハラワタをとって食材になりました

セリフ1〜3で、さんざん僕らを不安にさせといて、
携帯電話への情報イッパツでお祭りタイムを演出。
そして、セリフ4。
さらに、おもむろにトナカイの帽子を被り
「メリークリスマス!」ととっても楽しそう。
「今日、釣れなかったら、
これで勘弁してもらおうと思ってサ」ってアンタ
どっから出してきたんだ、トナカイ。

話を釣りにもどしましょう。
シャローでもアタリはなかった
ボウズ(全く釣れないこと)な
金さんの目は蝋人形の目のように
不思議に澄んでいた。
空は秋晴れ、すみわたってますな〜。
「さあ、帰りましょうか!!
大漁、大漁! ガハハハハ」。
そうして、メンバーの多くが
心に大漁旗をあげて、正午、桟橋に戻りました。

さて、その日の晩ゴハンは、
ダイニング部長がフル稼動してくれたおかげて、
7尾の東京湾スズキをフルコースで楽しみました。
味や献立は、ダイニング部長の報告をお楽しみに。
釣りでも大活躍、料理でも大活躍。
ジェラシ〜〜〜。
はじめは「初冬の海に響く荒くれ者のブルース」っていう
日活+東映路線のタイトルでスタートしたのに、
「なんだこりゃ?」と言われて、即、改題。
でも、考えてみりゃ・・・
今日いちばんの荒くれ者はオイラじゃなくて
アニメ声のダイニング部長だった。


問合先
東京都羽田/「アングラーズスタッフ」
東京都大田区羽田5-22-7
電話:03-3780-2368)
●基本料金(仕立船):3万円(5人まで、3時間)
※移動時間も含めると実質4時間
●出船時間、人数:応相談
※朝と夜、どちらでも可能
●交通:電車利用は、東京モノレール羽田駅下車。
海老取川方面へ向かい、橋を渡った右手の海老取川沿い。
徒歩約20分。車利用なら、首都高速横羽線羽田ICで降り、
環状八号線を羽田空港方面へ、約10分。

1998-11-28-SAT

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