おさるアイコン ほぼ日の怪談2009
怪・その36
ふすまの隙間


この体験はボクがまだ
両親と布団を並べて寝ていた頃なので
小学校低学年ぐらいではないかと思います。

小学生の頃は
就寝時間が夜9時と決められていたので
その日も9時に布団に入りました。

ボクの布団は
和室の一番廊下側にあったのですが、
その日なんとなく寝たくなかったボクは
遊びのつもりで、
廊下につながるふすまを
足で数センチだけ開けてみたのです。

何をするわけでもなく、
「なんとなく」やっただけの行為ですが、

開いた次の瞬間、
寝ているボクと同じ目線の高さに、

家にあるハサミを持った
手首までの腕が、ニュッと出てきました。

出てきた腕は、
まるで威嚇するように
そのハサミを
ちょきちょきとするではありませんか。

一瞬親のいたずらかと思いましたが、
開けるか開けないかわからないふすまの向こうで
ハサミを持って準備しているわけもなく、
親ではないと頭の中で認識した瞬間、
急になんだか怖くなり、
しかしふすまを閉める勇気もなかったので、
ボクはくるっと背を向けて
「みなかったことに」しました。

結局そのまま眠りに落ち
朝を迎えたわけですが、
両親にハサミのいたずらをしたかと聞くのが
なんとなく怖くて聞けず、
代わりにハサミを探しました。

すると決まった場所にあるはずの、
昨夜見たハサミがなくなっていました。

親にありかを聞いても
「そこにないか?」というばかりで
まるで知らない様子でした。

結局ハサミはその日から
行方不明のままなのですが、
それよりも不思議なのは、
今思い出して気づいたことですが、
いつもは明かりが付いてる廊下が
真っ黒な闇だったことです。

(もかっち)


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2009-08-30-SUN