おさるアイコン ほぼ日の怪談2009
怪・その24
不思議な物音


去年の夏のことです。

6歳の娘と主人が二人で夕方から夏祭りに行き、
私は一人自宅で夕食を作っていました。

のんきに枝豆をゆでていると、
食卓の方から「がさがさ!」と音がします。

かなり大きな音で、
「ひっ?! ねずみ? ごきぶり?」と見に行くと
何もいない。

今度はキッチンから「ばさ!」。

大きな柔らかいものが、
高い所から落ちたような音。

見に行くとなにもいない。
なにも落ちていない。

今度はリビングから「ザザー!!」

やっぱりなにか居る!

驚きで硬直していると、
いきなり携帯の呼び出し音が鳴り出し、
飛びあがりました。

見ると主人から。
「○○(娘)がいなくなった!
 迷子になったみたいだ」

お祭りの人ごみで、はぐれてしまったようです。

あわてて火の始末をして、
私も探しに行こうかと思った矢先に
再び携帯が鳴りました。

娘は、
「自力で交番にたどり着き、わんわん泣いてた」
とのこと。

ほっと一息ついたら、
家の中から聞こえていた妙な物音が
しなくなっていた事に気がつきました。

落ち着いて思い出すと、
驚きこそ強かったものの、
あの物音の主に対して恐怖は
ほとんど感じていませんでした。

誰かが娘の危機を教えてくれたんでしょうか。
それとも、パニックを起こした娘の心だけが
帰宅していたんでしょうか。
あれきり、不思議な物音も、気配も、感じません。

(ベル吉)


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2009-08-20-THU