おさるアイコン ほぼ日の怪談2009
怪・その20
ふらふらと家の中へ


娘がまだ3歳頃だったかしらの夏、
お盆にだんなの実家へ行きました。
駅に車でお迎えに来てもらった時の帰り道です。

そのときはもう日は落ちて辺りは暗く、
とはいえ、外灯の明かりもあるので
そんなに寂しい道でもありませんでした。

運転していた義兄が突然、
「あ、人がたおれとる!」と、車を止めました。
みんな、「え!」っと、
暗かったのでよく気がついたなと思いました。

車を降りていくと、
自転車と共に50代位の女性が倒れていました。
「大丈夫ですか?」と声をかけながら、
救急車を呼びますね。と、電話もしました。

女性は酒を飲んでる様子もなく、
特におかしなところもないのですが、
自転車を起こして、
こちらが話しかけるのも気に留めず、
ふらふらと近くの家に入って行ってしまいました。

まもなく救急車が着たので、
こまったなぁと思いながら、
一応女性が入っていった家に、伺いました。
ですが、

「は?」

誰も来ていないというのです。

家を間違えたかな???

近所をちょっと回りましたが、
自転車も女性の姿も見えません。
みんなで狐につままれたように、
ぽかんとしてしまいました。

毎年帰郷のときに、車での帰り道に思い出します。
いまだになんだったのかわかりません。

(ゆきねえや)

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2009-08-18-TUE