怪・その5
遠くなったり近くなったり
これは、わたしの親友から聞いた話です。
友人が中学生の頃、
学校の林間学校か何かで、
数棟のコテージに、
何組かに分かれて宿泊していました。
消灯後もこっそりと
布団の中で起きていた友人たちは、
ふと、
外から物音がすることに気づき、
耳を澄まします。
「何の音だろう?」
その何かの音は、窓の方から聞こえてきます。
友人たちは、窓の方向に、耳を澄ましてみました。
すると、音は、遠くなったり近くなったりを
一定の周期で繰り返しているように聞こえます。
つまり、友人たちの泊まっている建物の周りを
音を発する何かが
ぐるぐる回っている、ということです。
純粋な好奇心から、
友人たちは勢いよく窓を開けました。
すると、
目を見開き、髪を乱した中年男性の生首が
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~‥‥」
と言いながら
ぐるぐる、コテージの周りを回っていたのです。
友人たちは恐怖のあまり部屋を飛び出し、
教師に助けを求め、
部屋を変えてもらったそうです。
(夢野)
2009-08-06-THU