おさるアイコン ほぼ日の怪談2008
怪・その28
T字路で


私が大学生のころの話です。

私が運転し、彼が助手席で
近くの人工湖まで
夜中にドライブに行きました。

外灯が少なくて薄暗いし、霊園もあって、
少し怖かったのですが、二人だし、
「っきゃ」なんていって
怖がっちゃおうかしら。
なんて思いつつT字路に差し掛かりました。

右手に球場、左手に湖、
正面は丘の上に霊園です。

そこで、私は急に嫌な感じを覚え、
同時に左手の中指が
千切れそうに痛くなりました。

「あいたたたた! なんだろ??」

路肩に車を寄せて指を
見ると両親から
成人の祝いでもらったばかりの指輪が
指をつぶすようにぐにゃりと曲がっていました。

指輪は頑丈な作りで、彼が戻そうにも戻らず、
車に乗せていた修理工具で戻し、
やっと抜くことができ、
デートもそこそこに帰路に着きました。

両親が守ってくれたのか、
それとも、
やきもちを焼いただれかに
いたずらされたのか、
今でも本当に不思議な出来事です。

(すが)
「ほぼ日の怪談」にもどる もう、やめておく 次の話も読んでみる
2008-08-22-FRI