谷川俊太郎の『家族の肖像』。

伝えたいのは、
どこにもあらわれないようなもの。

ほぼにちわ。
今日は、谷川俊太郎さんのお話を
お届けします。

レコーディングのときから
『家族の肖像』について
谷川さんに少しずつ伺ったお話を
これまで掲載してきましたが、
今回は、その最後です。
(谷川俊太郎さんへのインタビュー
 第1回目はこちら
 第2回目はこちら
みなさんが『家族の肖像』を聴いて
どんなことを感じるのか、
それをいま、谷川さんは
とってもたのしみにしています。

── CDに入れる詩のセレクションは
どのように行なわれたのですか?

前回のCD「kiss」のときは
ぜんぶ賢作まかせだったんですけど、
今回は、彼が
とてもいそがしい時期に入っていたので、
詩は自分で選びました。
自慢じゃないけども(笑)。
まあ、自分の詩なんだから自分で考えなきゃ、
って思ってね。
それで、多めに選んでプリントをして、
賢作に託したんです。
それで彼は音楽を考えたりしはじめた。

それから、ふたりでいろいろやっているうちに、
姿が見え出してきたんです。
僕はわりと、
シニカルに家族を見たりすることもあって、
そういう詩も1、2篇入れましたけど
賢作の意向で、
明るく楽しい家族像の詩を(笑)、
中心に選びました。

それから、覚和歌子さんに
朗読に加わっていただいて、録音した。
それ以降の構成は賢作まかせでした。


レコーディングスタジオにて。
左から、覚和歌子(かくわかこ)さん、
俊太郎さん、賢作さん。


順序がおおざっぱにできたところで
賢作がCDRに焼いてきて、
また修正を加えたりして。
ふたりでなんだかんだ、やったね。
今回は音楽がバラエティに富んでいて
おもしろいですよ。
木管の4重奏の音が
すごく好きですね、僕は。

── 賢作さん、力はいってますよね。
音楽にも何回泣かされたことか。
あの「おじいちゃんのおもいで」の音楽と
「おじいちゃん」の詩の
連発技には、もう‥‥。
CMの「朝のリレー」の評判も良かったし。
やっぱり第3弾だからさ、
前のよかダメってのは許されないよね。
── 音楽も、詩も、ひとつひとつがすばらしいうえ、
ぜんぶの組み合わせに、
心をつかまれます。
うん。『家族の肖像』っていうタイトルにして、
家族がひとつのテーマということに
結果的にはなってしまっているけれども、
やっぱり一篇一篇の詩を
味わってほしいなと思うし、
ひとつひとつの音楽を
聴いてほしいなと思います。

ぼく、あんまり説教臭いことを言うの、
好きじゃないんで(笑)、
家族について、
いろいろ言いたいことはあるんだけれども、
そういう評論的な発想じゃなくて、
あのCD全体で、家族っていうものの
「新聞紙上にはあらわれない」ような、
ほんわかしたイメージみたいなものが
伝わるといいなと思います。
 
ただ手放しの「家族礼賛」ってのは、
ぼく、好きじゃないんですよ。
家族っていうのはほんっとに、
ひとりひとり違った人間の集まりだから。

家族を構成する、子ども、親、祖父母、
もしかしたらおじおばとか、
もしかしたら友人だって入るかもしれないし、
そういう人たちが、
ひとりひとり自立してて、
なおかつ寄り添って生きるっていうことを、
ぼく自身は考えたいと思っているんです。

今回のCDは、音楽と詩が
まるで家族のように寄り添っています。
今度は谷川賢作さんにも
お話を伺うことにしますね!

では、本日の家族の肖像を見てみましょう。
「坊さん。」でおなじみのミッセイさんから
投稿をいただきましたよ!

自分の家族を端的にあらわす
おもしろい写真

兄を抱く父


東京の「フラワーアパート」で、
産まれたばかりの、
兄を抱く父の若さに、
すこし、びっくり。

今の自分の歳と同じぐらいの父を見て
若い人に育ててもらったんだなぁ、
と思いました。

次の年には、僕が産まれます。
(ミッセイ)


俊太郎

コメントの最後の一行に感動。
まるで詩だなァ、この一行のおかげで
写真の奥ゆきがぐっと深まる。


賢作

ぼくは、若い人に育ててもらったんだなあ
にぐっときた。そう、親と子一緒に
成長していくんだなあ(感無量) 。



ねまきの家族

おおはしゃぎ

母親に作ってもらった、パジャマでバンザイ。

なにがそんなに、うれしかったんでしょうね。
でも、この感覚ははっきりと、
思い出せるような気がします。
(ミッセイ)


俊太郎

生きてることは基本的にうれしいこと
なんだから、うれしさに理由は要らない
と思う。その感覚を憶えているのが
すばらしい。


賢作

こどもってじっとしてない。
じっとするのが苦手。
この2人もきっとすぐにも動き出すぞ。

ミッセイさん、じーんとくる投稿を
ありがとうございました。

実家に帰ったときに
子どものころ使っていた絵の道具が残っていて、
絵の具のひとつひとつに
旧姓の自分のフルネームが
若かりし母の字で
びっしり書かれていたのを見つけて
わんわん泣いたことを
「ほぼ日」スガノは 思い出しました。

みなさまのご家族の肖像、
投稿をお待ちしています!

2004-05-21-FRI

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