質問:
選手が輝くための指導とはどういうものですか?
選手に輝いてもらうためには
「いいことをした時にその場でほめる」
という以上の方法はないと思います。
些細なプレイも、向上心が見られるプレイも、
見落とすことなく怠ることなく手を抜くことなく、
ほめてあげたいなぁと思うんですね。
いつも、見てくれているし、いいことをしたら
かならずほめられるというのがわかっていれば、
大人も子供も、やはり調子に乗るじゃないですか。
その場で言葉でほめてあげることで、
選手というのはグーッと飛躍する時は飛躍しますから。
ほめると選手はつけあがると言う指導者もいますが、
いい行為をほめてあげないと
「何がいいプレイなのか」
の基準がぼやけてしまうんです。それなら
やっぱり、ほめ言葉を惜しむべきではないでしょう。
圧倒的にいいプレイをした選手に
「抜群だ」と伝えてあげれば、次もやろうと思うけど
「まぁまぁだな」と言えばそれが基準になってしまう……
しかも翌日に言われても覚えていないんです。
選手はやったその時に言われるとうれしいものですし、
いいプレイをした後は、誰もが無意識に
ベンチから聞こえる声に耳を傾けているわけですから、
すぐにほめなければいけません。
だからこそ
監督の心のコンディション作りは大事だと思います。
よく寝てよく食べて体を壊さないのも大切ですけど、
なるべくストレスをためこまないようにはしています。
自分の生活に問題があって
イライラしたり疲れていたりする状態では、
いちばん言ってはいけない言葉を吐いてしまったり、
してはいけない態度をとってしまったり、
目を見てあげなければいけない時に
背中を向けてしまったりするのでしょう。
自分のコンディションがよければ、そういう行為を
最小限に食いとめられるんじゃないかと思うんです。
人と人には、慎重に言葉を
選んであげなければいけない時もあるから、
コンディションが悪いとおそろしいですね。
十代の女子チームを見ていると
「輝き」や「華」の源は明らかにやはり
ご両親から来るのかなぁとは思うんです。
おびえてない子やいじけてない子は、
ご両親もやはりそんな、
ただ甘やかしているわけでなく、
ほんとに心が健全だったりするわけですよね。
指導者としては無責任な言い方ですけど、
ご両親の姿というのは選手に大きく反映するんです。
ご両親がもめている家庭の子はもろいし、
輝きを阻害する要因としては、
「いじけ」はなかなか手に負えません。
こちらとしてはその子のすばらしさを
伝えはするんですけどね。
「なんでボールが来ると萎縮しちゃうんだ。
 あなたはエリア内に止まった状態で
 ボールを受けた時には、圧倒的にうまいじゃないか。
 あなたの武器を、なぜ使おうとしないんだ」
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2005-07-26
Photo : Yasuo Yamaguchi
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