アースダイバーの経験論!
経験論について プロフィール
質問:
中沢さんの考えに触れて
園部さんが変化したことは何ですか?
中沢さんと一緒に歩いている時の方が
おもしろい人や
不思議な人に出会う回数が多いし、
中沢さんはちょっとこわそうな人たちとも
平気で話したりします。

「だいたい
 コーヒー一杯千円って高くねぇか?
 千円も取るなら、
 姉ちゃんおまえの乳も入れろや」
とホテルの喫茶室で難癖つけている
オヤジに「高いよねえ」と気軽に話しかけたり。
中沢さんの『アースダイバー』の視点で
ものを見るように心がけると、
町を歩いても
「この神社の四隅には
 太い木が四本立っているが、
 これは諏訪大社と同じつくりだから、
 古い信仰の形を残しているのかな」
とか、いろいろなものが
目に飛びこんでくるようになりました。
風景を見ても
きれいとか汚いとかだけではない
視点を手に入れることができました。
中沢さんの考えかたの根本にある
大きなテーマのひとつが
「無意識」だと思っています。
「人間の心のおおもとは、
 泥みたいなものでできているにちがいない。
 ぐにゅぐにゅと不定形で、
 スマートな思考をする部分と
 ぼんやりとした夢を見続けている部分とが、
 ひとつに混ざり合って、
 人間の心をつくっている。
 そういう心が集まって
 社会をつくっているわけだから、
 それをあんまりハードな計画や
 単一な原理にしたがわせると、
 どうしてもそこには歪みが生まれてくる。
 泥みたいな材料でできた心を
 『無意識』と呼ぶことにすると、
 この『無意識』を歪めたり、
 抑圧したりするのではないやり方で、
 人の生きる社会も
 つくられていたほうがいいのではないか」
中沢さんは
『アースダイバー』の中で
こう書いていますが、
中沢さん本を読む楽しみは、
この「無意識の解放」に
関係していると思っています。
いつもの秩序立った世界では
つながることが出来ないもの同士のあいだに
コミュニケーションの回路を開くということが、
「無意識の解放」と関係があるのではないかと
僕は考えています。
なぞなぞが言葉の回路を開く楽しみだし、
祈りがこの世と見えない世界との
回路を開くものなのだと思います。

(次回に続きます。)
photo
Photo : 大森克己
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2005-07-19-TUE

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