質問: 町田さんが、 いちばん不本意だったことは何ですか? いちばん不本意だったのは 「自分はバカだ」ということでした。 何かやろうと思ってもできなかったし、 自分ではものすごく 高いことをやろうとしていたのに 技術がなくて辿りつけなかったり、 それでも 「できるはずなんだけどなぁ」と思っていたり。 若い人はみんなそういう焦りの中で 生きていると想像するのですけど、 すばらしいことをやりたいのにできないだとか、 人としてまともに生きたいのに それができなかったりしたことが、 本当に不本意でした。 普通の人が不本意なのに 会社を辞めずに頑張るのは、 そこで辞めると より悲惨な状況が待っているからですよね。 辞めた後に踏みとどまらないと、 最後は刑務所か精神病院か…… そんなやつは、我々の仲間には、 いっぱいいましたから。 僕がかろうじて そういうところにいかなかったのは ひとつのことに拘泥していたといいますか 「ラチがあかないのは自分がおかしいからだ」 と考えて、世界がおかしいから 革命を起こそうだとか 思わなかったからかもしれません。 ダメだけど世界に向かってはいたんですね。 うまいもの食べたいとか シャブをやりたいとかいう 現実的な快楽に たまたま興味もありませんでしたし。 もちろんまわりのいろいろな人に 救われてきたのであって、自分ひとりでは 何もできないのかもしれないとは思います。 ただ、こんなふうに自分のことを話すのは どうもオヤジが自慢をしているみたいで 言いづらいですね。 自分がうまくいった理由なんて言えません。 こうすればいいというコツなんてないと思うんです。 結局その人がその時々に何に関心があるかに 尽きるというか……興味のあるものに 充実していればそれでいいと思うのです。
明日に続きます。
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2005-06-15 
Photo : Yasuo Yamaguchi [Hobo Nikkan Itoi Shinbun] 
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