YAMADA
おとなの小論文教室。
感じる・考える・伝わる!

Lesson798
  読者の声
  ―前回の「やる気はどこから来るか」について



「やる気は、やる行為そのものからも調達できる。」

というコラムを、前回ここに書いてから、
なにより、私自身が、
ものごとに、抵抗なく、
取りかかれるようになってきた。

今週は、前回のコラム
「やる気はどこから来るか」にいただいた
おたよりを紹介しよう!


<続いていることを探してみて>

「楽しいから笑うのではなく
 笑ううちに楽しくなるのだ。

 気持ちが高まるのを待つのではなく
 気持ちを作ればいい。」

そんな言葉を思いながら
前回のコラムを読みました。

私は熱しやすく冷めやすい。

そのため、私の本箱には
入門書がたくさん。
それらを見るたびに
自分を責めていたのです。
こんな私のところにやって来てしまったから
ほこりをかぶってしまってる、と。

わたしはなんてだめなやつだと
自分を全否定。

そんな自分が嫌で
自分を見ないために取った方法は
暴飲暴食。
もちろん、太ります。
朝、むくんだ顔を見て、また落ち込む。
そんな繰り返し。

そんなとき、出会った問い

「何を習慣にして生きていますか?」

わたしは14年間、
玄米を土鍋で炊いて食べている。

14年前、

息子の離乳食が始まったころ、

息子は、ともかく食が細く、
食べることに興味がないのではと思うくらい
食事を嫌がっていた。
毎食2時間くらいかけ、
途中寝ながら食事をしていた。

私は、欲しがるまで食べさせない
ということにも挑戦したけど

息子は丸1日絶食しても平気な顔。

もういい、
量が少ないのなら、
少ない量で栄養が不足しないようにと

始めた土鍋玄米。

気づけば呼吸をするように当たり前になり
炊飯器は使用しなくなり、

息子が中学になり、
お弁当生活になっても
玄米を土鍋で炊き続け、

息子はもう中2、
現在に至る。

「わたし、継続できてること、あるじゃない。」

たかが土鍋玄米。
たかが14年。
されど10年以上続けてきた。
やろうと思わなくても、

まるで毎日の歯磨きのように。

わたしは継続できないわけではないのだ。

だから、いろんなことに
チャレンジすればいい。

私には挑戦する資格があるのだ。
(キムコ)


<気合いを入れないための言葉>

仕事で患者さんに
運動やストレッチなどを進めると、

時間がないとかめんどうとか、
色々な理由で渋る方がおおいのですが、
そういう時、

「歯磨きと同じと思ってください」

と伝えています。

運動やストレッチも、
よしやろう! と気持ちをいれるよりも、
ながらでもやりつづける方が、
負担にならずに続きます。

結果を求めすぎると、
結果がすぐ出ない時続きませんし、

続けようと意識しすぎると、
目標が遠すぎて気持ちが萎えてしまいます。

得られるものを意識する前に、
とりあえず一度やってみる。

次の日にはまたとりあえず一度、
その繰り返しの結果、
習慣になったらラッキーですし、
習慣にならなかったとしても、
まったくやらないのととりあえずやってみたのでは、
意味合いが違います。

表現でもそこに特別な何かを求めるとハードルが上がり、
特別な何かを生まないといけないような気になります。

でもそれは表現した結果にすぎないはずです。

まずはやってみる。

そのためには、
やろうとしていることを特別な何かにしない方が、
かえってよいように思います。
(たまふろ)


<やってるうちに>

始めるうちにやる気が湧くとき

(1)料理
(2)お化粧
(3)自転車通勤
(4)空手教室の準備体操

「わたし」、ダメな人ではないかも。
(くにこんにゃく)


<そう言えば、あの時>

前回のレッスンで、
「やることによって、力がわいてくる」
という考え方に共感しました。

特定検診で体重を落とす必要に迫られて、
散歩をしばらく続けていたことを思い出しました。
また、夜の散歩を再開しようと思いました。
(A.T)


<ただ酒粕汁とだけ思って>

“気づいたら出来るようになっていた”

そう。そう。まさにッ! 私自身、まさに、

「やる気」とは最初から存在はせず、
まずキッカケ→「行動」。
「行動」を続けた結果、
もたらされた「変化」を実感する事でスイッチが入り、
のちに「やる気」になる。

私の場合、
転職してから生活リズムが変わり、

それまで普通に行っていた“自炊”もしなくなり。
空腹を満たす為に買ってきたものを腹に詰め込む毎日。

昔の食生活に戻そう

と何度もあの手この手で改善を試みるも、
定着せず‥‥。

そんな生活を続けていたら身体がガッタガタ&ボロボロ。
ドミノ倒しか? ダムが崩壊したか?
と言わんばかりに、
去年の12月、次から次へといろんな症状が溢れ出て‥‥。

処方された薬が効かないくらい免疫力が落ちました。

「体温が下がると免疫力も下がる」

健康番組で耳にした言葉が脳裏をよぎった瞬間

「酒粕汁だな」と。

それしかないと。不思議と迷いなく
ストンッと決まったからか、
あれ程自炊に対して感じていた“億劫さ”もなく、
とにかく回復を最優先とし
毎日作り続けた結果、

気づけば作るのが当たり前。

‥‥あれだけ試行錯誤してダメだったのに、何でだ?

きっと、「昔の食生活」=「昔の自分」に戻そう
としたのが原因ではと。

昔できていたのは当時の生活リズムにあっていたから。
転職したら「今」に合わせないといけないのに。
(K)


<久しぶりに筆を持ってみると>

私は、6年間、書道教室に通っていました。

「師範資格を取って、自分の教室を持って独立しよう!」
と毎週欠かさず通い、
家でもほぼ毎日筆を持ち、
「頑張っている自分」が好きでした。

しかし、現職に転職した約2年前、

仕事の忙しさから、
6年習っていた書道教室を辞める決心をしました。

筆を持たない日が一日一日増えていき、
気付けば一ヶ月書いていないという時もありました。

「あんなに頑張っていたのに、
 私はこのまま書をやめてしまっていいのだろうか。
 独学だってできるじゃないか!」

日々、葛藤し、
頑張っていない自分に嫌気がさし、
そんな自分をどんどん嫌うようになっていきました。

最近も、
鬱々と同じことをぐるぐる考える日々が続き、
どうにかしたい! と思っていたところ、
昨日たまたま流れていたラジオから、

「やる気はやるからでる!
 やらないとやる気はいつまでもでない」

というフレーズが聞こえてきて、

「まさに、これだ!!
 とにかく動こう!
 今日の夜は筆を持つんだ!」

と、昨夜、久しぶりに
ゆっくり墨をすり、筆を持ってみると、
これまで満たされなかった心の一部が
すーっと満たされていくのが分かりました。

それは、「自分が好き」という感覚でした。

書は、私の精神安定剤になっているんだ!
と気付きました。

これが分かっただけで、
なんだかずいぶんラクになりました。

まずは動き、
また今日から、「好きな自分」と一緒に
一歩ずつ生きていこうと思います。
(あんこ)



「やる気」って、
とても大切だからこそ、

私たちは、「やる気が無いと上手くいかない」と、
知らず知らずに、思い込んでいる、

ということに改めて気づかされる。

さいきん私は、
自分で自分に、

「ごちゃごちゃ言ってないで、さっと動く!」
と言い、

「はい!」と動く。

この繰り返し。

とっかかるのが苦で仕方なかった私が、
しれっと、とりかかれるようになってきた。

やる気の壁を越えるのは、
案外簡単だ。そして、たのしい!

と私は思う。

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2016-10-05-WED

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