YAMADA
おとなの小論文教室。
感じる・考える・伝わる!

Lesson216 高校生のための一発でわかる小論文講座


いきなりですが、
あなたにお聞きします。

「小論文」って何ですか?

「作文とどうちがうの?
レポートや論文とどうちがうの?」
と後輩に聞かれたら、

どう説明しますか?

ちょっと説明の言葉を
イメージしてみてください。

それを短く、「ひと言」で言うと?

「5文字以内」で言うと、どうなりますか?

答えは、すぐあとで。

今日は、いつもと趣向を変えて、
高校生が推薦入試などにスパートをかけるこの時期、

「小論文のキソ」をわかりやすく、
できるだけ「一発でわかる言葉」で
説明してみたいと思います。

入試はむずかしいのに、なぜキソか?

確かに、「問題そのもの」はむずかしいですが、
ふたをあけて、「答案」をみると、
実に高校生らしいレベルの文章の競争なのです。

そこには、小論文とは何かを誤解した答案も、
たくさんあります。

そもそも小論文とは何で、
だれに向かって、何を書くのか、
正しく押さえる。それだけでも、
大勢の中で光る答案になります。

「読解力」とか、そんな抽象的な言葉じゃ、
百人いたら百様に小論文のイメージがブレてしまいます。

小論文のゴールをブレなく共有したい。
だから、なるべく「一発でわかる言葉」を
工夫してお伝えしたいと思います。

「そう言えば、レポートと小論文の違い、
習ってなかったよなあ……。」
というおとなの方も、よかったら読んでみてください。

●小論文とは何か?

小論文をひとことで言うと、

「意見と論拠」

です。
自分が一番言いたいことをはっきりさせ、
なぜそう言えるか、理由や根拠を筋道立てて説明して、
読み手を説得する文章です。

入試本番でパニックになっても、
「意見と論拠」と思い出してください。

はっきりしたあなたの意見と、
しっかりした根拠があれば、
充分,合格レベルの文章になります。

小論文のゴールは「説得」です。

しゃれた言いまわしも、泣かせる必要もありません。
読んだ人に、

「なるほど」

と言ってもらうこと、そこがゴールです。
ですから、小論文を、さらにぎゅっと、
ぎゅっ、と縮めて2文字で言うと、

「なぜ」

の文章と言えます。
「なぜ」を考え、「なぜ」を書く、
それが小論文です。

では、あなたにお聞きします。

小論文入試って何ですか?

書く側も、読む側も、面倒くさい小論文入試を
大学はなぜ、出すのでしょうか?

これもゴールから考えるとわかりやすいです。
「小論文」のゴールは、さっき何だと言いましたか?

そう、「説得」ですね。

では、「小論文入試」のゴールは?

そう、「合格」です。

やみくもにいい文章を書いても、
受かるとは限りません。

たとえば法学系に受かる小論文と、
芸術系に受かる文章は違います。
「読み手」が違うからです。

小論文に限らず、
私たちが日常で書く文章は、
どんなちいさなメモにも必ず、「読み手」がいて、
「目指す結果」があります。

あなたが書く小論文の「読み手」はだれか?

そう、志望大学の、
あなたが行きたい学部の先生です。

あなたの志望学部の先生は、
学問の現場にいて、「こんな学生がほしい」
というねらいがあります。

その「ねらい」とは?

5つあります。
まず、ざっと目を通してください。

●入試で求められる5つの力

1. 志望動機
2. 読む力
3. 考える力
4. 書く力
5. 学部への基礎力

まず、「その学部で、何を、なぜ、学びたいか」
という、動機や意欲が問われます。

小論文という大学の入り口で意欲を見せた生徒は、
実際に大学にきて、いい学問をしてくれるということに、
大学は、追跡調査などをして自信を持っています。
ですから、採点に苦労はしても、
学問への意欲が高い生徒を
選んでとろうというねらいがはっきりあるのです。

さて、高校生のあなたにとって、
大学の学問は「未知」です。
未知のものに、どうやって意欲を示しますか?

次に読む力。
書くためには、
長い文章も、筆者の一番言いたいこと=「意見」と、
「論拠」をつかみ出し、「要するに…、要するに…」と
まとめなおして理解する力が必要です。

3番目、これがいちばん肝心なのですが、
「自分の頭でものを考える力」です。

自分の頭で考える方法を習ったことがありますか?

4番目の書く力。
読む人にわかりやすいこと。
意見と論拠が筋道立てて述べられていること。

そして最後に、学部への基礎力。

法学部なら「法」、経済学部なら「経済」、
文学部なら「言葉と文化」といった、
学部の基本となるテーマについて、
高校生なりの関心をもって理解しておくことが必要です。
あくまでも楽しく。
入学後にも活きることですから。

さらに、法学部なら
将来の弁護士などを目指すのだから論理性、
医学部なら、科学的なものの見方・
倫理観・患者さんと接する人間性など
学部・学科にそった「適性」が試されます。

つまり、高校生なりのものでいいから、
「志望学部への意欲や適性」があること、
講義についていくだけの
「読み・考え・書く力」があることが、
志望学部の先生に伝わって、そして、
「この人にうちの学部にきて学んでほしい!」
と選ばれること、
それが、小論文入試のゴールです。

小論文と入試のゴールがつかめたところで、
では、これらの力を、どうやって高めていくか?

それを、次回から、やっていきましょう!

レポートと小論文のちがいも
次回、お話したいと思います。
これも、ゴールから考えるとわかりやすい。
小論文のゴールは説得。
では、レポートのゴールは?

そう、「報告」です!


(次回につづく)




『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房1400円




『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
山田ズーニー著 PHP新書660円


内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの
痛みと歓びを問いかける、心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)

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2004-09-22-WED
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