| Lesson66 ふしぎな都市論 ―― おとなの小論文教室放課後
 
 今日は、いつものレッスンはお休みして、
 ちょっと雑談しようと思います。
 
 文章は、書き手の想い、
 つまり、「根本思想」に大きく影響されます。
 で、都市にも「根本思想」があるとしたら?
 
 以下は、そんな
 ふしぎな都市論です。
 友人のこんな話から、お聞きください。
 ↓
 
 僕はアメリカ横断してうんざりした目にあいました。
 
 アメリカはサンフランシスコからシカゴまで
 車借りてドライブしたんですけど、
 「無意味に広い」の一言ですね。
 (三日で飽きちゃうから
 横断なんてことはやめたほうがいいですよ。)
 歴史もないし、
 都市をちょっと離れれば物もないし、なんにもない。
 
 なんにもないとこにいろんな種まいて
 ボワっとでてきたのがアメリカ。
 広いという意味では中国なども広いですけど、
 だだっぴろさ+歴史の無さ+メディアの発展度が
 各所に微妙な鬱屈さをあらわす原因になっていますねえ。
 殺し合うような問題は起きにくいですけど、
 全体的に暗くて病んでますよ、やっぱ。
 
 その点、日本、特に東京は面白いですねぇ。
 フクザツさ、というか
 多様性というか・・・の深みが全然違いますね。
 最近思うのですけど、
 
 街にも人間の意識と同じように
 表層意識な部分と潜在意識な部分がある
 と思うのです。
 
 東京はこの潜在意識な部分が、
 非常に広くて深いような気がしますね。
 もしくは上と下とのバランスが取れているというか。
 
 だいたいみんな上に見えてる氷山の一角ばっかり見て、
 その上で生活してると思っているけど、
 
 実は潜在意識な世界にも
 どっかで片足つっこんでるんですよ。
 そんで、上の部分に見えてくる
 文化とか経済とかに大きな影響力を持っている。
 でもほとんどchaosなのでuncontrollableです。
 
 
 
 ズーニー返信:
 
 都市にも潜在意識がある。
 そう考えると色々腑に落ちます。
 
 片田舎に生まれた私は、
 過疎の町にいることが、たまらなく苦痛で寂しかったです。
 潜在意識が寂しいのかな。
 若い人はいつか出ていこうとし、
 住んでいるひとも都会の方を向いていて、
 いま、ここに、人の意識がない町って。
 
 巨大リゾート施設が倒産したりするのも、
 もとは、まったくなーんにもない。なんもないとこに、
 あれだけのものを建てちゃってるんだものね。
 表面と潜在意識が見合わないというか。
 
 反対に、ほっておいても、人が自然に集まって、
 人の流れができる場所って潜在意識が深いのかも。
 確かに、片田舎から東京にでてくると、すごくバランスが整う。
 特に成城はいい。
 
 都市の潜在意識はどこにあるんだろう?
 人の心の中? 土?
 
 
 友人Fからの返信:
 
 基本的には街は人の集まったところですから、
 人が少なくって人の意識が無い街っていうのは
 意識も潜在意識も大仰では無いですよね。
 
 無いわけじゃなくて、例えば
 backgroundに土着の文化や信仰みたいのがあって、
 どんなに小さな街であっても
 それが街の色となって出てきてると思うんですよ。
 
 日本の街っていうのは往々にして歴史が長いですからね、
 こういったbackgroundが
 例え絶滅寸前で、か細いものであっても、
 長い歴史を持って
 ずっと街を支えてきたものなのだから、
 薄っぺらいものではないと思うんですよ。
 
 非常に深い潜在意識なのだけれど、
 幅が無いんですよ、たぶん。
 良く言えば純粋。
 
 外からみるとそれがまたいいんですけど、
 住んでる人は退屈でしょうねえ。。。
 アメリカの片田舎なんかは浅くて狭いから、
 外から見てもかなり退屈。
 
 > 巨大リゾート施設が倒産したりするのも、
 > もとは、まったくなーんにもない。なんもないとこに、
 > あれだけのものを建てちゃってるんだものね。
 > 表面と潜在意識が見合わないというか。
 > 反対に、ほっておいても、人が自然に集まって、
 > 人の流れができる場所って潜在意識が深いのかも。
 
 東京も元は江戸幕府がぽこんとできたわけで、
 巨大リゾートと似てなくもないんですけど、
 結局一番効果的なのは金と権力みたいなものなんでしょうね。
 最初に人が集まってきて定着するには
 どうしてもこれらの要素が必要です。
 それから文化やらなにやら
 いろいろ集まったり生まれたりしてきて・・・って感じ。
 
 で、もう一点重要なのが、適度なゆるゆる感。
 
 ちゃんと勤労してる人以外の
 あまり現実的でない連中を許容するだけの
 法的・経済的・精神的ゆるゆるさが重要です。
 
 でもあんまりゆるゆるすぎて
 表層意識が侵略される事態になると、
 また良くない事になりそうです。
 
 そのへんのバランスがいいんですよ、きっと。
 
 東京の場合このゆるゆるさは
 無関心からきてると思うんですよね。
 
 無関心はよろしくないなんて最近よく言われますが、
 無関心ゆえに誰でも適当に
 居場所をみつけられるんじゃないすかね。
 
 > 確かに、田舎から東京にでてくると、
 > すごくバランスが整う。
 > 特に成城はいい。
 
 僕は車で四六時中うろうろしてるんで感じるんですけど、
 1km移動すると雰囲気が変わるんですよ。
 これはきっと歴史のなせる技だと思うんですよね。
 江戸や明治のころからひきついだ土地々々の差異が
 今風にアレンジされてるんですよね、たぶん。
 
 時間的のみならず
 空間的な多様性もフクザツさに色をそえてるんですねえ。
 ズーニーさんは成城がいいっていうけれど、
 僕はもしかしたら成城じゃなくて
 浅草がいいと思うかもしれない。
 そんな感じであの狭い中に
 どんな人でもどこか気に入る場所がありそうなぐらい
 バリエーションがあるのは凄いですね。
 
 > 都市の潜在意識はどこにあるんだろう?
 > 人の心の中? 土?
 
 都市は人のつくるものですからねえ。。
 人と人の創ったものすべてじゃないでしょうか。
 どのへんまでを表層と見て
 どっから先を潜在意識として見るかは、
 人それぞれの想いに
 ゆだねられるところだと思いますが。。。
 
 
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 ふたたびズーニーです。
 今日はこんなふしぎなまま、おしまいにします。
 あなたもちょっと、この雑談に交じりませんか?
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