80's
ミーちゃんの縁側。
「80代からのインターネット入門」のその後。

あんまりご心配をおかけしても、と思い、
少々遅めの掲載にさせていただきました。
ミーちゃん、ちょっと入院していたのでした。
いまは、もう、本人から「元気です」の
電話もあったくらいで、退院もできました。
以下、詳細は、日記をごらんください。
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11月17日(金) 晴れ

朝早くから夕焼けのような空模様で
大きなちぎれ雲が大空一面広がっている。
病院の大きな窓からなので、
やや半分見えるので
朝焼けを満喫している。
同室の(4人部屋)二人は農家の出身なので
次々と知り合いの人の話が出てきて
楽しそうに時間をつぶして(?)いる。
お互いに老人なので気楽なもの。
今日はリハビリが予約してあったが、
他の病院でも
「入院中はリハビリはしない方が良い」
と言われたので、
出かける必要もなく、
のんびりと朝から病室で、
朝焼けの次々と違ってくるのをチラチラ見ながら
同室の楽しそうな話し声をなんとなく聞いて、
日記をつけている。
なんと気楽なものよ。
ほぼ日を見ている方々から励ましの言葉や
お見舞やらいただきながら失礼しております。


11月18日(土)

なんとなく次から次へと検査検査で終わる
今日この頃。
明るい病室で、
一枚の大きな油絵を見ているような、
「あれっ、これがおらが前橋か?」
とビックリするような雄大な景色の中で、
病気中とはいえ、過ごせることを
ミーちゃんはボヤいてはいけませんね。
赤城山を中心にした一枚の大きな油絵、
榛名山も西に据えて、
上州の昔から利根川の流れも尽きないで
この辺の田畑を潤している。
この一枚の絵のような景色を毎日見られる喜びを
感謝しなければならない。
夕方からすごい夕焼けになり、
今日も天はわたしを喜ばせてくれた。
ちょうどインキの青のような
濃いブルーから真っ赤な濃い赤まで、
一段毎に不気味な感じで空を染め、
相当長い時間を病室の窓からも見えていた。
どうしてこんな濃い色が雲の色に出せるのか??
ただただ不思議で廊下へ出て、
西の窓から何回も見ていた。


11月19日(日) うす曇

この二、三日はハッキリ晴れて、
景色もクッキリ出ていた秋らしい日だったが
今日は朝からボーっと霞んで
まるで春のような日だった。
山々もボーっとしている。
この一枚の油絵の雰囲気がすっかり違ってしまった。
うっかり窓の外を見ると
眠くなってしまうようで、大前橋の感じがない。
さて、わたしは入院以来、
固形物(ごはんもパンも)食べていない。
注射とお薬で生きている。


11月20日(月)

今朝は雨で明けた。
昨日見えていた遠くのビルがぜんぜん見えない。
市の中心部も見えない。
ただ静寂で眠ったような景色なので
ベッドの中にじっとしていた。
本当は眠くて仕方ないのだが眠れない。
入院後ほとんど固形物を食べていないので
人間休業の状態なのだ。
紀子クリーニング店に出すものを選んでまとめた。
ほとんどベッドの上の作業でトテモ疲れた。
少し歩けばよいと思うが、
病院内は自分の部屋から出るのも
うまくないのだとのことで何も出来ない。
日記の清書ぐらいでちょうど良いのか?


11月21日(火) 晴天

今日も静に明けた。
朝、看護婦さんから
「お風呂に入りましょう」
と言われ、暖かそうなのでわたしも同意した。
看護婦さんはお風呂に入れてくれるのに
ものすごくサッサと、
わたしの方がオドオドしてしまう。
髪も洗ってくれてフーフーしていたが、
わたしの方がオタオタして
ついて行けないようだった。
廊下の端の辺りに朝日がさして、
とても暖かそうだったので
病院の車椅子を借りて、
ドアーの内側から日向ぼっこを
30分ぐらいのんきそうにした。
このところ、点滴等のおかげで
まとまったことが出来ないので・・・。
そのうち、純子ちゃんが、
ちょっと髪などきれいにしてわたしのところに寄り、
「トルコへ出かけるので」
と嬉しそうに元気で顔を見せていった。
わたしはせいぜい楽しんでいらっしゃいと励ました。
本当は、
純子ちゃんはミーちゃんが
相当具合が良くないと思っていたらしい。
顔を見てほっとしたようだった。
今ごろのトルコはどんな気候かな?
私がトルコへ行ったとき、
じゅうたん製造元のようなところへ案内され、
トルコ人で日本にもいたことがある人が、
次々とじゅうたんを広げて見せては、
「これ銀座一坪、安い、安い」
と言っていたのが忘れられない。


11月22日(水)

朝から明るい良いお天気だ。
昨夜から今朝の6時ごろまでは
ベッドの配置等でゆっくりできず疲れてしまった。
こんな時良く見る夢は
いつも同じようで、目がさめると
またこの夢を見たと更に疲れてしまう。
毎日毎日パジャマ姿で暮らすあわれ、
いつまで続くのか?
入院当時、病室からの展望の良いことに喜びを感じ、
しばらくはあきらめることと
自分に言って聞かせている。
今日は静で春がすみ展望がきれいで良い。


11月23日(木) 晴れ

ベッドの上に起き上がる。
そこは大展望台のような景色だった。
抜けるような青空のしたの山際には
小さな雲がチョコチョコと
出ていてかわいらしい。
赤城山は正面にデンとして
「我こそは上州の山」
と得意そうだ。
風があるのか、
明るく広い青空は、
何もかもを大きく抱え込むように
わたしたちにやすらぎをあたえている。
午前中は久しぶりに点滴がないので、
ゆっくりベッドで日記が書ける。
嬉しい!!!
今日はすばらしく明るい天気で
わたしの体調も良い。
雲の流れもいろいろ見られた。
シーツ交換日で真っ白いシーツに気を良くして
ベッドメイキングもすてきにでき、
もう言うことなし。
今夜はのびのびと安眠できそうだ。
この病院に入院した頃から
家のもみじが紅葉しだしていた。
いまごろ最高に赤くなっているだろう。
その紅葉が落ちないうちに退院したいナー。
おっと、日記が長くなりすぎた。さようなら。


11月24日(金) 晴れ

毎日すばらしいお天気が続いているが、
今日は今までで最高のような気がする。
空はそら色ただ青いというだけでは物足らない。
ベッドの中から見ると他の色はぜんぜんなく、
そら色のみだ。
純子ちゃんはトルコでどんな空を見ているかしら?
パムッカレは温泉が湧き出して
岩石の弱いところへ温泉の湯がたまり、
それに空の青さが写って青く見えるのだと聞き
楽しみに行ったが、
ちょうどその日は空が曇っていて、
水溜りはうすボケていた。
あんなに期待して行ったのに、
残念でたまらなかった。
午後になっても大空は、
青一色だったがだんだんボケてきた。
前橋は上越国境の山も見え、
今日もまた偉大な景色に圧倒された。


11月26日(日)

青い、とだけでは言い足りない空の色。
それはそら色そのもので
ただの青空ではない。
そら色の空なのだ。
朝だけでなく一日中そら色一色の雲のない日だった。
又、風も出ないので日本晴れ、
世界晴れかもしれない。
ベッドで横になっているわたしは
ガラス窓全部がそら色だった。
こんな日が今までにあったか?
とにかく日本晴れなのだ。
一生忘れない程の日本晴れ。
わたしは点滴があったので
殆ど何もしないで横になっていた。
午後は点滴をしなかったので少々日記も書けた。
それが空の色だけで終わり
今は夜の静けさバッチリの病室で・・・・・。
真っ暗になった夜の前橋の夜景もまたきれいだ。
小さな双眼鏡も出してみたが、
改めて双眼鏡で見る必要がない。
今後どこで暮らしてもこの様な
きれいな夜景は見られないだろう。


11月27日(月)

今朝も良い天気で始まった。
久しぶりに気持ちよさそうに
7、8羽のからすが
わたしの7階の部屋の少し下の方で飛んでいた。
黒いカラスは朝焼けの空に浮き出して見えていて、
わたしも久しぶりに
「カラス君よ久しぶりねー、
 姿が見えて嬉しかったよー」
と心で言った。
これでわたしもドロンとしていた
この頃の気分が明るくなったと
自分で感じ、新しい朝が始まった。
となりの個室では人の出入が多く、
わたしは一人で廊下の先のトイレに行ったり、
大きく行動するようになった。
こんな立派な病院生活も
そろそろ終わりそうなので、
一人であちこち見て歩いている。
今朝も一回だけ右腕の点滴をした。
朝食後は自由に歩けて衣類の整理等も出来、
大分片付いてきた。
体調が良いので食べたいものが
頭にチラチラしてきた。
ちらし寿司とお赤飯が目の前にちらついて
明日にでも食べたい。
昼過ぎ、予約してあった美容師さんが来てくれて
別室でものすごく手早く
カットしたり洗髪したりしていただいた。
短くなった髪型に、
少し恥ずかしさもあるが、
長い時より気楽な気がする。
紀子に注文しておいた
焼きまんじゅうを紀子の代わりに
初美さんが持ってきてくれた。
早速、バクバク。
その内、雪江さんが来てくれて、
わたしの短くなった髪型に驚いていた。
夕方、石野さんも来てくれて、
わたしがあんまり元気なので驚いていた。
石野さんは細かい白い花と赤と
ピンクの花を挿していった。
とても可愛らしい。


11月28日(火)

今日は、灰色の雲が出てきて午後は暗くなってきた。
わたしたちの部屋の看護婦さんとも
すっかり仲良くしてもらい、
だんだん病院内の様子がわかり、
一人でも行動できるようになってきた。
相変わらず昼食後の今でも眠い。
日記だけはと思って書いているが・・・・・。
又、食べたいものがあり、次の注文にした。
望みがかなうかな?
窓からは、あちこちに紅葉の赤いのが見えている。
今は病院では暖房がきいているので
パジャマでも何とかすんでいる。


11月29日(水)

今朝は明るい朝だった。
この間のようにすっきり晴れてはいないが
晴天と言える。
お隣のベッドの人は今日退院とのことで、
本人は落ち着かないで
お迎えの娘さんを待っている。
昨日は主治医の先生が部屋に来られて
退院の話が出たが、まだ決まっていない。
多分、木曜日から4日間ぐらいの間になるでしょう。
今日、紀子が来てハッキリするでしょう。
今日は午前中、看護学校の生徒さんが来た。
実習のようだった。
いろいろ大変だなーと。
わたしは自由に出たり入ったりしていたが・・・・・。
隣のベッドの人が退院したあと、
やっと日記を書き始めたら午後になってしまった。
お昼も済ませ、1時半に落ち着いたので、
やっと日記を書いている。
明るい日ざしが、
窓の前にそびえている県庁の建物から
反射してまぶしい。
山は全部濃い青で見えている。
入院した頃紅葉してきた大きな木が、
少し色あせてまばらになってきた。
今日は赤城山のずーっと東の裾野の方に
大きな白い雲がある。
この景色も見納めかとゆっくり見ていた。
のんびりとした午後だ。
退院となると早く日時を決めたい。

ミーちゃんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ミーちゃんへ」と書いて
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2006-12-19-TUE
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