担当編集者は知っている。


『クレーターと巨乳』
著者:藤代冥砂
価格:1,785円(税込)
発行:スイッチ・パブリッシング
ISBN-13:978-4884180287
【Amazon.co.jpはこちら】

「ほぼ日」で以前、
"写真集ぜんぶ立ち読み"のかたちでご紹介し、
たいへんご好評いただいた
『旭山動物園写真集』
その著者であり写真家の
藤代冥砂(フジシロメイサ)さんの初めての小説です。
のびのびと前向きに生きていく女性たちを主人公とした
11編の恋の物語がおさめられています。
このご本を担当された
スイッチ・パブリッシングの笹浪さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
スイッチ・パブリッシング 笹浪真理子

『もう、家に帰ろう』『旭山動物園写真集』などの
作品で注目されている売れっ子写真家の藤代冥砂。
彼の初めての小説集『クレーターと巨乳』が、
スイッチ・パブリッシングから刊行されました。
この小説は、「SWITCH」誌上で
2002年2月号から2003年1月号まで連載した
「誰も死なない恋愛小説」を改題・加筆したものです。
連載中から大きな反響をいただいていたのですが、
単行本になるまで3年以上の月日が流れてしまいました。
「なぜ、時間がかかったのか」の理由は
いくつかあるのですが、
「本としての良いかたち」を模索しているうちに
3年が過ぎてしまった、というのが大きな要因です。

著者の藤代さんですが、
実は、初めて「藤代冥砂」という名前を見たとき、
てっきり「女性」だとばかり思ってしまいました。
きれいな響きの名をもつ女性写真家がいるんだなあ、と。
思い込みとは恐ろしいもので、
その後、経歴を目にする機会もあったはずなのに、
なぜだかずっと「藤代冥砂は女の人」だと
信じ込んでいました。
ところが、ひょんなことから、
その「フジシロメイサ」さんと
お仕事をすることになりました。
そして、美しい響きの名の主が、
坊主頭にこんがりとよく焼けた肌をした、
柔らかなまなざしをもつ
「男性」であることを知ったのです。

前置きはこれくらいにして、
藤代さんの初小説集『クレーターと巨乳』について、
ご紹介しましょう。
ここでは、どうしてこのタイトルに決まったのか、
決定までの過程をお話ししたいと思います。
もしかしたら、このタイトルを見て
「パス」してしまう女性読者がいるかもしれません。
それでも、あえてこのタイトルに
決めた理由についてです。
出版社によって、タイトル決定までの過程は
さまざまですが、
当社の場合、担当者が案を出し、
それを社長のAさんと著者に諮(はか)るという、
いたってシンプルな流れになっています。
『クレーターと巨乳』の場合、
本の全体像が見えはじめ、
「そろそろタイトルを決めなければ」
という段階になったとき、
私には3つほど候補がありました。
この小説集には11の短編が収録されているのですが、
そのうち、私から見て特に印象深く思われた
タイトルが3本ありました。
「クレーターと巨乳」「馬を追う」「清潔な砂漠」
の3本です。
収録されている作品と切り離した書名にする、
という選択肢もありますが、そうすると、
読者と作品の距離が離れていってしまう気がしたので、
この小説集に関しては、
収録作品の中から選びたいと当初から思っていました。
実は私自身は、最初、「清潔な砂漠」がイチオシでした。
「『クレーターと巨乳』は、イロモノっぽく思われて、
 女性に支持されないかも」
「『馬を追う』はちょっとマイナーすぎる印象かなあ」
などと考えたためです。
その点、「清潔な砂漠」は、
タイトルからかっちりとしたイメージが拡がり、
小説の題名としては、申し分ないように思われました。
ところが、タイトルを検討する打ち合わせの場で、
社長のAさんからこんな意見がでました。
「『清潔な砂漠』は、
 ほかの作家でもありそうなんじゃないの?」
そう言われれば、たしかにそんな気もします。
女性作家の小説にありそうな、
ちょっと既視感のあるタイトル‥‥。
その後、
「じゃあ藤代冥砂らしい、
 オリジナリティがあるタイトルは」
という話になりまして、
数度の打ち合わせのあと、
結果的に「クレーターと巨乳」が浮上したのです。
「イロモノ」と思われるかも可能性はあるけれど、
「クレーター」と「巨乳」という
シュールな組み合わせが藤代さんらしく、
ユニークに思われたからでした。
著者の藤代さんにこのことを報告すると、
最初、ちょっととまどったようでした。
「女性読者の場合、
 このタイトルだと敬遠されてしまうのでは?」
という感想をお持ちになったのです。
藤代さんの懸念はもっともです。
私自身、最初はそう思ったのですから。
しかし、
「抵抗感はないけれど、既視感があるタイトル」と、
「敬遠されるかもしれないけれど、
 藤代さん的な、ユニークなタイトル」を天秤にかけて、
最終的に藤代さんに納得していただきました。
実は、「クレーター」はある物の比喩なのですが、
この比喩が実に藤代さんらしい個性的なもの。
なんの比喩かは、読んでのお楽しみです!


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『クレーターと巨乳』
著者:藤代冥砂
価格:1,785円(税込)
発行:スイッチ・パブリッシング
ISBN-13:978-4884180287
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
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2007-03-23-FRI

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