担当編集者は知っている。


『いつも、ふたりで
 ばーさんがじーさんに作る食卓』
著者:岡西克明/松子
価格:1,365円(税込)
発行:講談社MouRa
ISBN-13:978-4062136877
【Amazon.co.jpはこちら】

いっしょに暮らす歴43年、
68歳のご夫婦がおふたりでつくっている
人気ブログ「ばーさんがじーさんに作る食卓」が
ご本になりました!
健康上の理由で「減塩・ローカロリー」を
言い渡されたじーさんのために、
ばーさんが工夫をこらしてつくる料理の数々が
おだやかな日々の暮らしとともに綴られています。
このご本を担当された荻田さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

***********************************

担当編集者/
フリー編集&ライター 荻田恭子

本書は現在も数日おきに更新されている人気ブログ
「ばーさんがじーさんに作る食卓」
書籍化したものです。
「ばーさんがじーさんに‥‥」なんて、
どんなお料理が並んでいるの? とお思いでしょう。
まずは、書籍に掲載した写真を
いくつかご覧いただきましょう。


▲にがうりと牛すね肉のカレー・クスクス添え
 クローブ、カルダモン、クミンシード、ローリエ‥‥と
 スパイスたっぷりのカレーです。



▲なんでもパエジャ
 自家製のサフランをたっぷり使ったパエジャ。
 手前のフルーツサラダのイチジクも庭で採れたもの。



▲根菜のカポナータ
 夏野菜で作るのがお約束のカポナータを根菜で。
 フォカッチャの上に乗っているハーブも自家製。


これらは正真正銘68歳(当時)のばーさん・じーさんの
毎日の食事の一部です。
「今日はスペシャルな食事にしてみました」
というのではありません。
こんなステキな料理写真が、軽妙洒脱なテキストとともに
連日のようにブログにアップされていたのです。

私がこのブログを初めて見たのは2005年6月ごろで、
定期的に読んでいたあるブログで、
このブログの名前を見かけたのがきっかけでした。
ブログの名前にインパクトがありすぎたせいで、
最初は「何かの企画モノか?」と思ったくらいです。
プロはだしのお料理に、絵心のある写真、
読みほどに味わい深い文章と、
どこをとっても非常に完成度が高く
「このばーさんとじーさんはタダモノじゃないなぁ」と
思いつつ、一気読みしたことを
昨日のことのように覚えています。

それ以後は、このブログを愛読する皆さんと同様に、
1日1回訪問するのを楽しみにしていたのですが、
1ヵ月ほど愛読者をやっているうちにむくむくと
「書籍化したい!」という欲が出てきてしまったのです。
書籍化したいと思った理由のひとつには、
もちろんお料理のすばらしさがあります。
でも、単に、お料理上手というだけでは、
こんなに心は揺さぶられません。

おふたりの食卓には
「老人は薄味の和食」という思い込みを覆すようなお皿が
連日並びます。
中華・タイ料理・インド料理といった
スパイスを多用した鮮やかなお料理です。
その理由はじーさんこと、sesentaさんのために
塩分や油分を控えるためというというのがまず一側面。
でも、「減塩・ローカロリー=和食」とならないのは、
ばーさんこと、cincoさんの好奇心のなせる業でしょう。
「愛する人に美味しいものを」と、
夫の身体を思いやって毎日食事を作りつつ、
制限を「縛り」とせず「楽しい課題」として
自分自身も楽しんで台所に立っている。
その前向きな姿勢がとても素敵に感じられたのです。

また、大好きな柑橘類の皮はピールにしてお茶請けに、
採れすぎたキュウリやナスは
ピクルスやオイル漬けにして長期保存、
スペイン料理には必須のサフランは自家栽培、
秋にはイチジクをもぎ、栗ひろいをし、
雨上がりにはしいたけを採取して、
冬には大根のきれっぱしや白菜を寒干しして
ストーブの上の鍋でコトコト煮込んでたっぷり食べる、
柚子を収穫して柚子ジャムを作り、
お味噌を仕込んだり、たくあんを漬けたり‥‥、
季節に応じて
大地の恵みをあますことなくいただく姿勢には、
昨今よく耳にする
「ロハス」や「田舎暮らし」に通じるものがあります。
でも、そんなキャッチをつけるのがヤボに思われるほど、
無理なく生活の一部になっているところが、
なんともいえずカッコいい。
毎日の食事を大切にすることは、
毎日をていねいに暮らすこと。
その積み重ねが豊かな日常に繋がっていくのだ
ということに、改めて気づかされます。


▲切り干し大根
 もちろん、このような和食もときには作ります。
 この切り干し大根も、大根を調理するたびに出てきた
 切れ端を干しつつ作った自家製です。


こうして作られたお料理はsesentaさんが撮影し、
食事を終えたらふたりでパソコンの前に座って
原稿を書いてブログにアップする、
というのが一連の流れですが、
読む度にふたり並んで書かれているのだなと感じられて、
とてもほほえましい気分にさせられます。
お互いがそれぞれ好きなことに打ち込むという
独立独歩的な夫婦のかたちも素敵だと思いますが、
夫唱婦随でも婦唱夫随でもなく、
ふたりで一緒にという日常には、
それ以上の大きな憧れを感じました。
少なくとも、私個人は
「こんな素敵な夫婦が実在するのか!」と驚き、
そして「年をとることも悪くない」と
勇気づけられたのも、
書籍化したいと感じた理由のひとつです。


▲ターキー
 「ブログに来てくれる皆さんと一緒に
  クリスマスを祝いたい」と
 半日オーブンに付きっ切りで焼き上げたターキー。
 この日(05年12月24日)のブログのコメント欄には
 クリスマスの挨拶が並びました。


書籍化にあたっては、
講談社から書籍化の内諾をいただき、
本格的にゴーサインが出るまでに
1年近くかかっていることもあって、
編集作業を始める際はすでに300本近くの記事があり、
どの記事をセレクトするかが一番大変な作業でした。
担当いただいた講談社MouRa編集部の
野中史子さんの勧めもあって、
当初からレシピ本ではなく、
エッセイとして編集する方針だったので、
掲載条件を「夫婦愛が感じられる記事」
「四季を感じられる記事」の2点に絞り、
2005年5月〜2006年5月の1年間に公開されたものから
選び抜いたのが本書に掲載された記事たちです。

本書は圧倒的に既婚の女性からの反響が多いのですが、
ぜひ男性にも手に取っていただきたいと思っています。
私自身、本書の編集に際して
夫婦のあり方や、豊かさという言葉の意味、そして
どのように年を重ねていくべきか‥‥といったことを
ずいぶん考えさせられましたが、
それらに対する答えのひとつが本書にあると思います。
みなさんに、ご一読いただけると幸いです。

***********************************


『いつも、ふたりで
 ばーさんがじーさんに作る食卓』
著者:岡西克明/松子
価格:1,365円(税込)
発行:講談社MouRa
ISBN-13:978-4062136877
【Amazon.co.jpはこちら】

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2007-03-13-TUE

BACK
戻る