担当編集者は知っている。


『自分って、なに?』
著者:オスカー・ブルニフィエ
絵 :オーレリアン・デバ
訳者:西宮かおり
価格:1,470円(税込)
発行:朝日出版社
ISBN:978-4-255-00380-1
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フランスの小学校の哲学の授業で
先生と子どもたちが交わした対話を
そのまま本にした「こども哲学」シリーズ。
生きるってなに?
よいこととわるいことってなに?
きみの考えは、きみのもの? ‥‥など、
答えがはっきりでないことがあっても、
人と答えが違っていても、
それでも自分で考えることっておもしろい、
と思える問いやきっかけがいっぱいのご本です。
大人が読んでも、はっとさせられます。
担当された朝日出版社の
大槻さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)


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担当編集者
/朝日出版社第2編集部 大槻美和

「どうして生きてるんだろう?」
「どうして人に親切にしなきゃならないんだろう?」
「宇宙って、ほんとにあるのかな?」
「恋をするって、すてきなこと?」

こどもは毎日、ありとあらゆる質問をします。
親として、おとなとして、あるいは友だちとして、
あなたはどんなふうに答えていますか。
考えてみると、おとなだって、
なんで生きてるのか、
なんで親切にしなきゃならないのか、
それから宇宙の謎も、恋の秘密も、
わかっていないんじゃないでしょうか。
そんな素朴な疑問を親子で話し、
考えることができたなら
きっとすごく楽しいし、
いろんな発見があるに違いない!
「こども哲学」シリーズは、
そのきっかけを作ってくれる本です。



  * * *

本シリーズはフランスの小学校で開かれた哲学の授業で
こどもと先生が交わした会話を
まるごと絵本にしたものです。
今年の1月、第5巻の『知るって、なに?』と
第6巻『自分って、なに?』を刊行しました。
(全7巻です)
『よいこととわるいことって、なに?』とか
『きもちって、なに?』といった題名から、
本のなかに、その問いに対する答えが
書いてあるんじゃないかと思うかもしれません。
でも、ちがいます。
「こども哲学」シリーズの核心は、
「答え」を教える本じゃないところ。
そのかわり、こう言います。

「たったひとつの正解なんてない。
 だから、ひとりひとりが自分の力で考えていこう。
 そのためのヒントは、たくさんつまっているから」

  * * *

「自分の力で考える」体験をさせるべく、
この絵本の構成は、ちょっと変わっています。
まず、「善悪」や「きもち」といったテーマにそって、
1冊の中に、6つの大きな質問があります。
たとえば新刊の
『自分って、なに?』には、
 ・はやく、おとなになりたい?
 ・きみは、みんなとおんなじ?
 ・鏡で自分をみるの、すき?
 ・自分のこと、自分できめてる?
などの問いがあります。
それぞれの質問に、こどもから、
「○○だから、こう思う!」という答えが
5つ、6つあげられます。

例えば、
「はやく、おとなになりたい? 」
に対して、あるこどもは、
「いや、だってどんどん年とって
 それで、しんじゃうんでしょ 」




と答えます。

その答えを「そうだね、でも」と受けとめて、



そこからさらに、3つか4つ、
思いもよらない問いが返されます。

「昨日より今日の自分がちょっと年とってるのは、
いやなこと?」




「年をとるって、いろんなものを失うだけ?」



(この部分は、毎回コミカルなイラストが
 ついているのですが、
 遊び心があって、すごく楽しいのです。
 読者にも大人気)

章の終りには簡単な「まとめ」がありますが、
基本的に、この最後の問いには、答えが与えられません。
この先は、読者が、一緒に読んでいる相手と
話し合いながら、
考えを深めてゆけるようになっています。
そう、この本でこどもたちが学ぶことは、
「答え」よりも、もう一段深くて大切なこと、
“答えを考えるための道のりを、
思いっきり楽しむこと”なのです。

  * * *

このシリーズでとりあげられるテーマは、
驚くほど多岐にわたっています。
やきもちや、さみしさや、恋、
ひとりぼっちでいることや、
みんなといっしょに生きること、
それから、人間がいつか死ぬことや、
世界に不平等があることまで――
こどもたちが出会う、難題の幅に、
それから、そのシビアさに、びっくりします。

たとえば、
「こまっているひとがいたら、たすけてあげる?」
(『よいこととわるいことって、なに?』より)
というテーマのイラストでは、
女の子がホームレスに出会います。

「人生って、なんでつらいんだろう?」
(『人生って、なに?』より)では
「戦争があるから。」
「ひとりぼっちだって思うから。」
なんて答えもあります。

相手がこどもだからって、あなどらない。
生きていくうえで出会う、いろんな問題にフタをしない。
ときには、考え同士がぶつかって、
矛盾が生まれることもあります。
「こども哲学」は、そんな食い違いを、
そのまんま表に出すのです。
(ふつうの本では、本の中身は一貫しているべし! で、
 矛盾してることはあんまりないですよね。)

でも、この世ってそもそも、
そういうものじゃないでしょうか?
ことわざだって、並べてみれば矛盾している。
「急いては事をしそんじる」と「はやいが勝ち」
「カエルの子はカエル」と「氏より育ち」。
いったい、正解はどっちなんだ! と
問い詰めたくなります。
たぶん、両方とも大事なんです。
片方だけ知ってるより、両方知ってるほうが、
きっと強く生きていける。
どっちが正解なのかなぁ‥‥と考えてゆけるし、
時と場合によって、有効なほうを選ぶこともできる。
「こども哲学」は百家争鳴、
いろんな考えとの出会いの場なのです。
きっと、頭と心に、いろんなタネを蒔いてくれるはず。

  * * *

さらに、巻末には、日本版監修・重松清さんの
特別ふろく「おまけの話」が綴じてあります。
本編のテーマを日本の小・中学生を主人公に
語りなおしたサイド・ストーリーですが、
これが、胸にぐっと迫る、切実なものなんです。
自分のこどもの頃を思い出して、
ちょっと恥ずかしくなったり、
いまよりほんの少しやさしい気持ちになれたり、
前を向いて一歩踏み出そうという勇気をもらえたり。
いろんな気持ちが、自然とわきあがってくるんです。

どうぞ、「こども哲学」をお手に取ってみてください。
そして、あなたの大切なひとと、
話し合ってみてください。



『知るって、なに?』

●「こども哲学」シリーズの第1巻〜4巻の
くわしくは朝日出版社のホームページをご覧ください。

●そのほかの既刊書へはこちらからどうぞ。
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 『よいことと わるいことって、なに? 』
 『きもちって、なに?』
 『人生って、なに?』
 『いっしょにいきるって、なに?』
 『知るって、なに?』

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『自分って、なに?』
著者:オスカー・ブルニフィエ
絵 :オーレリアン・デバ
訳者:西宮かおり
価格:1,470円(税込)
発行:朝日出版社
ISBN:978-4-255-00380-1
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2007-02-09-FRI

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