担当編集者は知っている。


『ドクター・オガワに会いにいこう。
 ―はじめてのマーケティング』
著者:小川進
イラスト:上田バロン
価格:1,050円(税込)
発行:千倉書房
ISBN:4805108452
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ミスDJとして大人気でいらした千倉真理さんが、
“いろんな偶然が重なって”マーケティングの本の
担当編集者になられました。
副題が「はじめてのマーケティング」。
最近「はじめての落語」や「はじめてのJAZZ」を
行っている「ほぼ日」にとって、
仲間を見つけたようでうれしいです!
しかも内容が、わかりやすくてとてもおもしろい。
誰かに必ず「マーケティングっていうのはね、」と
説明したくなってしまうほど
理解しやすく書いてくださったのは、
経営学博士の小川進先生です。

「『顧客の期待に応える』だけではダメなのです。
  『期待に応える』だけでは、『普通』という評価しか
  顧客から得ることができません。
  『期待を超えて』初めて顧客は満足するのです」

「ブランドというテーマを考えるとき、
  いつも私の頭に浮かぶ言葉があります。それは、
  宗教について研究されている方の言葉なのですが、
 ブランドに通じるものが非常にあると私は考えています。
 その言葉は、
 『神が本当に存在するかどうかは問題ではない。
  大切なのは、どうして神が存在すると
  これほど多くの人びとが信じているかだ』
 というものです。」


とにかくおもしろいうえに、イラストもおしゃれ。
ぜひ、実物をご覧ください!
            (「ほぼ日」さいとう)

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担当編集者/千倉書房 千倉真理

えっ! こんな教科書見たことない‥‥!
って思っていただけたら、
まずは、それだけでうれしいです。
会社としても初めて、もちろん私の人生でも
初めての絵本作りでした。
神戸大学の小川進先生が、
「マーケティングの教科書を絵本という形式で
 作れないか‥‥」という話があったときに、
「そういうのって見たことないから、やってみたい!」と
飛びついたことが始まりでした。

私自身は、約20年前にラジオのDJを
やっていた時期があって、
フリーで記事を書く仕事もやっていました。
当時、サンリオから絵本の月刊誌「いちご絵本」で、
著名人に「思い出の絵本」の話を聞くコーナーで
インタビュー役をしていて、
その時の担当編集者だった山根玲子さんに相談すれば
なんとかなるだろう、と思ったわけです。
彼女は
「千倉さん、やれますよ。私が全部アドバイスしながら、
 絵本の編集を教えてあげます」とのことで、
それからの数ヶ月が、ド素人が挑戦する
マーケティング絵本作りの日々となったわけです。

最初の顔合わせは、神戸大学の研究室で、
先生も山根さんも、童話の絵本を沢山かかえて登場。
その時、すでに先生の原稿は、
おおかた出来ていました。
「マーケティングは△で考えます。」という
第一章の展開は、こんな風です。

--ある国でバナナしか食料がないときに、
 お猿のモンキーはそのバナナを作って売ってくれる
 タイワンさんという業者から買って食べています。
 こうした状況では実はマーケティングは
 必要ではありません。
 その後、その国にもう一人バナナを作ることができる
 フィリピンさんが移り住んできます。
 するとモンキーさんはタイワンさんとフィリピンさんの
 どちらからでも買えるようになります。
 困ったタイワンさんは‥‥(中略)。
 こういった活動を『マーケティング』と呼ぶのです。--

「ふーん」と、普段、ビジネス書も読まず、
経済学部もでていない私も納得。
「このページの絵だったら、サルが上に来て、
 バナナが2つ下にくるわけですよねー」
「なるほどー」
「じゃ、どんな絵がいいでしょうか‥‥」
そんな会話はとてつもなく楽しいものでした。

「で、そもそもどんな形式の絵本がいいですか?」
「大きさは?」「予算は?」みたいな話に
なっていくのですが、なにせ初めてのことなので、
私は皆目わかりません。
普通は、出版社の会議室で、最初にどんな本を作るか、
部数、定価、販売日、制作費などを全部決めてから
作業に入っていくのが王道らしいのですが、
今回は、どんなものが出来るのだろう‥‥と
ドキドキしながら進めていく感じでした。
そのためには、ポイントとなる最後の仕上げの
グラフィックデザイナーや印刷会社だけは、
「絵本のプロ」にしっかりやってもらおう‥‥と
山根さんが自信を持って配置してくれたので、
景色を楽しみながら船に乗っていられました。

ただ、オールカラー32ページで、
大きさも完璧に絵本の大きさにしたいとなると、
「教科書」だけではとてもとても
採算が合わないわけです。
千倉書房にとっても、びっくりするほどの革新なのだから、
ちゃんと書店売りもしなくては。
昔から会社にいる営業の人に
「ね、うちって 普通の本屋さんに
 置いてもらえるのですよねー」
「大丈夫ですよ、返品条件付きです、っていえば、
 置いてくれるはずです」
「わーい!」
みたいな話でした(ここ数十年、
書店営業をしたことがない会社なのです)。

さて一番大事なイラストレーター選びです。
そもそも今回、小川先生が
こういう変わった教科書を使いたい‥‥と思った理由は
「授業中、学生が携帯画面ばかり見ている。
 何とか、講義に集中させたい」というものでした。
だったら、それだけインパクトがある絵じゃなくちゃ、
あーでもない、こーでもない‥‥。
ちなみに小川先生は40歳、
山根さんと私はちょっとばかりお姉さん。
私たちの考える絵本っていうと
「おさるのジョージ」とか
「100万回生きたねこ」などなど。
もちろん、大御所の絵描きさんは予算も大変だろうし、
そもそも1年待ちとか、2年待ちとかいう話も聞くし、
その前にお会いできるかどうかもわかりません。
先生のマーケティング理論を絵にしてくれて、
しかも、今の大学生の目を引いてくれそうな人って‥‥。

そこで、浮かび上がってきたのが、
上田バロンさんでした。
大阪在住の30歳。ちょうどそのころ、
バロンさんがやっていた大阪のアメリカ村の
マクドナルド店を飾ったポスターを見せてもらったところ
小川ゼミの若い学生たちにとてもウケました。
それでいて、私たち40代も惹きつけられる何かが
ありました。
そもそも今回の目的は、授業を受ける学生に
「マーケティングを楽しく勉強してもらいたい」
ということです。
たとえ、学生時代に興味をもてなくても、
この絵本を本棚に入れて取っておいてくれれば、
いずれ就職した時に改めて思い出して
くれるのではないか‥‥講義は聞いてなくても、
その時眺めた絵の断片が頭の中に残っていれば‥‥
ということだったので、イラスト自体の魅力はもとより、
マーケティングの教科書原稿を
何が何でもイラストに出来る人でなくては‥‥と、
もう、すがる気持ちでいたわけです。

打ち合わせでお目にかかった上田バロンさんは、
初めての絵本作り‥‥とあって、
今回の意向を全て受け入れ、せっかくやるのだから、
原稿に合わせたイラストを描くだけじゃなく、
全体につながりのある構想に持っていきたい‥‥と、
「期待以上のものを返したいのです」と
取り組んでくれました。
これは、この絵本の第4章の
「お客の期待を上回ることが
 マーケティングのカギになります。」
を地でいってくれることになりました。
余談ですが、上田バロンさんが大阪を歩いていると、
すれ違う人が振り返るのです。
「こちらでは有名人なのですか? それとも、
 単にかっこいいからですか?」って聞いたのですが、
どちらでもあるようで、背が高くて、
着ているものがさりげなく凝っていて、
プジョーの自転車で大阪を走っていて、
髪の毛、金色っぽくて外人みたいです。

バロンさんは、原稿を読みながら、苦心の末、
キャラクター設定をして、
オガワ・マーケティング・ラボラトリーを創造し、
原稿の全ての講義がこのラボラトリーの中で
行われている‥‥というストーリー作りを
してくれました。
そして、最後に「ペグハウス」という
絵本専門のグラフィックデザイナーが
思いっきり絵本に仕上げてくれました。

さて、次に私は担当編集から担当営業になり、
会社にとっても私の人生でも初めての書店営業を
見よう見まねで始めました。
ウチにしてみれば、これだけ書店に置かれる状態は、
ここ数十年なかったのではないでしょうか。
そこでは「将来お店を出したい」って思っている女性や
アパレル関係の営業をしている人など、
いろんな方と出会えているみたいです。

また、この絵本を新人研修や人材研修に
使っていただける企業もでてきました。
小川先生は他の大学でこの教科書を採用してくださる
先生方にも使ってもらえるように、
講義ノートを神戸大学のウエブにアップして
「授業の進め方」を紹介していくそうです
(4月後半以降になりそうです)。

               

以上が、本の説明でした。ふー。
今回はこのコーナーに応募しておいて、いざとなったら、
足が震える状態で書かせていただきました。
実はこの10年以上、外国のあちこちに
住んでいたのですが、
去年、社長であった父が突然のガンになり
67歳で急逝しました。
私も帰国し、病院での2ヶ月を一緒に過ごし、
その最期の日々を書いた小冊子を社葬に向けて作りました。
そこに何枚かのイラストを使ったのですが、
それを見た小川先生が「え? 千倉書房でも
イラストが使えるのですか?」って聞いたことも、
この絵本のきっかけの一つです。
いろんな偶然が重なって、
素人軍団と経験者の化学変化によって出来たこの絵本を
ここで紹介させていただけて、
こんなにうれしいことはありません。
これで、興味を持った方は、
ぜひ書店で手に取ってみて下さい。

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『ドクター・オガワに会いにいこう。
 ―はじめてのマーケティング』
著者:小川進
イラスト:上田バロン
価格:1,050円(税込)
発行:千倉書房
ISBN:4805108452
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-03-24-THU

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