担当編集者は知っている。


『お菓子を仕事にできる幸福』
著者:東ハト・木曽健一・中田英寿
出版社:日経BP社
価格:840円(税込)
ISBN:4-822-24408-3
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担当編集者:日経BP社 柳瀬博一

世界でいちばん短い、そして
世界で一番平易な「仕事の本」が、できました。

『お菓子を仕事にできる幸福』

え、なぜお菓子かって?
それはこの本の著者が
「キャラメルコーン」「暴君ハバネロ」
で知られるお菓子メーカー・東ハトだからです。
みなさん、一度は食べたこと、あるでしょう?

しかも、本のプロデュースには、
なんと同社の執行役員である、
あのサッカーの中田英寿さん(!)が関わっているのです。

お菓子をつくる仕事をケーススタディに、
「好きな仕事を自発的にできるしあわせ」と
「個人が力を発揮して
 チームプレイを生み出す重要性」
を読者に伝えていく。それが本書です。

本書の「もと」となったのは、
昨年、バブル期のゴルフ場開発の失敗で
いちど倒産した老舗菓子メーカー東ハトが、
会社再建を目指す過程で意気消沈する社員たちに
「仕事ができる幸福」と
「チームで仕事をする意味」を伝え、
意思を共有しようとつくった『飛び出す絵本』なんです。

昨年、新生東ハトは
7月に中田英寿さんを執行役員に迎え、
新しいブランド戦略を打ち出し、
新商品を矢継ぎ早に出し、素早い経営改革を実現しました。
激辛スナックの「暴君ハバネロ」を出してヒットさせたり。
キャラメルコーンの
パッケージデザインをフルモデルチェンジして、
ラインアップを大幅に増やしたり。

そしてその総仕上げが、
「絵本による社員の意識改革」だったのです。

新生東ハトを立て直すために就任した
若きCEO、木曽健一さん、
それにもちろん中田さんも含めた
経営陣が知恵を絞りました。

社員たちにもう一度、
自分たちの仕事に誇りと責任を持ってもらおう。

「好きな仕事ができる幸せ」を社員で共有し、
同じ目標を抱きながら個々が自発的に動き、
チームプレイで会社を動かす大切さを考えてもらおう。

そのためにはなにをすればいいだろう?

そこで出てきたアイデアが、社員とその家族のための
「飛び出す絵本」
のかたちをした、メッセージブックだったのです。

東ハトの知恵を結集した絵本は、
クリスマスパーティで社員全員に配られました。

そして──。
非売品だったこの「絵本」は、
年末から今年の正月にかけて、
朝日新聞や日経新聞、
日経ビジネスアソシエ、GQなどで
中田英寿さんのインタビューや
東ハト再生記事とともに紹介され、
一躍メディアの注目を集めました。

「好きな仕事を自発的にやること」
「個の力を重視しながらチームをつくること」

仕事の本質を
飛び出す絵本のスタイルで簡潔にしかも印象深く記した
その内容に、賞賛の声が集まったのです。

ぼくがこの絵本の存在を知ったのは、
今年の1月4日、仕事始めで
オフィスに溜まった新聞を
片っ端から片付けているときでした。
後輩の編集者(女)が、
「柳瀬さん、これ、すごく気になりませんか?」
と朝日新聞の元旦号を開きながら、
話しかけてきました。

そこに載っていたのは
中田英寿さんのインタビュー。
しかもスポーツ面じゃなく、なんと経済面。

そう、半ば、東ハトの執行役員として、
中田さんはインタビューを受けていたのです。

そしてそこで話題になっていたのが、
社員のための「絵本」の話、だったのでした。

社員のため? チーム論? 飛び出す絵本?

記事にちりばめられたキーワードにぴんときた
ぼくたちは、すぐに東ハトの広報に連絡をとり、
非売品で社員数百人向けにしかつくっていない
その絵本を借りてきました。

「こりゃ、すごい……」

中身を見て、びっくりしました。
飛び出す絵本としては、最上のつくり。
ハトのキャラクターをふんだんにつかった
イラストもかわいい。

しかし、ぼくが一番(やられた!)と思ったのは、
短い言葉でつづられた文章の中身、でした。

ひとことで言うと、

(こりゃ、絵本のかたちをした、
 5分で読める、ピーター・ドラッカーだ)

20世紀最大の経営学者ピーター・ドラッカーは、
かつて個人が自立的に動く組織の強さを
サッカー・チームになぞらえて説明しました。

サッカーはボールをもった瞬間に
その選手が司令塔にならなければならないスポーツ。
ドリブル、パス、シュート。
その判断を瞬時に行わなければなりません。
個々の選手が自分の特性を活かしつつ
瞬間瞬間に断しチームを勝利に導いていく。

このサッカーの思想は、
そのまま、これからの企業と個人の
理想的な関係にあてはめられます。
そして
この「絵本」では、
「組織ではなく、チームになろう」
というキャッチフレーズで、
かのドラッカーが言葉をつくして説明したのと
同じ思想を、本書では、
平易な文章と愛らしいイラスト、
そして、日本最高のサッカー選手、
中田英寿さんのことばで語っています。

これはまさしく、
「世界でいちばん短い、
 そして世界でいちばん平易な経営思想書」じゃないか!

ぼくたちは、
「あくまで社員のためにつくったものですから──」と
おっしゃる東ハトさんを説き伏せ、なんとか市販化して、
よりたくさんのひとたちにこの素晴らしい本を紹介したい!
そう思って、
東ハトをあっというまに「元気な会社」に変えた
辣腕CEO、木曽健一さんに
お時間をいただき、話をさせてもらいました。

東ハトさんと、木曽さん、
そしてサッカーで活躍中の中田さんにも
ぼくたちの主旨をご理解いただき、
数百冊の東ハト社員むけの本は、
すがたとかたちを変えて、
誰の手にも届くコンパクトな絵本の体裁で
この5月、出版されました。

それがこの「ほぼ日」で紹介させていただく、
『お菓子を仕事にできる幸福』、というわけです。

本書では、
ナゾの男ハトオトコさんが
「お菓子をつくる仕事」について語りながら、
「好きな仕事を自発的にできるしあわせと大切さ」
「個の力を発揮しながら、
 仲間とチームプレイを完成する重要性」
を、あなたに伝えていきます。

カネよりまず志。
命令されるのではなく自分で動く。
そのうえでチームのために働く。
お客さんと社会のことを常に念頭に置く──。

そんな「仕事をする」うえでの「基礎」が
平易な言葉とPOPなイラストで表現されています。
世にも珍しい「絵本型のお仕事本」なんですね。
メッセージを紙細工のイラストで伝えます。
こんなビジネス書、今までにあったでしょうか?

性別を超えたあらゆる世代の
ビジネスパーソンと、
これから企業社会に足を踏み入れる学生の方々に、
ぜひ、手にとっていただきたいと思っています。

バブル崩壊以降、10年以上の
長期不況に悩まされてきた日本では、
仕事そのものに対するひとびとの姿勢も
ネガティブになりがちでした。

いつクビになるかもしれない、
いつ会社がつぶれるかもしれない──。

けれど、だからこそ、仕事に就き、
自分の意思でクリエイティブに働くことは、
楽しいことではないでしょうか?
自分の意思で仕事に就き、自発的に、創造的に
しかもチームで一丸となって働くって、
すごくエキサイティングではないでしょうか?

もちろん、
マネジャー層から新入社員層にいたるまで、
企業の研修の副読本としても
十二分に活用できる内容です。

もともと東ハトの社員たちを鼓舞するための
テキストだったのです。その効力は実証済みですよー!

「ほぼ日」の読者の皆さんは、
お仕事をしていたり、学生さんだったり、主婦だったり、
といろんな立場の方がいらっしゃると思います。
この本は、「仕事について」語った本です。
というと、会社勤めをしている人向け?
と思われるかもしれない。

でも、ぼくはあえてなるべく
いろんなひとに読んでもらいたい、と思っています。
というのも、ひとはみな
なんらかのかたちで「仕事」をしているし、
誰かの「仕事」のおかげで生きていられるからです。
だったら、その「仕事」は、
自分にとって大切で
面白いほうがいいに決まっているし、
同時になるべく多くのひとの
「ため」になっているほうがいい。

え、そんなの理想論じゃん?
いやいや、そんなことはないですよ。
大切なのは、本人がどんな姿勢で、
目の前の仕事に取り組むか、ではないでしょうか。
──ということを、この本は教えてくれます。

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-05-14-FRI

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