| 感心力がビジネスを変える! 感心して探求する感心なページ。 |
| 「ほぼ日」の正月留守番番長のひとりであった E.TANAKAこと田中宏和さんは、「愉しき哉、勉強」の人。 好奇心と向学心とぼうようとした野心を胸に、 世界を感心の坩堝に変えてしまおうという人物です。 この人の感心を尾行していったら、 必ずに誰にも感心は育てられる! 一見、男性ビジネスマン向きコンテンツですが、 女性やコドモにも、ぜひ、読んでいただきたいものです。 おもしろいんだよ、とにかく。 ほんとに仕事に役立てて、 出世してしまっても、責任は負いかねます。 |
| 第1回 電気の使い過ぎは災いのもと。 もう春になりかけですが、 お元気ですか? わたくし年末年始の 留守番番長シリーズにおきまして、 「感心力」で一途に乗りきった 一介のサラリーマン、 田中宏和と申します。 その節はありがとうございました。 2人の同姓同名 「田中宏和さん」の生存が確認できましたし、 とにかくみなさんの反響を楽しませていただけました。 そして、このたびは、大胆にも恐ろしや、 成り行きでレギュラー枠に登場することになりました。 穴埋め特番の分際だったんですけどねえ。 テーマは、 もうこれしかない「感心力」です。 打ちきりになるまでは、 世に存在するあらゆる事象に 感心しまくる予定ですので、 どうかよろしくおつきあいください。 では、さっそく本編です。 いきなりですが、 みなさんのお宅では ブレーカーが飛んでますか? うちではしょっちゅう飛んでます。 犯人は、一昨年購入した デロンギ・オイルヒーターです。 こいつ、部屋をじんわりあったくするし、 デザインは見目麗しく、 働きものなんですが、 電気の食いっぷりがすごいわけです。 寝室とリビングと書斎とダイニングが別々の 猟犬付き邸宅なんぞには ぴったりなのでしょうけど、 玄関からでんぐり返りでも 15秒で果てまでゴールのわび住まいに、 1500ワットは耐えきれません。 それに、もうひとり、 意外に電気大喰いの共犯がいます。 真冬の夜中、 デロンギをぶんぶんフルパワー運転しますよね、 また、便意というのも 自然に生じるものであります。 トイレに行く。 ふは〜。 ウォシュレットのスイッチ押す。 バチン!! 真っ暗。 目に墨汁を入れたように、 ど暗闇が訪れます。 最初にブレーカーがあがった時は、 突然で不用意だったもので、 動揺のあまりズボンとパンツをずりおろしたまま、 「殿中でござる」式に裾をふみ、 壁に両手をつけ、蟹歩きをし、 ブレーカーまでやっとこさたどりついたことを 今でも憎らしく覚えています。 こんな姿、 ケイト・ベッキンゼールには見せられません。 きっとうちには来ることはないと思いますが。 ともあれデロンギとウォシュレット、 この組み合わせは、 ブレーカー飛ばしの最強チームなのです。 そんなことで、 トイレにマグライトを 備えつけるようにしました。 今や、ブレーカーがあがっても慌てること無し。 ど暗闇になっても、 ライトをつけて、 手で狐の影絵をつくったりする余裕もできています。 ところが、 1月11日土曜日の冷え込んだ早朝、 いつもと違う事態が発生しました。 トイレからブレーカーを戻しに出て、 電源の切れた家電製品のみなさん方に ひとつひとつ電源を入れていくまではいつも通り。 電話OK、ステレオOK、テレビOK、 ビデオ・・・。 ビデオ・・・。 うんともすんともびくともしやがりません。 電源が入らなーい。 ゆすって、たたいて、 そして電源を強めに押しても、 うんともすんとも。 こいつ、ただのつけもの石みたいになっている。 「あ〜、あ」と、ひとりごちました。 しかも、ビデオの中には 因縁のテープが入っております。 閉じ込められたビデオテープには、 大いなる呪いがかかっていました。 録画された番組は、 darlingご出演の 「ダウンタウンセブン」。 それでもって、そのテープは、 「昨年感心した愛の反歌」の詠み手のものでありました。 というのもですね、 あまりに熱い反響を 「反歌」にいただいたことだし、 これは原著作権者に一報入れておこうと思った日、 その日はdarling出演番組のオンエア日でもあり、 予約録画をし忘れたこともあって、 詠み手に 「録画頼む」とお願いしていたのでした。 はたして録画してくれたんだろうか、と 思っていた次の日、 詠み手からこんな一行メールが来たのでした。 ::::::::::::::::::::::::: タイトル「取り引き」 今日ふぐ会を開いてくれたら ビデオをお渡しいたしますが。 ::::::::::::::::::::::::: これは、誘拐犯の手口です。 すんなり、ふぐ、ご馳走しました。 あ〜、なんて素直なんだろ、 自分よ。 そんなことで閉じ込められたテープには、 いわく因縁呪い付であったわけです。 こりゃ困ったなー。 どうする、このビデオ&テープ。 面倒だなぁ、面倒だ、 面倒に決まってるはずだ、修理。 一晩寝たら治れよ、ビデオ。 と、どんどん暗黒面が広がります。 邪念と戦うことしばし。 しかし、現実は変えられません。 わたくしは颯爽とパソコンに向かいました。 そう、こんな時は インターネットの出番じゃないですか。 Yahoo!を立ち上げ、 「家電」「修理」と打ち込んだのでした。 ( つづきます!) |
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第2回 サイバーコンセントにしびれました。
Yahoo!の検索結果で、 まっさきに目に飛び込んできたのは、 この一行でした。 サイバーコンセント オンラインでの診断、修理受付。 http://www.consent.jp/ まさにこういうサイトを求めてた! よっしゃよっしゃ〜。 いざクリックしてからは、 感心の魂をぐわんぐわんと揺すられました。 ![]() 一目で全体像がわかるページレイアウトに加え、 ひとつひとつの見出しにはそそられる。 「修理受付」は「見積無料」ときてます。 しかも、見積は24時間以内にやってくるらしい。 もうこの時点でビデオは直った気がしましたね。 慌て、はやる心を抑えつけ、 「修理エンジニアプロフィール」を見ていきます。 http://www.consent.jp/aboutus/profile/index.html 20代から50代まで、修理への想い入れを らんらんと表現したスタッフがずらっと数十人! なんなんだ、この楽しげっぷりは!? そして、「サイバーコンセントについて」で、 http://www.consent.jp/aboutus/index.html 感心の駄目押しです。 「REDUCE」という 事業ビジョンがコンパクトに語られ、 その深みにつくづく感心し、 下のほうへとスクロールしていくと、 こんな人物が紹介されていました。 サイバーコンセント 事業部長 鈴木 優
参りました。どれも好きだ、自分。 ぜひ、この人と話をしてみたい。 すっかり熱くなって、 まずは見積依頼を出したのでありました。 するとさっそく自動返信がやってきました。 :::::::::::::::::::::::::: ご回答は24時間以内にお出しできるよう、 スタッフ一同努めておりますが、 現在、お見積のご希望が殺到しており、 ご回答までにもう少々のお時間を いただいております。 たいへん申し訳ございませんが、 3日間程度のご猶予をいただきたく お願い申し上げます。 ご了承くださいませ。 :::::::::::::::::::::::::: 「待つ!」「待つよ!」「ご猶予OK!」 この見積のひとつひとつへの返信、 いかにも大変そうだしね。 このサイト、商売繁盛ならうれしいですよ。 もうすっかりファンですから。 そして、36時間後の丑三つ時、 返信はやってきました。 こんな夜中に仕事の返信を出す人がいる。 他人とは思えぬうれしさ。一人で拍手喝采です。 ::::::::::::::::::::::::: 田中さま サイバーコンセントの手塚と申します。 このたびは、サイバーコンセントに家電修理診断のご依頼を いただき、ありがとうございました 田中さまのビデオデッキの場合 以前より電源部が故障していたのではないでしょうか 電源部のコンデンサーが すでに電気をためられない状態になっており 電気が供給されていたときは ご使用なれていた状態でしたが、 ブレーカーがあがり 一瞬でも電源が供給させなくなったための 故障ではないでしょうか (症状の発生) 金額はその辺のコンデンサーの交換と 走行系の消耗品の交換 (ピンチローラー 切替スイッチなど)で 9,000円(送料 税金別)の修理代金になります ご検討 宜しくお願いします。 :::::::::::::::::::::::::: もう検討は済んでいますとも。 「コンデンザー」とか「ピンチローラー」とか、 何ものなんだかよくわからないのですが、 さっそく「ほぼ日」での取材を おずおずと申し出るメールを打ったのでありました。 注)サイバーコンセントのサーバーは、線がか細いらしく、 「ほぼ日」のみなさまが一気に訪問されますと、 「ページが表示できません」となりかねません。 そんな折には、どうぞこらえてくださいね。 24時間オープンですので、ゆるりとご鑑賞ください。 |
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都心から便利なベッドタウンという立地は、 いかにも修理のニーズがたっぷりありそうです。 商圏命みたいな商売だもんなぁ、 と、ぶつぶつ考えながら、 よそ見運転を充分しながら目的地へ車を走らせました。 毎日出血大サービスみたいなド派手な外装です。 ありました。 ミスターコンセント西葛西店! 入ってみると予想以上に狭い店内。 受付カウンターのすぐ後ろには、 赤いチョッキの修理エンジニアの方々が もくもくと電気製品をいじってます。 「お待たせしました。ビートニックな鈴木です。」 わっ、取材依頼のメールを覚えてくれてる! 「お会いしたかったです。田中宏和と申します。」 お相手は、サイバーコンセント事業部長の鈴木さんに、 サイトの制作・運営のタンデムワープ社の 社長斧田さんに、担当の中村さん。 鈴木さんの片手には、「ドクターペッパー」。 「時々飲みたくなるんですよねぇ、これ。」と、 意を激しく同じくしたわたくしも「ドクターペッパー」。 やはり趣味が合います。 ついでにホットケーキも時々無性に食べたくなりますが、 やはり3口ぐらいで満足してしまうので、 「ドクターペッパー」ジャンルに分類しています。
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次回は、サイバーコンセントのプロモーションについて、 ぐいぐい聞いていきます。 |
それにしても、 ブレーカーはちょくちょく飛ばして 喜ぶようなもんじゃなかったんですね。 みなさんの家電を壊れにくくする術の 参考になればうれしいです。 |
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さらに、従業員満足については、 この後の回でご紹介しますので、お楽しみに。 |
そう、本来の目的は、 ブレーカーが飛んだおかげで壊れたビデオを 修理してもらうことにあったわけです。 思わず、 「ええ話聞きましたわぁー。ほな」と 帰りそうになってました。 西葛西店の内山店長に診断していただいて、 やはりコンデンサーの交換で9000円の見積。 修理エンジニアでない 営業畑の内山さんですら、 すぐに見積をだせるところに この会社の強さがあります。 これで因縁付きのテープも救出できると、 ほっとしたところで、 再び話をはじめました。 横で前のめりに聞いていた西本69乗組員も いてもたまらず会話に参加です。
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まさかブレーカーが飛んでビデオが壊れ、 その結果が、よその会社の朝礼に出席とは 思いもよりませんでした。 たぶん高校以来、十数年ぶりの朝礼です。 日曜日の朝9時、 ミスターコンセント平塚店での朝礼に参加です。 朝礼って朝早くから行うものなんですよね。 考えが甘かったです。 8時半の平塚駅集合に間に合うためには、 車で1時間半かかる距離を逆算して、 こちら7時発、起床なんと6時! 早朝から活動するような、 釣り、ゴルフ、ゲートボールの類を たしなまないものですから、 前夜はさすがに緊張しました。 目覚ましを5分おきに3つセットしましたよ。 当日7時5分前、 同行の西本69乗組員宅付近に到着。 計画通り携帯に電話します。 ところが、69乗組員、 ・・・、出ない。 こいつ寝てやがる。 いや、ちょうどセーターをかぶり着しようとして、 電話取れなかったんだ、きっと。 そう思い直して、1分後に電話。 出ない、出ない、出ぬ。 どりゃーーーっ! 起きろーーーーーーー。 念波を送ってもびくとも反応無しです。 閑静な住宅地の中、 ジョギングするおじさんや 犬を散歩させる奥様にじろじろ見られながら、 アイドリングです。 自分は張り込みデカになれないなと思いましたよ。 15分待ったところで、 車を発進させ、近所をぐるぐるまわることにしました。 69乗組員宅付近の巡回警備にも飽き、7時半。 そういえば、 朝礼に間に合わなければ、 行く意味ないじゃないか、と気づき、 もう家に帰って寝てやる、と思ったところ、 電話がかかってきました。 「すんませーん。今さっき起きました」 はなから犬の声です。 CDに『キャロル・ベスト』を装着、 スピードを出す演出を施してから、 アクセルをきつめに踏んで、着きましたよ、 8時半ちょっと前、平塚駅に。
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電話会議中の鈴木部長
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ウェブサイトで見つけた サイバーコンセントというサイトから、 ミスターコンセントという会社を知り、 そして、グループ会社の3Qグループまで行き着きました。 ひとつの感心で、連載も15回にもなっとります。 家のブレーカーが飛んで、 ここまでの分量の感心が採掘できるとは、 想像もつかなかったですねぇ。 ここらで、区切りをつけないと、 サイバーコンセントの広報担当になりそうなんで、 感心をひとまとめしておきます。 サイバー&ミスターコンセントには、 第3次産業のフロンティアといえる実践が たくさん詰まってました。 「家電製品の修理ビジネス」というと、 不況、デフレ下の経済の波に乗った、 ご時世に同調した成長するビジネスって思われがちです。 “時代をとらえたマーケティング”なんて言葉で ひとまとめに整理されることもあるでしょう。 しかも、“「環境」というのも意識してんのかな”と、 さらにうまく頭の中で理解できた気分にもなります。 たしかに、今のビジネス環境を踏まえた マーケティング視点がこの事業に無かった、と言えば、 それは嘘になるような気がします。 でも、この事業には、 マーケティングな思惑を超えた、 大きくて本気のビジョンがありました。 「修理する文化を伝え、広める」 という構想です。 そんな考えが、 サイバーコンセントのページ全体からはみ出るほどに、 ぎらぎらと表現されてたんですねえ。 「売らんかな」よりも「正直な思いを伝える」ことに、 できる限りの工夫や手間がかけられていました。 インターネットって、 「思い入れ」や「思い込み」、「思いやり」といった、 送り手の思いの類いが、 ダイレクトに伝わりやすいんだなぁ、というのが、 第一感心でありました。 ところが、 パソコンのモニターの向うで繰り広げられていた世界は、 さらに感心の露天掘り、 あきれるほどの経営実践の宝庫でした。 ビジネスや労働というよりは、 知恵と楽しみと儲けをみんなでシェアするゲームが、 行われているような感じです。 そのゲームのためのルールが、 日々事例とビジョンを共有しあう 「毎朝の電話会議」であり、 一人ひとりが競ってスターになれる 「超分社方式」であり、 だれもが営業をできる 「どんぶり勘定式見積もり」であり、 在庫をためず、お客さんを喜ばす 「スピードの約束」であり、 そして、「売り上げよりも利益を得点にする」 ルールでした。 これだけのルールが決まれば、 あとはオープンでフラットで、 しかも明るくってスピーディーな企業風土が 自然と育っていくんだな、ということが、 つぶさに見て取れました。 「ルールが風土を生むのか、それとも逆か」の ニワトリたまご問題系がよくあるのですが、 観察結果は、「ルールが風土を創る」でした。 そして、一番感心に打ちのめされたのが、 「従業員満足あっての顧客満足」 という経営方針でした。 古くは「お客様は神様です」の精神であるとか、 「お客さま第一主義」とか、CSであるとか、 お金をいただくお客さんを一番大切にしにゃいかん、 という考えが、世間一般に根強すぎるな、と思えました。 思えば、そもそも働き手が満足できてなければ、 お客さんへのサービスも続かないわけですから。 そういえば、 顧客満足度調査が大好きなアメリカの企業でも、 90年代に急成長したサウスウエスト航空は、 あえて「カスタマー・セカンド」と言ってるらしいです。 顧客が二塁手の企業、いや、 顧客を2番目に大切にする企業ってことです。 つまり、従業員を最も大切にするポリシーなんですね。 この考え、まわりまわって新しくありません? また、このサイバー&ミスターコンセントの エンジニアさんたちの採用の仕方、 人材活用の考え方が、 家電修理に対するビジョンと共鳴しあって、 循環型社会に向けたより大きく高いビジョンへと 拡がっていたんです。 はぁ〜。 振り返って、巻き戻しても感心できますねぇ〜。 ところで、 結局、あの壊れたビデオデッキはどうなったか? 最初のメールの返信では、9千円の見積もりでした。 それから、ミスターコンセント西葛西店に持ち込んで、 鈴木事業部長からは、 「この型は古いから、うちにとっても挑戦だな」と 予告めいた発言を受けていたのですが、 その後、ヘッドの交換にまでいたり、 費用は1万4千7百円也でした。 どう思われますか、この値段? 正直「高い」と思いました。 ただ、12年も使っていたことだし、 それに買い替えていちから使い方を覚えるのも面倒だし、 そのうちDVDレコーダーか ハードディスクレコーダーでも 買いたいから、それまでのつなぎが必要だし、と、 くよくよ考えたわけです。 そして、なんといってもミスターコンセントのビジョンに 一票投じたいという気分が、 ひと押しになりました。 無事、呪われたテープも戻ってきたわけです。 男性読者諸氏! 思えば、万が一、そのテープが、 アダルトなビデオだったらと思うと、 ぞっとしますよねえ。 担当の修理ビデオエンジニアの方に、 「はは〜ん、この田中宏和という人は、・・・、 なるほど、こんな趣味で、あー、この場面で、・・・、 なるほどねえ」なんて。 ほんとによかったです! ともあれ、なんでもミスターコンセントのほうでは、 最近、費用1500円の出張修理をしていたり、 洗濯槽クリーニングをプロモーションしていたり、と、 新サービス開発に余念がありません。 この洗濯槽クリーニングのデモビデオを見ると、 頼みたくなるんですよ。 「あなたの洗濯機だと、 汚れの中で洗ってるようなものですから」 とか言われると、 もう「お願いします!」ですよ。 9,500円だそうです。 さて、今回の旅では、 いろいろ教わることが多かったですねえ。 つまるところ、 社員が働くことを まっすぐに信じることができる環境を創ることが、 経営の根っこなんじゃないか、と感じました。 内に向かって信じる力を、 外に向かっては信じられる力を創る。 それは、言わば、 「内なる信念が、 お客さんからの信頼へと つながっていく道なんじゃないか」と。 やたら「信」が多いですなー。 「働く信念を創り出すこと。」 こんな言葉で、 今回の感心力を締めさせていただきます。 ではでは、つぎの感心で。 たぶん、すぐです。 ミスターコンセント平塚店にて 取材に協力してくださったみなさま、 どうもありがとうございました。 |
なぜか「E.TANAKA」と表示されてる男、 田中宏和でございます。 今日は予定外の番外編です。 というのも、 先日、サイバーコンセントのシリーズを終えたところ、 どうしても見過ごせないメールをいただきました。 この春から新入社員になったり、 中途で新しい会社に入ったりする 読者の方々にとって、 いい刺激になるような気がしたものですから、 ぜひご紹介するとともに、 わたくしなりの考えを書いてみたいと思いました。 まずは、いただいたメールを。
はやとさん、メールをありがとうございました。 連載をしっかり読んでいただいた様子が伝わってきて、 とてもうれしいです。 そして、ひとまず、通例にしたがいまして、 入社おめでとうございます! 小中高大院と少なくとも 18年間の学生生活を送って、 はじめて会社という組織の一員になるのですから、 「不安と期待でいっぱい」というより、 「不安と不安でいっぱいいっぱい」ですよね。 自分も12年前はそうでした。 そして、それは決しておかしくない 新入社員としての身構えなんじゃないかと思います。 新しい期待がある分、不安が生まれるわけで、 不安が無いということは、 はなから会社に失望しているということですから。 それに対して、新入社員を迎える既存社員のほうは、 残念ながら新入社員に まったく期待してないものです。 新入社員を心待ちにしているのは、 スーパー雑用の日々を1年間過ごした2年目社員と 人手が足りなさすぎて 猫の代わりに人を採用した企業ぐらいでしょう。 まず、そんなものだと思ったほうがいいと感じます。 はやとさんは、 「いや、おれは大学院まで行って、 専門知識を身につけたんだから、 即戦力として会社に貢献するのだ」 と意気込んでいらっしゃるかもしれません。 しかし、今までの蓄積はまず役立たないと 思ったほうがいいと思います。 それは、会社というのは、 競争の中で利益を生み出しつづける 日々実践の場だからです。 そして、それを支えつづけている人たちがいて、 自分の20何年かの体験では翻訳できないような、 途方もない経験と知恵が集積された場だからです。 そんなところで、 今まで身につけた専門知識を持ち出そうとするのは、 『首都高バトル』で鍛えた中学生が、 いきなりランエボの実車で 首都高を走るようなもんです。 大胆というより無謀になってしまいます。 それに、新入社員を採用できる企業なら、 たとえ短くってもこれまでの歴史があり、 その組織である年月を過ごした先輩がいるはずです。 まずは、その人たちを注意ぶかく観察し、 教えてもらうもらわないに関わらず、 その人たちのいいところをズームで見つめ、 とにかくまねることをお薦めします。 ボロクソにされないことを考えるよりも 「うまい失敗をする」 これは矛盾するものではないんじゃないでしょうか。 「次のためになる失敗」が「うまい失敗」だと思います。 「ボロクソにされる」も 「次があるボロクソ」でありたいものです。 それに、 ヤングな時しか「うまい失敗」はできにくいもんです。 年を重ねて仕事の責任範囲が増えると、 ちょっとした失敗すらできにくくなります。 さらに、続けて同じ失敗すると、 用の無い人になりかねません。 新入社員の場合、 「うまい失敗」に加えて 「かわいい失敗」が喜ばれると思いますよ。 少なくとも、どんなかたちであれ、 自分自身で選んだ会社なのですから、 2年間は自分の時間を会社に売り渡すぐらいの気持ちで のぞんでみてはどうでしょう? そんな状況に身をおいて、 自分の欲を殺すように過ごしていても、 ついついうっかり、 しぶとく表現してしまってる欲があるとすると、 それは個性と言えるものかもしれませんよ。 最後に、最近ふたたび売れてるらしい山口瞳さんの 『新入社員諸君!』(角川文庫)を推薦しておきます。 ![]() 山口さんの説では、 たしか入社して3年間は辞めずに勤めろ、 と説いていました。 時代のスピードが早まっているので、 2年間でいいんじゃないかと思います。 先輩の言いなりになる1年間と 後輩ができて相談相手になる1年間は、 自分の選んだ会社に とことんつきあってみてください。 こんなお返事で役立ちましたでしょうか? あくまで、いただいたメールを読んだ限りでの 「E.TANAKA」なりの考えですから、 その辺さっ引いて受け止めてください。 ヨロシク。 そんなことで、 サイバーコンセントシリーズに メールをいただいたみなさま、 どうもありがとうございました。 また、もし、これぞという 「(小生意気な)新入社員が うまく会社に適応する方法」があれば、 ぜひメールをください。 いやぁ、春本番ですねぇー。 ではでは。 |
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ネット家電修理サイトである サイバーコンセントの取材の帰りに 69西本乗組員に無理やりすすめられた 映画は昨年のサッカーワールドカップ 最下位決定戦を描いたドキュメント映画であった。 「最下位決定戦という思いつきが、 すばらしい!そして、それを自分の手で 実現化したことが、一層すばらしい!!」 と思ったE-TANAKAこと、感心力の男は この企画の発案者でありオーガナイザーである マタイアス・ディ・ヨングさんとの インタビューを決行。 連載2シリーズ目にして 初の外国人インタビューとなったのであった。 【WEBサイト】 (URL)http://www.theotherfinal.com/ ![]()
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サイバーコンセント平塚店での 朝礼に押しかけ取材を済ませた帰り、 西本69乗組員から一本のビデオテープを 手渡されました。 タイトルは、『アザー・ファイナル』。 なんでも69乗組員によると、 「去年のワールドカップの決勝の同じ日に行った サッカー世界最下位決定戦のドキュメンタリー」 だそうです。 あぁ、それ、確かニュースで見たなぁ、 と、うっすら記憶があります。 あまり詳しいことは覚えて無く、 「アメリカのお化けカボチャ大会」的な 取り上げられ方をしていたような印象だけ残ってます。
わたくしのサッカー愛好度といえば、 「ソクラテス」という名前のブラジル代表がいた 1982年のスペイン大会から、 ワールドカップだけは熱心に見る程度で、 去年の大会も一通りテレビで見ましたが、 もはやサッカー熱は平熱に戻ってますし、 野球に比べれば思い入れ度は低いです。 そういえば、「ビスマルク」というサッカー選手も ブラジル人でしたね。 ブラジルには、 名前を勝手につけられる法律でもあるんでしょうか。 ともかく、69乗組員は、その映画を試写会で観て、 「感動で泣いた上に一晩飲み明かした」 と豪気に勧めます。 たぶんその映画のつまみを抜きにしても、 一晩飲んでたんだろうと思うんですけどね。 どうも、その映画、すぐに気乗りできないなぁ。 当方、「ふ〜ん、あ、そう」と、 距離取り気味の反応をしてますと、 69乗組員の テレビショッピング調セールスが続きました。
デジカメ売るのに、 予備メモリに、編集ソフトに、プリンター、 3脚までつけてきたような押しっぷりです。 たしかに、 連載の2番目の感心先がオランダ人っていう、 サイドチェンジは面白いかもしれません。 あ、サッカー熱をうつされてる。 ともかく映画のプレス向け完パケVHSを 借りることにしました。 そう、もう我が住まいのビデオデッキは サイバーコンセントのおかげで 完全復活したばかり。 ちょうどビデオが見たかった! なにしろ朝の6時起きで平塚まで行って帰って、 まだ昼の1時です。 さっそくカーテンを締めきって、 『アザー・ファイナル』を観ることにしました。 正直に報告すると、 慣れない早起きのおかげで、 途中寝そうになったところもありました。 ただ、1点とても感心したんです。 「最下位決定戦という思いつきが、すばらしい! そして、それを自分の手で実現化したことが、 一層すばらしい!!」 一方、こうも思いました。 「どこで感動して泣くシーンがあったんだ?!」 サッカー過敏症になると、 泣けるところがあるんだろうなぁ、と思いつつ、 とにかく自分の感心のツボにフォーカスするために、 この映画にも出てた映画の仕掛人である オランダのにいちゃんを調べてみました。 名前:マタイアス・ディ・ヨング ややこしい名前です。 「綾小路きみまろ」以上にややこしい。 まず、覚えられません。 もちろん「マタイアス・ディ・ヨング」も 「タナカ・ヒロカズ」を どこかの植物の学術名のように感じるんでしょうけど。 プレス資料には、 「グラフィック・デザインを学び、広告業界に入る」 とあります。 おっ、まさに同業者です。 「ケッセルズクレーマー」という アムステルダムにあるエージェンシーの ストラテジー(戦略)担当のトップとして、 ディーゼル・ジーンズなどの 「キャンペーン戦略を立案」したらしい。 しかも、「仏教徒」と書いてあります。 で、その勤め先の「ケッセルズクレーマー」ですが、 「インターナショナル・コミュニケーション・ エージェンシー」で、 「主な業務は広告キャンペーンの企画・立案ですが、 他にも本の出版、短篇映画やドキュメンタリーの制作、 アート展の開催などを手がけています」という紹介。 このオランダ人には きっとおもしろがれるに違いないと、 感心センサーが働きはじめました。
さらに原題に反応したんです。 邦題は『アザー・ファイナル』なんですが、 原題は『The other final』なんです。 この邦題、片岡義男さんに怒られかねないっす。 定冠詞の“The”が無いとなると、 『Other finals』と複数形になるわけでして、 「その他のいくつかの決勝戦」と 曖昧な表現になります。 「最下位決定戦」を単純に英語表現するとなると、 『The weakest match』となったと思うんです、たぶん。 これではそっけ無さすぎです。 あくまで『The other final』という タイトルを思いついたから、 この企画が成り立ったんじゃないかと感じたんです。 「もうひとつの決勝戦」となることで、 「最下位決定戦」におさまらない、 豊かな意味を帯びてくるんですね。 それは、 「サッカーへのもうひとつの態度」ということを 連想させるからです。 きっと、このマタイアス・ディ・ヨングさんは、 「サッカーの世界最下位決定戦を ワールドカップの同じ日にしよう」と 思いついただけだったら、 企画の成就に熱をあげることもこともなく、 また周りの人もそのアイデアに感化されることもなく、 思いつきは空気のごとく どこかに消えていったんだろうと感じました。 “『The other final』、これだ!”という瞬間が、 このオランダ人に起きたはず。 企画コンセプトがタイトルで、 アイデアのすべてを表現しきっていたのだ。 そう確信し、 この際、サッカーの細かい話は抜きにして、 ビジネス目線でインタビューしてみようと 思ったのでした。
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インタビュー当日、 こちら感心力チームは、 わたくし(おぼつかない英語)、 西本69乗組員 (中国語ができそうなことを言う)、 そして謎の通訳コイズミさん (ポルトガル語ができる?)、 この3バックであります。 実に不安であります。 対して、先方は、と。 プレスリリースを抜粋して紹介しますと、 『アザー・ファイナル』(原題は『The other final』)の 「オーガナイザー」 (ふつうプロデューサーというのが一般的)で、 オランダはアムステルダムの 「インターナショナル・コミュニケーション・ エージェンシー」(簡単に言うと広告代理店)の キャンペーン戦略立案家、 マタイアス・ディ・ヨング氏。 背が高いです。185cmはあるでしょう。 子供の頃は、「もやしっ子」と 言われていたかもしれません。 そして、オランダチームには、謎の同行人が。 こちらは、また逆にコンパクトな方であります。 見るからに日本語通訳では無さそうです。 二人でオール阪神・巨人効果を狙ってるのかもしれません。 (オランダサイドの同行人は、 結局、最後まで一言もしゃべらなかったです) こんなことなら、 こちらも柔道着姿を スタメンに入れておくべきだったですね。 まずは、“Nice to meet you”と、 つくり笑顔と握手でご挨拶。 マタイアス氏から、 塩ビ製の袋を手渡されました。 なんと、これが、名刺。 こういう対人コミュニケーションの 真珠湾攻撃みたいな技はあり? 袋を取り出すと、 ポケモンカードみたいなものが5枚ぐらい入ってます。 割り引き券ではないんです。 今までの仕事をビジュアル入りで刷り込んだカードなんです。 どこぞの企業かが名刺の色を100色つくりましたが、 これは負けてます。 いざ、インタビュー時間は、50分。 キックオフです。
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今年のゴールデンウィークは、 じつに中途半端な編成でありまして、 いっそのこと全部出勤してやれ、 なんて気にもなりますが、 みなさんいかがお過ごしでしょうか? 連休にはまとめて本を読みたくなったりしますが、 今年は厄介であります。 そこで、飛び石連休にも関わらず、 充実した感心を与えてくれる2003 年の本を ご紹介したいなと思いました。 まず、時事的な目配せをしつつ、 重量感のある一冊でいきますと、 アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの 『帝国』(以文社)が浮かびました。 ![]() 今の政治状況を<帝国>というコンセプトで解読する 頑丈な思考にふむふむ感心できるのですが、 念仏のような文章が続く、 手強い一冊でもあります。 実際、わたくし自身、 2分の1読んだところで、氷漬けになってます。 『帝国』を手にした連休明けに すがすがしい登校や出勤は保証できませんもので、 別の本を、と思いいたりました。 今年、ずしんとした感心を与えてくれた、 岩井克人さんの『会社はこれからどうなるのか』は、 「ほぼ日」でも特集されましたし、 さて、と、 部屋にうず高く積まれた新刊本をチェックしまして、 ありました、ふさわしい一冊が。 岩月謙司『女は男のどこを見ているか』 (ちくま新書) ![]() どうですか、この恥ずかしいタイトル!!! わたくしは、本屋の平台前でたじろぎましたよ。 しかも、帯に注目です。 「やっとわかった! 女の秘密。」 大きくでたな、こりゃ。 ニュートリノの発見じゃあるまいし、 とつっこみつつ、 本を手に取り、目次を見ると、 「序章 赤ちゃんにベロベロバーをしてウケるほうが ノーベル賞をとるよりも大事」ときています。 あぁ、女の新物質を見つけたようではないようです。 そして、「終章 いい人生とはどういうものか」の はじめの節は「お地蔵さん」ですよ。 ここで、買うことを決めました。 しかし、 わたくしが18才既婚男性ならまだしも、 『女は男のどこを見ているか』というタイトルの本を 34才独身男性がレジに運ぶことは、 勇気のいる行動であります。 こういう時は、2冊買いで意味を薄めるに限ります。 『カント 世界の限界を経験することは可能か』を 上にして、買いました。 ![]() 冷静に振り返ると、 この2冊の組み合わせは、良かったのか?! よけいに甘酸っぱいセットですね。いたい。 ま、コンビニで『おとなの特選街』を買いたいのに、 『CUT』も買うようなプレーとでも言いましょうか。 こういう珍プレーから思わぬ収穫があったりするもので、 ちなみに、このカント解説本もひらがなの多い、 親切で頭の芯を強くする書物でしたよ。 さて、この『女は男のどこを見ているか』ですが、 人間行動学の視点から 新しいコンセプトがいっぱい詰まった本でありました。 とくに「幸せ恐怖症」というのは、秀逸です。 無意識に母親の嫉妬を恐れて、 意図的に幸せを回避してしまう症候を抱えた 若い女性が増えている、というものです。 3歳までにかかった家庭環境による 「呪い」のせいで、大人になってから 「幸せ破壊工作」に走ってしまうということらしく、 あぁ、恐ろしや女ワールドと思い、 まわりの年頃の娘さん何人かにも 強くこの本を薦めましたところ、 みなさん激しく同意されておりました。 「幸せ恐怖症」や「幸せ破壊工作」、 「英雄体験をした男」など、 著者自身が開発された言葉に力がありますし、 他にも、 「嫉妬は怠慢に由来する」 「陰徳というのは、自分の誇りのためにするものです」 「究極の利己の追求が、究極の利他になる」 などなどと名言系の言葉が続出してまして、 また太ゴシックで印刷されているので、 読みやすかったりもします。 この岩月謙司さん、 齋藤孝さん、和田英樹さんと並ぶ、 「人生の実用書御三家」とでも呼べる、 売れる本を書ける力の持ち主とみました。 一見、男の子向けの本に見えがちですが、 ぜひ女子に読んでもらいたい一冊であります。 『新宿二丁目のほがらかな人々』で 大盛り上がりの「ほも日」読者、いや、 「ほぼ日」読者のみなさんにも、 しみじみとした感心をお届けできる本だと思います。 ビジネス界で 人間関係を円滑にするのにも役立ちそうであります。 ともあれ、 千葉ロッテの新外人ショートが セカンドだけでなくサードも守るような、 今のややこしい時代にうってつけです。 巨人のライトがピッチャーだった シンプルな頃がなつかしいですね。 では、みなさま五月病などにはかかられないよう、 すこやかな連休をお過ごしください。 |
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その1●口琴 その2●洞穴唱法 その3●ホーメイ その4●スグット その5●声明 その6●長くできる その7●第6回より その8●第7回より その9●第9回より ※お聴きいただくには、Flash Playerというソフトが必要です。 ダウンロードはこちらへ! |
「声は鍛えられるんですよ、 みんなあまり知らないけど」 こんな一言を聞いた日にゃ、 「あー、それはぜひ聞かせてください!」と 感心力の大噴火であります。 その発言の主は、巻上公一さん。 http://www.makigami.com/ 巻上公一さんをご存じですか? まずは、こういうご紹介からいきましょう。 四半世紀もその活動を続けている長寿バンド、 ヒカシューのリーダー。 30才以上の読者のみなさま、 なつかしいヒット曲『20世紀の終わりに』を 思い出されたんじゃないでしょうか。 こう紹介しはじめると、 “あぁ、巻上公一さんとは、いわゆる歌手なのね”と、 「ほぼ日」読者のみなさまは 早のみ込みされるかもしれません。 いいえ、巻上さんの活動の幅を、 ビジネス風に言うならば「業務領域」を、 並べてみましょう。 「歌、即興演奏、作詞作曲、演出、 俳優、プロデュース」 日大芸術学部から図画工作系を引いた全部、 と言えます。 さらにこんな肩書きが控えています。
もうこなってくるとわけわかりません。 「中国武術花架拳を燕飛霞老師に学んでいる。」 これに至っては、漢字すらろくに読めないのであります。 「声は鍛えられるんですよ」 この一言にどきりとさせられたのは、 作家の田口ランディさん主催の「親睦会」。 「親睦会」って、 昨今耳にしない会合名なのでありますが、 たまたまわたくしが隣に座ったのが、 自称「超歌唱家」の巻上公一さんだったわけです。 そして、ひさびさに会った田口さんから、 「アルタイから歌手を呼んでのコンサート」を 巻上さんと企画していると知らされたのであります。 まったまたー、極端なネタを、といいますか、 聞くだに「そうとう荒れ球な企画」であることは 間違いありません。 まず、「アルタイ」。 博多弁ではありません。 地名いや、国名でありまして、 昔はソビエト連邦と呼ばれていたころは、 大国のいち地方名であったわけですが、 今ではアルタイ共和国という国家になっています。 「インド=ヨーロッパ語族」とセットで覚えた 「ウラル=アルタイ語族」の「アルタイ」です。 いずれにせよ、 世界レベルのど田舎であることは確かであります。 「アルタイから歌手を呼ぶ」 ということは、 アルタイに歌手がいることを前提にしているわけで、 わたくしの頭ではこの時点で混乱をきたしておりました。 ここで、先ほどの巻上さんの役職名のひとつを 思い起こしていただきたいのです。 「日本トゥバホーメイ協会代表」 「トゥバ」とは、「アルタイ」の右隣、 モンゴルとびたっと国境を接した、 これまた旧ソ連の「トゥバ共和国」のこと 「ホーメイ」とは、 トゥバ共和国で行われている歌唱法のことなのです。 勘のいい読者の方は、 おまえさん、 それは「ホーミー」のことじゃないのかい、と つっこまれたのではないかと。 そうなんです、近いんですけど、違うんです。 「ホーミー」はモンゴルの歌唱法、 「ホーメイ」はトゥバの歌唱法なんです。 で、近いというのは、 同じ「倍音唱法」の仲間だからです。 「倍音」って、また音楽の授業以来ですよね。 パソコン画面の前にいらっしゃるみなさま、 「あー」と声を出してみてください。 素直な方におかれましては、 今そうとう恥ずかしい思いをされたことと、 深く痛みいるわけですが、 その「あー」の音と、 いちオクターブ高い「あー」を 同時に出してみてもらえます? できない?? できるわけがない??? しかし、これができちゃう人たちが 中央アジアにいっぱい住んでいるらしいんです。 以上、いかにも付け焼き刃な解説はここまで。 さて、「アルタイの歌手」とは、 アルタイの倍音唱法「カイ」を操り、 アルタイの英雄叙事詩を歌う ボロット・バイルシェフさんのことなんです。 前回の「マタイアス・ディ・ヨング」さんに続いて、 またややこしい名前だ。 「ボロット・バイルシェフ」 それに歌うは「英雄叙事詩」ですよ。 なんでも昨年巻上公一さんの案内で、 田口ランディさん、田口さん担当の編集者丹治さん、 そして写真家の川内倫子さんが、 ボロット・バイルシェフに会いに行かれたそうなんです。 アルタイくんだりまで。 どうやって会いに行ったのかを聞いたのですが、 とても旅行というよりは、 印象として罰ゲームに近かったですね。 しかも、ボロットさんは、 馬でご一行を迎えたらしい。 「さすが遊牧民!」であります。 礼儀正しい。 そして、日本からの旅団は、 ボロットさんの歌声を生で聴き、 「ともかくびっくりする声」を体験したと、 口をそろえておっしゃるわけです。 冷静そうな川内倫子さんも 「ものすごくびっくり」されたそうで、 ただならぬ「びっくり」が想像できたわけです。 わたくしは、 つねづね腰を抜かすほど驚きたいと思うたちであります。 これは、そのボロットさんやら倍音唱法やらの話を 深く聞きたい。 しかも、「声は鍛えられるのですよ」ですから。 かねがね、人柄イメージは、 声でつくられるんじゃないかと思っていました。 仕事をしていても、 声のトーンによって、 プレゼンの通りが違うような気もしていました。 これは、ぜひ「ビジネスに役立つ声のつくり方」を 聞いちゃおうと思ったわけです。 さらに、ボロット・バイルシェフさんのコンサートは、 折しも6月6日、 「ほぼ日」5周年記念日に 東京の文京シビックホールで開かれます。 http://www.makigami.com/bolot/ 耳デカお猿がシンボルの「ほぼ日」で、 周年のお祭り企画だわっしょいわっしょいの最中、 倍音のように響く巻上公一インタビュー。 味わい深い趣きになること請け合いと、 いざ湯河原の巻上さんのご自宅兼スタジオに 出向いたのでありました。 註) さきほどアルタイのことを 「世界レベルのど田舎」と表現してしまいましたが、 ひょっとするとわたくしの 先入観のなせる馬鹿かもしれません。 もし、アルタイ共和国、トゥバ共和国、モンゴル、 この3カ国から「ほぼ日」を ご覧になっている方がいらっしゃいましたら、 ぜひメールで実際のところをお知らせ下さい。 この3カ国に行ったことがあるという人からの 「ど田舎」か否かの判定メールも いただけるとうれしいです。 |
「声は鍛えられるんですよ」という言葉に導かれ、 向かうは巻上公一さんの湯河原のご自宅であります。 同行の取材班は、 昨年巻上さんと一緒にアルタイに行った、 メディア・ファクトリーの編集者、 “ジョン・レノン似”の丹治文彦さん。 続いて、声のプロフェッショナルとして、 なにかとこまめに熱心で、 「あら〜奥様」界のアイドル、 “はなまるアナ”の今泉清保さん。 そして、 湯河原がどこにあるのかも知らなかった、 “嫁といっときも離れるのがつらい新婚”の おなじみ西本ROCK乗組員です。 うららかな土曜日の午後、 公衆足湯温泉を見下ろす高台にある、 巻上さんご自宅地下のスタジオに案内され、 会話はスタートしたのでした。
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4ヶ月ぶりのまったり更新、おひさしぶりです。 感心力リローデッドであります! 大げさ気味の出だしついでに、 まずは、感心力レボリューションズしておりましたと、 近況報告させていただきますね。 じつは、わたくし、禁煙運動にいそしんでおりました。 そのきっかけは、 忘れもしません5月のある日。 出先のとても禁煙なミーティングルームで 長い長い会議を終えたわたくしは、 路上禁煙区域なる千代田区を急ぎ足で駆け抜け、 ニコチンニコチンとつぶやきながら、 眼についた喫茶店に入ったわけです。 椅子取りゲーム並みの俊敏さで席に腰をおろし、 たばことライターをにんまり取り出したところ、 こんな店内表示がっ。 「健康増進法により当店は全席禁煙とさせて・・・」 なに〜〜、ここは喫茶店じゃないのかあ!!! 衝撃映像でしたね。 そんな頼みもしないのに周りで盛り上がる 「喫煙の不自由」に業を煮やし、 「ええい、このさい止めてしまえ!」と、 5月31日の世界禁煙デーから 律儀な禁煙者に成り果てたのであります。 この間、 体の調子がいいからちょっとむせてみたいとか、 阪神優勝記念に一本吸ってやろうかとか、 再煙をきつく思ったり願ったりもしましたが、 おかげさまで、 禁煙者としてすっかり安定期に入りました。 「あとは産むだけ」って、 妊娠したわけではないですからね。 いや、ものの弾みですよ。 ともかく「健康が増進中!」と 思い込むようにしています。 そんなこんなでしばらくの間、 禁煙にのたうちまわったり、 阪神の優勝に浮かれたりしていたのではあるのですが、 小刻みな感心もしておりました。 先月、仕事でヨーロッパのデザイン会社を まわっておったのですが、 その訪問先のうちのお一人が 今回のインタビューのお相手なのです。 イギリスはロンドンに拠点を置く、 トマトというクリエイティブ集団の マネージング・ディレクター、 日本で言うなら 営業統括責任者というところでしょうか、 そのスティーブ・ベイカーさん。 いま「トマトというクリエイティブ集団」と書きました。 「トマト」とは「tomato」と書く、 野菜を名前にした会社名でありまして、 http://www.tomato.co.uk/ そして、 「クリエイティブ集団」の意味するところですが、 とにかく何でも広範にクリエイティブする人たち、 といったところです。 グラフィックデザイン、音楽、映像、広告、 それからドキュメンタリーフィルムに、Web、写真、 インテリアデザイン、建築などなど、 よく言う「多岐にわたる」わけです。 そう、「ほぼ日」読者のみなさんも、 必ずやこのトマトの作品に 出会ってらっしゃるはすですよ。 一番人気のところですと、 トマトのメンバーの二人は、 あのテクノグループ、 アンダーワールド(underworld)のメンバーであります。 また、身近なところを挙げますと、 SONYのすべてのテレビ広告の最後に 1秒ぐらい流れる ごちゃごちゃっとした映像ありますよね。 あれです。 こんな説明でいいのか不安ではありますが、 みなさまに思い起こしていただけたことを祈念しつつ、 最近の例ですと、 テレビ朝日の新しいロゴマーク。 あの毎度毎度色や動きが忙しく変化するやつですけど、 一連のデザインはトマト社謹製であります。 で、そんなトマトのスティーブ・ベイカーさん、 ロンドンでビジネス話をしてしばらくも経たないうちに、 テレビ朝日の新ロゴ導入で来日する機会に、 折り入って、ひとつ話をしたいことがあると、 連絡が入ったのでした。 なんでも仕送りを増やして欲しいとか そういう話なはずもなく、 今あたためている構想、 「クリエイティブ・センター」の話をしたい、 とのこと。 よくわからないままに、 感心の予感がしたわたくしは、 AORに転身した西本乗組員に声をかけ、 この感心力インタビューと相成ったのでありました。 それでは、さっそくスティーヴ氏の話から。
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あと一回、トマトインタビューは続きます。 |
おわり。 |
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