感心力がビジネスを変える!
田中宏和が、
感心して探求する感心なページ。



第十三回
カラー書類のつくり方!



田中 「ほぼ日」読者にとって、
すぐに使える実用的な話を聞きたいんですが(笑)。
佐藤 どうぞどうぞ。
田中 ここのところプリンタやコピー機の性能があがって、
ビジネス書類のカラー化が進んでますよね。
で、プレゼンテーション画面でも
そうなんですが、
色使い過ぎて失敗しちゃってるケースって
多いですよね。
佐藤 多いですね(笑)。
田中 書類をつくるときに、
どこに気をつければいいのか、
「ほぼ日」を読んでる働く人たちに
何かアドバイスできることはあります?。
佐藤 うん、ありますよ。
文字が載ってる紙1枚って、
まあ、もちろん当たり前のことですけれど、
情報ですよね。
情報であるということには、
何も変わらないんだけど、
やっぱり人の側が、
常に変化をしてるってことですよね。
環境も含めて。
だからその情報っていうのは、
刻々とその届き方が違うってことなんですよ。
たとえば、
パッとその書類を見たときに、
何がまずその人の眼に入っていって、
で、次の段階で何が入っていって、
よく見ると次に何が入って、っていう、
情報に奥行きをつける考え方で、
作ってみてはどうだろうかなぁ、と思います。
田中 情報の受け手の目線を先まわって、
書類のデザインをするわけですね。
佐藤 だから、色を使うことが
べつに悪いわけではないんです。
パッケージもそうなんですよ。
遠くから見たときにね、
最初に何が見えて、
それで、1秒で何がわかるのかっていうことを
考えるわけです。
1秒で目をそらす人には、
最低限いちばん重要なことだけは
わかってもらわなきゃいけないっていうことですね。
田中 新聞でいう見出しみたいなことを
意識して作るということですか。
佐藤 うん、そうですね。
だから、文字に色が加わった場合、
色の強さっていうのがあるので、
2つが同じように強いと、
それはぶつかり合って、
どちらも記憶に残らないっていうことが
あるじゃないですか。
だからやっぱり色を使うんであれば、
こんど色の機能も考えなきゃいけないので、
複雑になるんですよね。
田中 変数が増える分だけ、
ややこしくなりますよね(笑)。
佐藤 うん、だから、
そんなには複雑で難しいことが
できないんだったら、
扱う要素は少ないほうがいい。
田中 少ないほうがいいと(笑)。
佐藤 そういうことでしょうね。
田中 カラーにしたがばっかりに、
色をいっぱい使っちゃって、
わけわかんなくなった書類ってあるじゃないですか。
佐藤 ありますね。
田中 それだったら、
単に、下線引くだけにすればいいのに、
という書類もありますよね。
佐藤 ありますね。
田中 ということは、書類を作る側が、
何をいちばん伝えたいのかっていう、
その順番づけが
しっかりできてないっていうことが、
やっぱり大きいんでしょうか(笑)。
佐藤 うん、そうですよね。
で、色っていうのは、
ものすごく人に影響を与えるっていうことを、
もっと認識されたほうがいいんじゃないですかね。
田中 ああ、なるほど。
佐藤 もの書いたり、なにか人に伝えたりするときに、
色の持ってるポテンシャルっていうのは、
はるかにすごいものがあるんですよ。
文字っていうのは、
大きい小さい、太い細いっていう、
そのことで強さ弱さって変えられる、
ということは多くの人たちが知っているけれども、
色に対してそれだけの戦術を
持ってるかっていうと、
持ってないじゃないですか。
田中 そうですねぇ。
色のはたらきについては、
知らないことが多いですね。
佐藤 意識がひじょうに低くなっちゃうんですね、
色に対してね。
だけど、実は色を効果的に使うと、
ものすごく文字の力が引き出せる。
コミュニケーションの幅が広がるわけですよね、
無限にね。
ま、順列組み合わせでいったって
広がるわけですよね、物理的に。
だから、難しいわけですよ。
そこで、まず重要なのは、
自分が作ってる書類がね、
いかに人にわかりにくいものか
っていうことに気がつかないと!
田中 あははははは!
そうですよね。
佐藤 これはもう救いようがないっていうことだと
思いますよね(笑)。
色が大切ですよ、って言ったって、
“これのどこが悪いんだ?”って思ってる人に、
それは通用しないから。
自分の作ってる書類が、
いかに最低なものかっていうことに
気がつかないとね、将来はないですよねぇ(笑)。
田中 色でいうと、
カラーコーディネーターのような
資格ができたりとか、
そういう情報の受け渡しにも、
色がたくさん使われるようになったりとか、
色について考える機会は増えてはいるのに、
そのコントロールの仕方とか、扱い方を、
知らないですよね。
佐藤 うん、力のあるものだから、
もっと大切に扱えばいいんじゃないかな。
田中 そうか。
次に「ほぼ日」読者の中でも、
主婦向けに料理と色について
聞きたいんですけど(笑)。
料理を見たときに、色の取り合わせって、
わりと敏感に感じられますか?(笑)
佐藤 いや、そんなこと考えないですね(笑)。
料理って、まず視覚から入りますよね。
ま、臭いが先にくることもありますけど。
まず視覚が大きく影響しますよね、
赤、緑、どんな素材か。
で、それによって、
過去のいろんな経験が引き出されるわけですよね。
臭いの経験だったり味の経験だったり。
田中 他の記憶や感覚が呼び覚まされますよね。
佐藤 そう。
視覚からはじまるけれど、
臭覚だったり、噛み具合の触覚だったり、
まさにトータルで美味しいっていうことは
表現できるわけですから。
だから、それは、
色の組み合わせという理論では
判断できないですよ。
「唾液を出させるデザイン」は、
やっぱり奥が深いんです。

ワンポイント考察

ほぼ日をご覧のビジネスマン&ウーマンのみなさま、
カラー資料づくりの参考になりましたでしょうか。
自分が普段つくっている書類が
わかりにくいんじゃないかと問う、
「おのれ自身を知れ」的メッセージ。
なかなか耳の痛いところであります。

人に伝わる資料を伝えるって、
だれもが通過する部下らしい業務の
中心のような気がします。
ちょうど、先日、
橋本治『上司は思いつきでものを言う』(集英社新書)を
読みまして、資料づくりにおける
偉大なる「親切心」について思いを強めました。
だれにもわかりやすいって、
ビジネスシーンで大事だったりしますよね。
この橋本さんの本は、
『オトナ語』の原論みたいな本でして、
わたくしは膝を打ち続けながら読み進めましたよ。
強くお薦めします。

料理と色についての質問は、余計でしたよね。
ま、ご愛嬌ということで、お許しください。
色と塩分は控えめに、ってことで、
ではでは。

2004-05-26-WED

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