感心力がビジネスを変える!
田中宏和が、
感心して探求する感心なページ。



第三回
デザインにメッセージを埋めこむ



田中 問題解決のためのひとつの手段として、
デザインを捉えるという考えは、
日本ではまだ一般的なものに
なっていないですよね。
そのために、悪い言い方すると、
デザインに力があると、
「デザインでごまかして」みたいな
言われようをしたりしますよね。
佐藤 そうそうそうね。
デザインの力で、
ほんのわずかでも世の中をね、
いい方向にもっていくことも
できるんだと思うんですよ。
たとえば、パッケージひとつとっても、
ゴミ問題との関わりがありますよね。
リユース(再利用)とか
リサイクル可能な素材とか。
また、素材の問題っていうのも
環境問題にとって大きいですよね。
じゃ、環境問題にとって
完璧なものを使いましょう、
っていったところで、
完璧なものって、何もないんですよ。
田中 むしろ社会の仕組みから
デザインし直さないと、
根本的な解決にはならないですよね。
佐藤 そう、ペットボトルは再生素材です、って言っても、
じゃ、ほんとにペットボトルが
すべて再生されてるか、っていうと、
100%にはとうてい至っていないんですね。
中にジュースの液体が
こびりついちゃってる場合には、
正しくリサイクルするためには、
洗わなきゃなんない。
で、そんなシステム、
まだ完璧に準備できてないわけですよね。
神様じゃあるまいしね、
すべてを完璧にすることはできないから、
どこまで、できるかっていう範囲と程度って、
やっぱりあると思うんですよ。
少なくとも自分が置かれた環境で、
できるだけのことはやりましょうよ、って
思ってやってます。
で、それをやってくとね、
もう、面白くない仕事ってないんですよね。
もうほんっとに、
何一つないっていう感じなんですよね。
田中 問題やヒントが目に入って
しょうがないんですねえ。
過敏症とも言えますね(笑)。
佐藤 自分が何をここでできるか、っていうことを
探ってったときに、
必ず何かあると。
で、誰も気がついてないところを、
ほんのわずかでも見つけられたら、
それはクライアントが
その時点で理解していようがいまいが、
やってみよう、っていう気持ちですね。
田中 なにも大きな問題が
しょっちゅうあるわけではないですしね。
デザインを通じて
なにが伝わるかが大事ですよね。
佐藤 クライアントが予想した以上に、
それを受け取るユーザーや生活者のほうは
理解してくれたりするんです。
あのロッテのクールミントガムの
ペンギンの前から2番目だけが
手を上げてるやつとかね。
田中 あれは最初に聞いたときに、
うれしかったですよ。
なんでそういうことで自分がうれしいのか、
わからないんですけど(笑)。
佐藤 もう生活者が、
だんだんだんだん気がついてますから。
もう、ぼくがいろんなこと喋ってるから、
クールミントの2番目のペンギンが
手を上げてるっていうことを知ってる人って
多いわけですよね。
「集団行動を象徴してるみたいよ」とか、
「会社の中で、
2番手がすごく辛いみたいよ」とか、
ぼくがしゃべったことを
みんなが広めてくれるんです。
そしたらね、そういう評判が、
まわりまわって社長の耳にはいったみたいで。
うれしいらしいんですよ、それが。
田中 あ、社長もうれしいんだ(笑)。
噂が評判になっていくと、
誇らしい気分になるわけですね。
佐藤 でもね、最初はね、
クライアントもどこまで効果があるか、
半信半疑だったと思うんですね。
自分は何かできること、新しいこと、
メッセージみたいなものを必ず込めたい。
もちろんビジネスとして、
少なくとも成り立たせなきゃいけない、
デザインを機能させなきゃいけない。
でも、機能させた上で、
そういうメッセージを忍び込ませて。
田中 それは、暗号をデザインされたわけですもんね。
佐藤 ある意味では(笑)。
必ずそういうひそやかな楽しみを、
もしくはそれがメッセージだったりするんですけど、
忍ばせるとね、
つまんない仕事なんか何もないですよね。
なんかこう不景気とかね、
悪いニュースばかり聞いてるとさ、
元気がなくなるじゃない?
もう、「デザインなんかに何ができるの?」とかね。
こんなに山ほど世の中に物があってね、
「もういるの?、ほんとに物が?」ってね。
そのネガティブなほうにばかり考えていくとね、
なかなかエネルギー生まれないですよね。
田中 なにもデザイナーだけでなく、
「仕事つまんないな」と思ってるビジネスマンも、
「あ、そういう手があるか」と思えますよ、きっと。
「自分もひそやかな楽しみを入れるよ」って
明るくなりますよね。

ワンポイント考察

「つまんない仕事なんか何もない」という言葉。
力強いですよねえ。
実務的ポジティブシンキングですよ、これは。
すべてがデザインの対象だと見えだすと、
やりたいことが多すぎて
後ろ向きになる暇も無いですよね。

デザインが
コミュニケーションの手段に
なっているんですよね。
また佐藤さんがデザインに込めるメッセージが、
「世界平和」とか「動物愛護」とか、
背筋伸ばし系一本調子だと
窮屈な思いになるのですが、
なんせ「ペンギンが手を挙げてる」ですから。
お茶目な愉快犯ですよね。
「クールミントガム」のデザインについては、
使える雑談ネタとして、
みなさん、近場のひとを
「へぇ〜、へぇ〜」言わしちゃってくださいよ。

2004-04-30-FRI

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