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が、
感心して探求する感心なページ。

「飛び石なゴールデンウィークに感心したい一冊」


今年のゴールデンウィークは、
じつに中途半端な編成でありまして、
いっそのこと全部出勤してやれ、
なんて気にもなりますが、
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

連休にはまとめて本を読みたくなったりしますが、
今年は厄介であります。
そこで、飛び石連休にも関わらず、
充実した感心を与えてくれる2003 年の本を
ご紹介したいなと思いました。

まず、時事的な目配せをしつつ、
重量感のある一冊でいきますと、
アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの
『帝国』(以文社)が浮かびました。

今の政治状況を<帝国>というコンセプトで解読する
頑丈な思考にふむふむ感心できるのですが、
念仏のような文章が続く、
手強い一冊でもあります。
実際、わたくし自身、
2分の1読んだところで、氷漬けになってます。
『帝国』を手にした連休明けに
すがすがしい登校や出勤は保証できませんもので、
別の本を、と思いいたりました。

今年、ずしんとした感心を与えてくれた、
岩井克人さんの『会社はこれからどうなるのか』は、
「ほぼ日」でも特集されましたし、
さて、と、
部屋にうず高く積まれた新刊本をチェックしまして、
ありました、ふさわしい一冊が。

岩月謙司『女は男のどこを見ているか』
(ちくま新書)

どうですか、この恥ずかしいタイトル!!!
わたくしは、本屋の平台前でたじろぎましたよ。
しかも、帯に注目です。
「やっとわかった! 女の秘密。」
大きくでたな、こりゃ。
ニュートリノの発見じゃあるまいし、
とつっこみつつ、
本を手に取り、目次を見ると、
「序章 赤ちゃんにベロベロバーをしてウケるほうが
 ノーベル賞をとるよりも大事」ときています。
あぁ、女の新物質を見つけたようではないようです。
そして、「終章 いい人生とはどういうものか」の
はじめの節は「お地蔵さん」ですよ。
ここで、買うことを決めました。
しかし、
わたくしが18才既婚男性ならまだしも、
『女は男のどこを見ているか』というタイトルの本を
34才独身男性がレジに運ぶことは、
勇気のいる行動であります。
こういう時は、2冊買いで意味を薄めるに限ります。
『カント
 世界の限界を経験することは可能か』

上にして、買いました。

冷静に振り返ると、
この2冊の組み合わせは、良かったのか?!
よけいに甘酸っぱいセットですね。いたい。
ま、コンビニで『おとなの特選街』を買いたいのに、
『CUT』も買うようなプレーとでも言いましょうか。
こういう珍プレーから思わぬ収穫があったりするもので、
ちなみに、このカント解説本もひらがなの多い、
親切で頭の芯を強くする書物でしたよ。

さて、この『女は男のどこを見ているか』ですが、
人間行動学の視点から
新しいコンセプトがいっぱい詰まった本でありました。
とくに「幸せ恐怖症」というのは、秀逸です。
無意識に母親の嫉妬を恐れて、
意図的に幸せを回避してしまう症候を抱えた
若い女性が増えている、というものです。
3歳までにかかった家庭環境による
「呪い」のせいで、大人になってから
「幸せ破壊工作」に走ってしまうということらしく、
あぁ、恐ろしや女ワールドと思い、
まわりの年頃の娘さん何人かにも
強くこの本を薦めましたところ、
みなさん激しく同意されておりました。
「幸せ恐怖症」や「幸せ破壊工作」、
「英雄体験をした男」など、
著者自身が開発された言葉に力がありますし、
他にも、
「嫉妬は怠慢に由来する」
「陰徳というのは、自分の誇りのためにするものです」
「究極の利己の追求が、究極の利他になる」
などなどと名言系の言葉が続出してまして、
また太ゴシックで印刷されているので、
読みやすかったりもします。

この岩月謙司さん、
齋藤孝さん、和田英樹さんと並ぶ、
「人生の実用書御三家」とでも呼べる、
売れる本を書ける力の持ち主とみました。

一見、男の子向けの本に見えがちですが、
ぜひ女子に読んでもらいたい一冊であります。
『新宿二丁目のほがらかな人々』で
大盛り上がりの「ほも日」読者、いや、
「ほぼ日」読者のみなさんにも、
しみじみとした感心をお届けできる本だと思います。
ビジネス界で
人間関係を円滑にするのにも役立ちそうであります。

ともあれ、
千葉ロッテの新外人ショートが
セカンドだけでなくサードも守るような、
今のややこしい時代にうってつけです。
巨人のライトがピッチャーだった
シンプルな頃がなつかしいですね。

では、みなさま五月病などにはかかられないよう、
すこやかな連休をお過ごしください。

2003-04-30-WED

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