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番外編 (小生意気な)新入社員が
     うまく会社に適応する方法とは?

なぜか「E.TANAKA」と表示されてる男、
田中宏和でございます。
今日は予定外の番外編です。

というのも、
先日、サイバーコンセントのシリーズを終えたところ、
どうしても見過ごせないメールをいただきました。
この春から新入社員になったり、
中途で新しい会社に入ったりする
読者の方々にとって、
いい刺激になるような気がしたものですから、
ぜひご紹介するとともに、
わたくしなりの考えを書いてみたいと思いました。

まずは、いただいたメールを。

はじめまして。「はやと」と申します。
ほぼ日の連載すっごく面白かったです。
今日初めて連載を知りまして、
一気に、全部読ませていただきました。
僕はある心配をしていました。
ですが、田中さんの連載11回目のお話には
目から鱗でした。
今春大学院を卒業して一般企業に勤めます。
新入社員はみんなそうかもしれませんが、
情けない話、会社に適応できるのか
今からとても心配です。
以下のようなことも聞いては、
恐怖で暴れ出しそうになります。

「余分な知識を持っていると、
 会社に勤めてもものにならない」

「そんな人は人格がなくなるまで
  徹底的に叱り付ける。
 すると何とか出来るようになるのだ」


そんなばかな!
知識を得るために学校に行ったのだ。
それがいけないなんて!
と感じる学生もたくさんいると思います。
僕も院卒でしかも実は小生意気なので、
「入社したら、絶対ボロクソにされそうだ」
と今まさに恐怖におののいています。
ですが、田中さんの連載11回目に、
「ベストプラクティスを真似する」
というお話がありました。
これは‘目から鱗’モノでした。
「変な知識があるとうまく行かないのは、
 回りの真似が出来なくなるからかもしれない」
と感じました。
そういえば、キヤノンが
新しい生産方式を導入した時は
大抵抗にあって苦労したそうです。
そのときは朝礼で‘音が一つになるまで’
全員の行動を完全に一致させ、
気持ちをひとつにしたら改革がうまく行ったそうです。
ナレッジマネジメントの野中郁次郎も
「まずは真似が大事だ。
 それが出来たら個性を出し、
 それから独立する力がうまれる」
という「守・破・離」の概念を重視していました。
「すぐに会社を辞める若者が多くなっている。
 だが、‘会社の方針’のような大きなものが
 気に入らなくて辞める若者はいない。
 日常の些事に厭なことがあって、
 その積み重ねが原因で辞めてしまうのだ」
といういつかの読売新聞に感心したことも
思い出しました。
これらも‘真似’と関係しているように思います。
真似をすることは、
新しい自分を創るために
必要不可欠なものに思えてきました。
そんなわけでボロクソにされないように、
僕は会社に入った時、
周りの人の真似をしまくろうかと心に決めました。

いきなり質問があります。
(不躾なこと極まりないのですが)
田中様は
「(小生意気な)新入社員が
 うまく会社に適応する方法」
についてどうお考えでしょうか。
真似をしたら良いとお考えでしょうか。
それとも、糸井さんが最近言っていましたが、
ボロクソにされないことを考えるよりも
「うまい失敗をする」方がいいとお考えでしょうか。
長くなりましたが、
突然のメールで申し訳ありません。
それでは失礼します。
(はやと)


はやとさん、メールをありがとうございました。
連載をしっかり読んでいただいた様子が伝わってきて、
とてもうれしいです。
そして、ひとまず、通例にしたがいまして、
入社おめでとうございます!
小中高大院と少なくとも
18年間の学生生活を送って、
はじめて会社という組織の一員になるのですから、
「不安と期待でいっぱい」というより、
「不安と不安でいっぱいいっぱい」ですよね。
自分も12年前はそうでした。


そして、それは決しておかしくない
新入社員としての身構えなんじゃないかと思います。
新しい期待がある分、不安が生まれるわけで、
不安が無いということは、
はなから会社に失望しているということですから。

それに対して、新入社員を迎える既存社員のほうは、
残念ながら新入社員に
まったく期待してないものです。

新入社員を心待ちにしているのは、
スーパー雑用の日々を1年間過ごした2年目社員と
人手が足りなさすぎて
猫の代わりに人を採用した企業ぐらいでしょう。
まず、そんなものだと思ったほうがいいと感じます。

はやとさんは、
「いや、おれは大学院まで行って、
 専門知識を身につけたんだから、
 即戦力として会社に貢献するのだ」
と意気込んでいらっしゃるかもしれません。

しかし、今までの蓄積はまず役立たないと
思ったほうがいいと思います。

それは、会社というのは、
競争の中で利益を生み出しつづける
日々実践の場だからです。
そして、それを支えつづけている人たちがいて、
自分の20何年かの体験では翻訳できないような、
途方もない経験と知恵が集積された場だからです。
そんなところで、
今まで身につけた専門知識を持ち出そうとするのは、
『首都高バトル』で鍛えた中学生が、
いきなりランエボの実車で
首都高を走るようなもんです。

大胆というより無謀になってしまいます。

それに、新入社員を採用できる企業なら、
たとえ短くってもこれまでの歴史があり、
その組織である年月を過ごした先輩がいるはずです。
まずは、その人たちを注意ぶかく観察し、
教えてもらうもらわないに関わらず、
その人たちのいいところをズームで見つめ、
とにかくまねることをお薦めします。

ボロクソにされないことを考えるよりも
「うまい失敗をする」

これは矛盾するものではないんじゃないでしょうか。
「次のためになる失敗」が「うまい失敗」だと思います。
「ボロクソにされる」も
「次があるボロクソ」でありたいものです。
それに、
ヤングな時しか「うまい失敗」はできにくいもんです。
年を重ねて仕事の責任範囲が増えると、
ちょっとした失敗すらできにくくなります。
さらに、続けて同じ失敗すると、
用の無い人になりかねません。
新入社員の場合、
「うまい失敗」に加えて
「かわいい失敗」が喜ばれると思いますよ。

少なくとも、どんなかたちであれ、
自分自身で選んだ会社なのですから、
2年間は自分の時間を会社に売り渡すぐらいの気持ちで
のぞんでみてはどうでしょう?
そんな状況に身をおいて、
自分の欲を殺すように過ごしていても、
ついついうっかり、
しぶとく表現してしまってる欲があるとすると、
それは個性と言えるものかもしれませんよ。

最後に、最近ふたたび売れてるらしい山口瞳さんの
『新入社員諸君!』(角川文庫)を推薦しておきます。



山口さんの説では、
たしか入社して3年間は辞めずに勤めろ
と説いていました。
時代のスピードが早まっているので、
2年間でいいんじゃないかと思います。
先輩の言いなりになる1年間と
後輩ができて相談相手になる1年間は、
自分の選んだ会社に
とことんつきあってみてください。


こんなお返事で役立ちましたでしょうか?
あくまで、いただいたメールを読んだ限りでの
「E.TANAKA」なりの考えですから、
その辺さっ引いて受け止めてください。
ヨロシク。

そんなことで、
サイバーコンセントシリーズに
メールをいただいたみなさま、
どうもありがとうございました。
また、もし、これぞという
「(小生意気な)新入社員が
 うまく会社に適応する方法」があれば、
ぜひメールをください。

いやぁ、春本番ですねぇー。
ではでは。

2003-03-18-TUE

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