感心力がビジネスを変える!
が、
感心して探求する感心なページ。

第8回 どんぶり勘定型の儲けのカラクリ。

前回までのあらすじ:
ビデオが壊れて出会った家電修理受付サイトの
サイバーコンセント。
事業部長の鈴木さんに話を聞いて、
担いできたビデオを忘れるぐらい感心してます。


今回登場する人達
サイバー
コンセント
事業部部長
鈴木優


趣味が
犬との会話と
散歩という
事業部長。
タンデム
ワープ社
代表取締役社長
斧田正彦


サイバー
コンセントの
プランニングに
関わる。
タンデム
ワープ社
ウェブデザイナー
中村元


サイバー
コンセントの
ウェブデ
ザインに関わる。
感心力の男
田中宏和


今回は
写真の頭が
切れてしまった
感心力の男。

そう、本来の目的は、
ブレーカーが飛んだおかげで壊れたビデオを
修理してもらうことにあったわけです。
思わず、
「ええ話聞きましたわぁー。ほな」と
帰りそうになってました。
西葛西店の内山店長に診断していただいて、
やはりコンデンサーの交換で9000円の見積。
修理エンジニアでない
営業畑の内山さんですら、
すぐに見積をだせるところに
この会社の強さがあります。



これで因縁付きのテープも救出できると、
ほっとしたところで、
再び話をはじめました。
横で前のめりに聞いていた西本69乗組員も
いてもたまらず会話に参加です。
69 交換部品って安いもんなんですかね。
ピンキリですかね。
鈴木 ピンキリですけど、
ここんとこね一気に各メーカーが
部品の値段上げて来た。
田中 へえー。
鈴木 要するにメーカーは
修理をするという
メーカーサービスっていうのを
どんどん縮小するわけですよ。
修理したくないの。
田中 はいはい。
鈴木 なぜなら、メーカーはやっぱり、売りたいから。
一番修理しなくなるようにするには
部品の値段をあげることなんです。
もう、この価格の上げ方は、
たとえば今まで50円のヤツを400円にしてくる。
300円のヤツを2000いくらにするとか。
こんなゴムのね、ベルトなんかを
800円とかにしちゃうのよ。
そのベルトを高くして、
あとは部品のベルトの供給がないとすると、
もう修理がお手上げになるじゃない。
しかも、その部品が高いとなると。
田中 ああ。ひどい。
鈴木 「こんな部品50円くらいじゃないの」
っていう
お客さんもいるわけですよ。
田中 その値上げって、最近のことなんですか?
鈴木 ここ2年くらいで、そういう部品の価格は大幅に上昇。
田中 そういう意味で、
修理ビジネスはメーカーと
敵対する商売だったりしますよね。
鈴木 メーカーから部品を入れていただかないと
やっぱりできないんで、
とにかくメーカーさんにはね、
仲良くさせていただくという考えで
接してるわけですよ。

でも、部品が急に値上がった時には、
これは断固抗議しますよね。
田中 はい。
鈴木 そういう抗議によって下がるケースもあるんですよ。
田中 へぇー。
鈴木 一応こんなもんでも70店舗くらいあって、
団体交渉みたいな感じで。
田中 ええ、ええ。
鈴木 で、メーカーさんの社長に言ったりすると
下がることもあります。
この辺の部品コストが
修理のネックになったりすることがある。
69 例えばさっきの田中さんのビデオは、
9000円くらいの修理見積もりだとすると、
部品代と人件費の割合ってどれくらいです?
鈴木 うちはですね、
基本的に部品代ってなってなくて、
症状別にもう把握しちゃう。
症状で、部品を使おうが使わなかろうが、
部品を山ほど使おうが料金同じという。
田中 ああ。
鈴木 高額部品以外は同じ料金設定なんですよ。
だから部品原価0の修理代で、
9000円もらうケースもあるし、
部品が4000円とか5000円かかって
9000円しかもらえないケースとかいうのもある。
田中 その症状別に料金体系作られてるから、
サービスがシステム化しやすいところが
あるというわけですよね。
鈴木 そうです、そうです。
だからどこでも上がりを40%に、
トータルでなるようにしてます。
だからビデオ一つで
この修理品の原価いくらっていうのは
できないんですよ。
田中 はい。
鈴木 積み上げ方式じゃなくて。
69 超連結決算だ。
鈴木 この修理品いくらだったら
販売できるのって観点ですよ。
そっちから入って行く。
だから、デフレになると修理代金も下げちゃう。
田中 うん。
鈴木 要するに常に商品の価格を意識しながら、
修理価格を決めて行く。
69 そうか。
商品の価格より修理代金の方が高くなると
本末転倒ですよね。
鈴木 だから価格改定っていうのは
年に割と頻繁に変えてます。
田中 あ、そうなんですか。
鈴木 歩留まり悪くなったら、
「何がおかしいんだ」原因を探す。
69 判断基準が歩留まりでわかってくるわけですね。
鈴木 そうですね。
ここはなかなかみんな真似しないですよ。
みんな技術料が決まって、
部品の積み上げで価格を決めていく。
うん。半年とか1年経って
粗利はどうなんだっていった時にそれを分けていく。
それで結構決まっちゃうんですよね。
どういうふうなやり方をしようが
35〜40%くらいの間の粗利なんだから、
もう価格決めちゃえっていう。
田中 ああ。
そりゃ確かによそに真似できないノウハウっていうか、
知恵ですね。
鈴木 と思いますね。
全体で一応50万件くらい年間修理やってますから。
69 どうやって儲けてんだろうなって、
2人で話してたんですよ。
この場合、人件費が一番ネックだろうって。
鈴木 そうですね。
田中 今の話で行けば、
修理の件数さえ積み上げて行けば
それで利益は出ていくわけですよね。
鈴木 そうです、そうです。

<ワンポイント考察>

もう2冊目も出た『「儲け」のカラクリ』にも
この「どんぶり勘定式」は出て無さそうです。
複雑なコスト体系のものこそ、
定価でざっくり価格設定したほうが、
利益は安定するのかもしれませんね。
それよりも誰もが簡単に見積もれて、
請けた仕事だけ利益が出るという方が、
働くほうもわかりやすいですしね。
「お前は働くほどに赤字を出してる」とか
言われたら嫌じゃないですか。
「複雑なものを単純にする」は、
儲けのゴールデンルールかもしれませんね。

2003-03-05-WED

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