感心力がビジネスを変える!
が、
感心して探求する感心なページ。

第7回 働きがいを創造する経営。

前回までのあらすじ:
壊れたビデオが縁となり出会った
家電修理受付サイトの
サイバーコンセント。
事業部長の鈴木さんに感心しているうちに
話題は経営そのものへと迫っていきます。


今回登場する人達
サイバー
コンセント
事業部部長
鈴木優


趣味が
犬との会話と
散歩という
事業部長。
タンデム
ワープ社
代表取締役社長
斧田正彦


サイバー
コンセントの
プランニングに
関わる。
タンデム
ワープ社
ウェブデザイナー
中村元


サイバー
コンセントの
ウェブデ
ザインに関わる。
感心力の男
田中宏和


今回は
写真の頭が
切れてしまった
感心力の男。



田中 今回、サイバーコンセントやミスターコンセントの
親会社である3Qグループのことを
事前に調べてみたんですが、
グループ内の、販売店ひとつの単位で
一社一社独立させてしまうという、
超分社化経営されてるみたいですね。
鈴木 そう、超分社化。
田中 「顧客満足は、
 従業員満足からしか生まれない」
っていう
グループ代表のお話は
これまた素晴らしいと思って。
鈴木 ええ。
「カスタマーサティスファクションの前に
 エンプロイーサティスファクション」
っていうのを
謳う会社ですからね。

  
<ワンポイント用語解説>
「顧客満足」=
「カスタマーサティスファクション」=
「CS」

「従業員満足」=
「エンプロイーサティスファクション」=
「ES」
こんな関係です。
たぶん鈴木さんはストーンズ好きに違いありません。
田中 それは実際はどういうところなんですか?
人事施策であるとか、
福利厚生が良いみたいなことですか?
鈴木 福利厚生はなし。
田中 あぁ。そうなんですか?!
鈴木 人事的にも本部っていうのは全然いないんですよ。
みんな現場。

トップの代表と社長と、
4〜5人がまあいるくらいで、
あとは全部現場なんですよね。
トップも代表も普段はほとんどユニフォーム着て、
現場に出るような会社ですから。
田中 ほぉー。
鈴木 専務とか常務とかそういうのは、
みんな現場なんですよね。
田中 3Qグループの代表の言葉でおもしろいのは、
「みんな誰も社長になりたいんだ」みたいなことを
おっしゃってて、
「できるだけ人が働きたくなるような機会を、
 チャンスをいっぱい作ろう」
っていうようなことが、
超分社化につながっているのかと
思ったんですけど。
鈴木 そうですね。
意欲を持たせると。ね。
で、責任持たせばやるから、
責任をばんばん与えて。
田中 あぁ、責任。
鈴木 責任はすごいですよ。
うちは責任と権限はばんばん与える。
田中 はい。
鈴木 でも、報酬は与えない、と。
一同
鈴木 少ない(笑)。という考えですね。
田中 極端な話、ただでも働きたいっていう人を
増やそうっていう考えですよね。
鈴木 そうそう。
田中
鈴木 よく分かりますね。
田中 その超分社化っていうのは、
僕もすべて分かんないんですけど、
例えば「100満ボルト」っていう家電量販店があって、
そこが一つの会社になってると。
鈴木 ええ。
田中 普通はできるだけ、
「100満ボルト」っていう店があったら
その名前で各地に展開していくってという考えで
走ると思うんです。
ブランド資産なんてことを考えたら、
それが常識なはずなんですが、
それを敢えて
分社化されていくところがですね、
やはりひとえに
従業員のことを考えてらっしゃる発想なんだろうなと
思ったんですね。
鈴木 うん。でね、何ていうの? 
店を作るから
人が欲しいっていうよりも、
店ができたところで人を集める、
それも人づてで集める。
あんまり募集とかじゃなくて。
田中 人づてで集める。
鈴木 すべてが、ほんとに人系の会社なんですよ。
自分もミスターコンセントのサイバー部門に来ても、
僕の昔からの部下とか知ってるやつとか、
そういう人間を集めて来て
店を任せちゃうとかいう感じですね。
そういう戦術。
田中 だからそれがまたこれからの企業のあり方というのを
考えさせられるなあと思ったのは、
アメリカの会社って
株主の価値とか株主を
いかに満足させるかって極端に言いがちですよね。
一方、日本でもそのアメリカの流れは入りつつ、
顧客満足ってことが
さかんに言われ続けてますけど、
それよりも前に
まずはES(従業員満足)だと。
従業員の満足っていうのが
実は一番大事だっていう考えっていうのが、
これは回り回って新しいなあ
という感じがしたんですね。
鈴木 当り前だけど新しいですよね。
で、株主重視っていうか、
うちはね働いてる人間が株主。
要するに公開してないですから、
まあ主任とかそういう人には
自分の会社の株を買わせるわけですよ。
田中 それで配当があるわけですね。
鈴木 儲かればね。
東京でもこの西葛西店の店長とかも
無理矢理、株主で参加させるわけですよ。
で、儲かれば配当するよという感じで。
従業員は株主であり、従業員であるわけです。
だからここで一生懸命やったら
必ずリターンが来ると。
リターンを戻すのは決して投資家じゃないよと。
田中 わかった!
そこで働いていらっしゃる方も
会社は自分達のものだっていう気持ちを
一人一人持たれますよね。
鈴木 そういう意識はとにかく
毎日毎日植え込んでおく。
田中 しかも責任はドカッと与えられて、
でもなんかやりがいがあるからやっちゃう
みたいなことになりますよねえ。
鈴木 うちの会社の話になっちゃうけど、
まさに今おっしゃったように、
電気屋っていうと数字の話になりますけど、
流通業だしなかなか儲かんない商売なんですよね。
中間のマージンしかないじゃないですか。
だからいくら売ってもあんまり儲かんないの。
田中 はい。
鈴木 だからヤマダ電気とかでもどうなんだろ、
8000億くらい売るんですかね。
それでもね、
利益は200億とかそんなもんなんですよ。
そいで何%だ?
田中 2%とか2.5%とかですね。
鈴木 そのくらい行ったらもう優秀な会社。
で、それは粗利が15%くらいしかない商売。
どんどん値引きしてますから。
でも、この3Qグループってのは働かせるから、
1000億売って50億利益出したいわけですよ。
田中 はいはい。
働かせるからってのがポイントですよね(笑)。
鈴木 毎年間違いなく売り上げの5%は利益出すと、
そういう仕組みなんです。
田中 あぁ。
鈴木 だから、どんどん働かせる。
それを気持ち良く働かせるとか、
責任を与えて働いてもらう。
儲かったら報酬は出すよっていう仕組みで
やってるんで、
厳しい割には人が離れない。
厳しい割にはね。
田中 利益でいうとミスターコンセント事業の方が
家電販売されるよりも利益率、
上がりはいいんですか?
鈴木 粗利は全然高いですよね。
上がりは。40〜45%くらい。
田中 さらにそれがサイバーになった時に、
もっと利益率が上がったりっていうのは
あるんですか?
鈴木 これはもう若干下がりますよね。
物流費とかいろいろ絡むと。
田中 あぁ、修理品をこちらに送ってもらうのと
お客さまに送り返すための
流通コストかかりますよね。
鈴木 ここが一番ネックなんです。
ほんとはもっと価格下げたいんですけど。
田中 それでも、あえて
サイバーコンセントをやる理由っていうのは、
リアル店舗がないところのお客さんを
できるだけ掘り起こすかみたいなところなんですか?
鈴木 そうですね。
あとマーケットリサーチっていうか、
ミスターコンセントを出店する時の。
田中 出店計画を。
鈴木 そうなってるから。
田中 おもしろいですねえ。

<ワンポイント考察>

今回出てくる
「顧客満足は、従業員満足からしか生まれない」
「責任と報酬を与える」

この二つを飛ばして読んだら、
これ、えげつない会社ですよねえ。
従業員が満足して、しかも利益はしっかり出す。
水と油を絶妙に混ぜた
ドレッシングのような経営です。

働いている人が不満げな顔でサービスしてたら、
お客さんも嫌な気しますよね。
キッチンで夫婦喧嘩をしている定食屋で食う
トンカツはまずい、みたいなもので。

さらに、従業員満足については、
この後の回でご紹介しますので、お楽しみに。

2003-03-04-TUE

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