Drama
バンドマンという幸福な商売
沼澤尚さんと、とてもホンネな話。

Photo:Toshihiko Imai
(Rhythm&Drums magazine)

ほぼにちわ。
J&B「The Time 4 Real」
「ほぼ日」特典付き限定1000枚が
昨日のお昼過ぎに完売いたしましたっ!
早速、このニュースを名古屋でライブをしている
沼澤さんにメールした所、
早速、お返事がきたので紹介しますね。

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Subject: うわぁ・・・・・。

すごい快挙ですね、本当に・・・。
「ほぼ日」スタッフの皆さん全員、
もちろん糸井さん、
そして「ほぼ日」を通じて購入してくれた
1000人の方達、本当にありがとうございました。
すごい責任感じます。
次につなげるように一生懸命頑張ります。
これから始まるライブ・ツアーに是非来てください。
もっともっと楽しい時間が過ごせるはずです。
「生」の音と空気を一緒に感じるのが
一番心にキますから。

今日は幸せなこの気持ちを胸に
名古屋でライブの沼澤尚より

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いつか、どこかでドラムを叩いている
沼澤さんですから
いつか、どこかで「生・沼澤」を
味わってもらいたいなぁ。
ライブスケジュールに関しては
沼澤さんのホームページでチェックしてくださいね。
http://eltaso.org/taka/top.html
今回、ご購入していただいたみなさんには
「沼澤の皮」を同封したCDを
4月1日より発送いたします。

楽しみに待っていてくださいね。



本日の対談は、ドラマーとしてより
優れた鑑賞者としての
沼澤さんについてのお話です。
どうぞっ!

第7回
ドラムが叩けなくなっても困らないですよ
糸井 今、沼澤さんから
ドラムを取っちゃったら困りますか?
沼澤 いや、別に演奏できなくてもいいですけどね。
糸井 へー。そこも面白いなー。
沼澤 ドラムが叩けなくなったら
人生おしまいって感じでもないし、
俺は一生、ドラマーとして
生きていこうってことも
思ってないですね。
糸井 へー。
沼澤 だって、自分がドラム始めたのも、
どうしてもやりたいからっていうわけでは、
全然、無かったんですよ。
自分が叩けなくなっても
他の人が叩いてくれますし。
糸井 でも、沼澤さんにとって、
あんなにデカイメッセージを
奏でる道具がないじゃないですか、
いっくら喋っても、あそこまで
デカイメッセージは送れないでしょうし。
沼澤 あ、まあ、そうでしょうね。
でも、そのメッセージを送る技量が
無くなったら速攻でやめますけど。
糸井 あー。それはやっぱり
技量の問題が大きいんですか?
沼澤 自分の持ってるものもそうだし。
糸井 動機もあるよね。
沼澤 やりたくなかったら伝わるはずもないんで。
そのやりたいっていうものが、
いつも僕が思うことなんですけど、
「自分がこれだぜ」
って思ってることっていうのが、
全く、人に伝わってなくて
自分だけだったらどうするんだろう?
っていうことは、
やっぱり、ものすごい思ってて。
そういう日がいつか来るのか来ないのか、
毎日思ってるわけじゃないんだけど。
やっぱり、そういう人を僕は見てるんで
考えてしまうんです。
糸井 いっぱいね。
沼澤 ドラマーだけに限らないんですけど
「どう考えてもおかしいよね」っていう
人っているじゃないですか。
糸井 「この人、なんでここにいるんだろう?」
ってことでしょ。
沼澤 そういう人の発言って、
なぜか、絶対的な自信を
もってるわけですよ。
それって、どう考えても、
要するに裸の王様って感じで。
同じように、
気がつかなくなる自分に気がついたら、
絶対、辞めようと思ってるんです。
糸井 そういう、裸の王様たちは
ほんとは、気がついてんじゃないですか?
沼澤 だけど、そうじゃなく‥‥。
糸井 気づいているんだけど
それを続けなければならない理由が
いっぱいあるんでしょう。
沼澤 正当化してるんですかね。
糸井 正当化はできてないんだと思うんですよ。
「他に理由があるから、
 突っ込まないでくれ」
だと思うよ(笑)。
沼澤 そうかなー?
糸井 それは、どんな商売もみんなそうじゃない?
沼澤 「ああいう風にはなりたくないな」
っていう人が、
自分のまわりに沢山いるんですよ。
糸井 音楽はとくにそうでしょうね。
沼澤 ドラムだけじゃなくて。
歌にしても何にしても。
役者にしてもそうですよね。
糸井 ほんとは気づいてんじゃないですか。
沼澤 気づいてんですかね。
糸井 うん。いらだってるし、気づいてるし。
でも、やる理由は他に
いっぱいあるんだと思うよ。
理由っていうのは
その人ごとに、全部違うんだと
思うんだけど。
僕も、いつでもそういう存在に
なっちゃうという
怖さを抱えていますよ。
「自分がどういう風になるかな?」
っていうのが、
想像できたときに、
それまで進んできた道を
変えてかないといけないわけで。
沼澤 うーん。
糸井 変わり続けていかないと
その人であり続けらんないですよね。
沼澤 そうなんですよ。
僕にとって極端な話、
それがドラムの中だけじゃなくても
全然構わないんですよ
糸井 うんうんうんうん。
沼澤 ドラムを聴くっていうことが好きだし、
っていうか、音楽を
聴くっていうこと自体が
好きなんだから、
すごい自分のことを
感動させてくれる人が
演奏してくれるだけで、
十分だったりするんで。
糸井 そうか。
沼澤 「それを俺がやんなきゃイカン!」
というような理由でやってないし。
糸井 そうか、お客さんの延長線上に、
プロデューサーとして沼澤さんはいるんだね。
沼澤 まさにそうですね。
糸井 「超お客さん」の
プロデューサーなんだね(笑)。
沼澤 僕はどっちかっていったら
そっちですね。
糸井 事情通になっちゃうと
プロデュースって曇っていきますよね。
物事をたくさん知ってるからといって
プロデュースが出来るとは限らない。
例えば、「矢沢永吉」って人は
プロデューサーしてますもん。
自分プロデュースを。
沼澤 あ、まさにそれですよね。
糸井 あの人って決して、
物事いっぱい知ってて、
業界の知識が豊富にあるわけじゃないですよ。
でも、海外からアーティストを招聘するには、
招聘資格がいるだとか、
そういうことは実務として必要なことは
きちんと知っているんですよね。
沼澤 (笑)
糸井 それはすごいことですよ。
楽器を買うのと同じぐらい大事なことですから。
招聘できる権利を手に入れるとかって。
そこまでちゃんと自分で見てれば、だまされない。
沼澤 そういうのもわかってるという。
糸井 わかってる。免許がないとできないことなら、
免許取るし、みたいな(笑)。
沼澤 なーるほどね。
糸井 海外からアーティストを招聘することって
楽器のいいやつを買うのと
同じ意味を持ちますよね。
バンドにとってサウンドっていうのは
大事なものでしょうから、
やっぱり、人が財産ですもん。
それをやってるっていうことは、
できてるわけですよね。
沼澤 うん、そうかも。
糸井 しかも、メンバー全員が外人という
環境でやってるじゃないですか。
やっぱりできてるんですよ。
それって本気で思っているからだと
思うんです。

(つづきます!)

2003-03-27-THU

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