ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!

[格闘家座談会]
<第4回 努力だけでも、かなり活躍できる>


栗山 自分の映像とかを
もうひとりの自分が
見ているようなイメージがないと、
試合にならないんだ?
高坂 そうですね。
おさえこまれている時に
相手の背中がどこにあるか、とか。
ヒジがどこ、ヒザはついているかどうか。
そういうのが見えないと、
試合を組み立てようがないですね。
栗山 苦しみながらもイメージなんだ。
そうですよね。
自分をマネージメントしないといけないんだ。

野球とかサッカーの球技系だと、
小さい頃からすぐに
「あ、センスあるな」ってわかるじゃないですか。
格闘技って、センスなんですか?
あるとしたら、どこでわかるんですか?
高阪 格闘技では、
どう考えても立ち技はセンスなんです。
寝技は努力なんです、明らかに。
自分がそのどっちのタイプなのかを、
どこでいつ気づくか、でもありますね。
栗山 あぁ、それおもしろいですね!
高阪 はやく気づいたら、
伸びる部分を把握できているわけで、
そこで伸ばしていけば
一本の柱ができていくので、
例えば寝技がうまいということがあれば、
そこの柱のあとに、
立ち技という枝を伸ばしてゆける。
栗山 なるほど!
高阪 だから、自分がなんなのかを知らないと、
伸びることはできないですね。
栗山 じゃあ、センスがないけれども、
寝技だけはものすごく頑張るというヤツがいたら
そこそこ、行くんですか?
高阪 いきますよ。絶対いけます。
それはもう、間違いないです。
自分の経験から考えてもそうですよ。
栗山 あぁ・・・。
ちょっとうれしい言葉ですね、今のは。
高阪さんの説明がわかりやすいですし。
格闘技って、一般から見ると、
ちょっと、特別な世界じゃないですか。
限られた人というか。
高阪 そう思われがちなんですけど、
実は、ぜんぜん違うんですよ。

自分なんか、柔道やっている時も
めちゃくちゃセンスあるほうじゃ
なかったんですよ。
それも、やってて気づいたんです。

例えば、吉田秀彦選手と練習していても、
「あ、あれをやられる」
って、わかっているのに投げられちゃう。
古賀先輩と練習をやっても、
自分の柔道をさせてもらえない状態でしたから。
はじかれるし、あれ、と思っていると
自分は何も持っていないけれども
古賀先輩はガッチリつかんでいるという。

・・・なんで、自分の手を指す動きを
古賀先輩は、事前にわかるんだ、とか、
しっかり守っているのに、なぜ投げられる、とか、
それはセンスのかたまりなんです。
言葉じゃ説明できないものが、
古賀先輩たちには、たくさんつまってるんです。
森川 身も蓋もない結論(笑)。
糸井 (笑)遺伝子の問題みたいな。
栗山 それが立ち技の「センス」なんだ。
なるほど。わかっちゃうんですね。
高阪 センスのかたまりの人って、どの分野でも
その人自身のやっていることを
説明していないですよね。
それでなおさら、自分に気づいたんです。
森川 悪い子のほうが格闘がうまい、
とか、そういうことはないんですか?
高阪 ありえないですね。
糸井 それ、ものすごく気持ちがいいですね。
栗山 一見、悪そうなほうが
ケンカつよそうですもんね。
糸井 マンガって、正統的な考え方の
横にはみだしたポルノのようなものだと思うんです。
強さにしても、すでにあるイメージをデフォルメして、
「どっかに、そういうものがあるんだ」
と、ぼくらの弱さに訴えかけるというか。
・・・社会人になると、
マンガを読まなくなったりするじゃないですか。
仕事が忙しくなったりして。
あれって、ポルノがいらなくなるんですよ。
栗山 そうですよね。
自分でもそうです。
糸井 ぼくもたくさん読んでいたんですよ。
でも、わかればわかるほど、
そういうものはないな、と気づいて、
もっと「大きくなる」とか、
わかりやすいけどすごいことに惹かれる。
あしたのジョーのブラリとした姿は、
あれは梶原一騎のポルノだと思うんです。
ああいう人を好きだ、という。

最近のまじめな格闘技選手の話を書いても、
おもしろくないですもんね。
「やったぶん、当然勝つ」と。
高阪 ぜったい売れないですよ。
糸井 社会人になればなるほど
たのしむ物語が変わるから、
ぼくは逆に、いまの高阪くんの
「デカくなろうと思うんですよ」
という結論に、すごいなぁと思いますね。

一試合五分に二回しか隙がない、
そう知ったうえでみたら、おもしろいですよ。
でも、やるのがいちばんおもしろいんだろうけど。


(※つづく)

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2002-05-28-TUE
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