ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!

[スポーツよもやま話だ!]
<第1回(24日23時05分更新!)>


糸井 (巨人と阪神の試合が終わったあとで)
さて、今度は誰だ?
・・・あぁ、わかったぞ!
スポーティーですね。栗山さん!
栗山 ブランコでおりるの、こわいですねイトイさん。
あぁ、こんな部屋になってるんですかぁ。
糸井 どうも栗山さん、ごぶさたしています。
栗山 よろしくおねがいいたします!
こういう番組、出たことがないんで。
糸井 ぼくもあんまり、ないですよ。
今日は何してました?
栗山 今日は昼間、神宮で
学生野球をちょっと見て、時間がなくて
最後までは見られなかったんですが、
その後、スカウトのかたがたにお会いして。
今年、ドラフト会議がおもしろいですよね。
糸井 そうなんですか。
栗山 大学生がこれだけそろうというのは、
あんまりなくて。いい年ですよ?
糸井 そういう年が、やっぱり、あるんですね。
栗山 けっこう逆指名と言っても、
ほんとは逆指名していない3位とか4位にしても、
球団によっては、3位や4位指名でも、
指名して来ないというのは
イメージがわるいじゃないですか。

だから、みんな敢えてランクを下げてでも
絶対に来そうな選手を確保するというかたちに
なってきているので、かならずしも
上位からふたりがすごいわけじゃないんですよ。
でも、今年はそうとう揃っていますので。

今年は2位ぐらいまでは、
24人ぐらいはものすごい。
糸井 それは、すごい。
栗山 スカウトがどういう動きをしているのか、
興味があったので、食事をとりながら話をして。
糸井 じゃあ、今日(22日の水曜日)の
巨人阪神は、見ていなかったんだ?
栗山 見てましたよー。
糸井 今日はさっきまでここで
その野球中継をやってたんですよ。
ぼくのともだちで、社長なんですけど、
社長として野球を見てる人がいるんですよ。
つまり、選手の動機だとかセオリーとか、
経営として野球を見ている人がいて・・・。
さっきまでいたんですけど、
一緒にいつも野球を見にいくと
めげるぐらいにぜんぶ当たるんです。

今日の試合で言うと、
松井が2点入れちゃってから、
星野さんがノーアウト1、2塁のところで
矢野にバントさせましたよね。
「これ、どうなんすかね、糸井さん」
って言うんですよ。
ふつうに考えると、パスボールだろうが、
落ちるタマ投げにくいということで、
バントというのはひとつのセオリーですよね?

ぼくも長年ずっとその癖がついていたので、
バントがふつうどおりあるんじゃないですか、
っていったんです。ところが、
「そうでしょうかねぇ?」
って言うんですよ。
「矢野は昨日も出ていて、ヒット打って調子がいい。
 そこのところでバントをして
 チャンスを増やしたように見えても、
 流れを止めちゃって、2塁3塁になったとしても
 それで点が入るんでしょうかねぇ」
って言ったんです。
「矢野に打たせたほうが、阪神の勢いが前に出て、
 結果はどうあれ、選手の動機としては
 負けない野球ができるんじゃないか」と。
選択を増やしても・・・と。
バントもそんなに簡単じゃない、っていう
意味も含まれているんですよね。
栗山 それは正解ですね。
糸井 経営者としては、矢野に
「どっちに行きたい?」って聞いて、
納得させてのバントだったらいい。
矢野の動機としても、自分が言ったから、
ということでバントの確率が高くなる。
サインでバントだしても、
動機のところで減ってしまう。

案の定、刺されましたよね。
「あの時に真っ白になったはずだ」と。
「矢野が帰ってきたら
 大喜びだった阪神ファンや
 阪神のチーム内に、みそがついた」
・・・ゲッツーこわいかもしれないけど、
だったら、打たせるほうがいい、と。
おれたちは勝つんだ、という野球をやるべき。
そう言っていたんですね。

バントのところで
強気じゃない姿勢ができているから、
その後強気になったところで、
相手もこわくないし、チーム内も雰囲気が悪くなる。
栗山 あそこのバントは、
ぼくも失敗のイメージなかったです。
でも、失敗だったんだ?
組織って、すごいですね。
糸井 彼が言うには、
会社だとしたら、阪神は負けです、と。
栗山 組織って、そうなんですねぇ・・・。
なるほど。
確かに、矢野が帰ってきて
矢野がミソつけちゃったですよね。
糸井 あそこでバントしてしまって、
もう一度似たようなシーンの時も
ほかにやるほうほうがないから、ちょっと
意固地になって、安全確実というほうに逃げた。
だけど、逃げると勝負が先のばしになるから。

・・・勝負って、勝ちの姿勢のまま
勝っていかないといけないんだな、というのを
今日、ぼくは学んだ。
栗山 おもしろいですね。
組織体としてどう結果がでやすいのか・・・。
ぼくらは、言い訳づくりをしちゃうんです。
いちおう、送ったじゃないか。
失敗しても仕方がないじゃないか。
糸井 選択を増やしたじゃないかとか、
誰もがこうやる、とか、
お客さんがよろこぶとか、
そういうところでいろいろやるけど、
そのひとつの行動の選択の裏には、
かならず勝負が隠れているんですよ。

待っていたとしても点をくれないから、
勝負がかかっているんだから・・・。
そういう選択をすべきなんですよね。

バントが勝負をきめるという時なら、
バントをするべきだと思うんです。

・・・お、誰か来た。
次のお客さんだな?


(※つづきます。数日以内には、残りをお届けだ!)

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2002-05-28-TUE
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