ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
数時間ずつ更新で、木曜深夜の対談をご紹介!!

[2日目の総括。T部長との会話ですよ]
<第5回 天才という病>


この話をするぞ、と思っていると、
失敗するじゃないですか。
さんまさんにしても、打ち合わせをしないけど、
天才だから打ち合わせをしないと言うよりは
それのほうがベストコンディションなんだ、
とわかっているというように思えるんです。
糸井 ただ、ぼくがここでTさんとしているような
セミシリアスな話が求められていない場って、
ありますよね? 8時からのお笑いとか。
「仕事ってさー・・・」
っていう話、しちゃいけないじゃないですか。
でも、みんなのキャッチボールの中で
「仕事って」って言うイトイさんが
すごい天然に見えてうまくいくかもしれないし。
このタマの投げあいだとわかっていると、
うまくいかないから。
だから、ぜんぜん違うところでの勝負というか。
糸井 いま話している
そのパターンこそが「テレビ」ですよね。
すべてを「わっはっは」と言えるものに
持っていくというか。
だから、「この人、すごい!」っていうところが
ちゃんと出ないなら、
そういうトークに出るべきじゃないとさえ
言えるかもしれないんですよ。

ぼくが番組に出るのは、だいたいが
ダウンタウンとかさんまさんとか、
その人たちを好きだから、なんですね。
火事場に立つみたいな楽しみなんです。
プロからしたら調子のいい立場だと思うけど。

この三日間をひきうけるへんな人、
という立場なら、だいじょうぶだと思うけど、
ぼくは笑わせるようなおもしろいことに関しては、
そんなにチカラはないと思うんです。
笑いって興味があるんですけど。
(その後、さんまさんと松本人志さんの話をして)
笑いに関してはまたどこかで話したいですねぇ。
さんまさんとか松本人志さんとか天才って、
やはりちょっと紙一重なものがありますから。
「天才って、一種の病気なんじゃないか」
とさえ思いますねぇ。
糸井 ぼく、「吹きこぼれ」って言ったことがあるんです。
おちこぼれ、ってあるじゃないですか。
でも、あんまり上にいすぎて、
こぼれちゃう人もいるんだと思う。
落ちこぼれと吹きこぼれは、おんなじ仲間ですよね。
鍋の外にいるということでは。

やっぱり、病気なんですよ。
とてつもなく優れている、っていうのは、
美人にしても何でもいいですけど「病」ですよ。
歩いてるだけで「誰?」って言われるのは、
バケモノを見ているのと同じ視線にさらされるわけで。
その不幸な人たちが生きていけるのが
芸能の世界ですから、芸能のパワーって、
おそろしいものがありますよねぇ。
よく考えたら、
その芸能界にあこがれるっていうのも、
わからないものがありますよね。
糸井 やっぱり、特別なものがあるんじゃないかなぁ。
実際の芸能界を見ると、
ほんとうにごくごく一部の吹きこぼれ以外は、
予備軍かなりそこねというか、
そうでもない人が、けっこう多い・・・。
糸井 仕事としてやれてる人、
っていうジャンルは、ありますよね。
「日本の芸能界って、2万人いる」
って話したことがあって、おもしろかったです。
・・・あ、あしたわたくし、海外にいて
フィナーレにいられないんですけれども、
改めてまた・・・。
じゃあ、放送加入者数の発表をします。

(前日比で58人)

こういうのを見ていると、
おおざっぱにイメージした
「ここでこう増える」「夏はこうやってのりきる」
とかいうものを考え直さないといけないだろうなぁ。
それを考えるのは、おもしろいです。

今日、広報の人がきて、
「電波少年的放送局、夏がボーナス商戦ですから」
っていう話をしていったんです。
「新聞の全面広告をやりましょうよ」
っていう話がきたんですが、悩みましたね。
いままでやってきたことは、
地上波を使ってやってきたことなんです。

いまも、電波少年で6分なり8分なりで
やっているということはそのモデルなのですが、
でも、そういうモノの売り方はいかんのかな、
というように思っています。
糸井 8万円はともかく、800円は安いと思う。
8000円ぶんぐらい出してると思って
いいと思う。
ソフトがほしいのにハードが高いから、
8万円をタダにしてくれ、っていうのが、
ほんとうはやりたいことですよね。
ええ。
今日もその話をしていて、
8万円のハードルを超えた人しかこれない。
スカパーが1万円で売っていて
横の8万円を買う人は、よっぽどですよ。
全面広告をするなら、
8万円の機械を買うだけ買って、
視聴者プレゼントするほうがいいんじゃないか、
とか考えたりもするんですよ。
糸井 そういうことをいくら考えた結果で
全面広告をするかによって、
全面広告の意味が変わってくるので・・・。
ぼくはそういうことを問われると思って
やっていますね。
ディズニーの人が今日きましたけど、
そういうことを話しあってきているんですよ。
「その金の使い道はもったいない」とか。

従来は広告屋と広告主が、ほんとうの意味で
横になって話しあうことなんてなかったけど、
いまはそういう例が出はじめている。
それができたら最高ですよね。
ひょっとしたら、横並びにいたら、
1億円を用意したものを200万にして、
別のところに使うという方法もありますよね。
糸井 なるほどな・・・と言いつつ、
部屋の片付けをしながら生きるわたし。
やっぱり、室井(滋)さんに
怒られたことが、やや強迫観念になりますか?
糸井 なります。
ぼくもそうなんです。
糸井 ガミガミ言われることっていうのは、
ぼく、ウソでもいやなんです。
ぼくもそうですねー。
糸井 あれは室井さんの素敵な芝居なんですよ。
「やっぱり猫が好き」的な芝居。
でも、ついていくのもイヤで、かといって
「おまえのほうが!」
って怒るのも体力が要るし。
・・・でも、聞いてるだけで
ものすごくつらいんですよ。
あの芝居のタイプが。

室井さん自身が
実生活であのタイプだとは思えないんです。
だから、その芝居、古い!って言いたくなる。
「からだにわるい」
「そんなことしてると病気になる」
そう言われるのが、いちばん腹立つんですね。
そのコンセプトでパワーをまいて通じるのは、
あなたのファンしかいなくなっちゃうぞ、
と思うんです。


(※つづく)

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2002-05-26-SUN
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