ITOI
ダーリンコラム

<自分の土俵>

自分の土俵で相撲を取れ、とは
よくいわれる言葉である。

実は、これ、若いときは何を言っているのか
よくわからなかった。
なんというか、異種格闘技戦のようなイメージかなぁ。
相手の得意な戦い方に合わせてはいけない、
というくらいの感じでとらえていたのだろうと思う。

釣りのトーナメントの時にも、
ベテラン・バスプロの吉田幸二さんに、
「自分の釣りをすることだよ」とアドバイスされて、
そうか、と思ったし、「そうか」と言ったんだけど、
実はよくわからなかった。

なんというか、この感覚って、
わかるの、ものすごく難しいような気がするんだよね。
ぼくは十分に大人になっているはずだけど、
わかったような気がしたのって、つい最近だもの。

「自分の土俵で相撲を取る」ことができると、
どんないいことがあるか。
それがうまく説明できたら、もうちょっとわかるかなぁ。
・まず、余計なエネルギーを使わなくてすむ。
・結果がよくなかった時にも、経験として役に立つ。
・そして、相手をも向上させることができる。
わーい。
いいことばっかりじゃないか。

次に「自分の土俵で相撲を取る」ために何をしたらいいか?
・余計な準備をしない。
 傾向と対策なんてものを考えない。
・相手の言葉(特に専門用語)を使わない。
・知らないことを、知ったふりしない。
・間違いを怖れない。すぐ、謝っちゃう。
 満点より、ナイスな合格点を!
・自分の弱点や欠点を隠そうとしない。
ま、だいたい、似たようなことをしつこく言ってるだけだ。

そして「自分の土俵で相撲を取る」のは、どんな時か?
・異性を口説くとき。
・さまざまなプレゼンテーションをするとき。
・新しい集団に出会うとき。
・それまでの経験にない試練にあったとき。
・危機に出合って、なんとかしなければいけないとき。
・勝負事をするとき。
まぁ、だいたいの大事な場面すべてである。

わかってきた?
わかったような気がしたら、もうそれでいいや。
「自分の土俵で相撲を取る」ことができて、
そこでの勝率が5割を超えたら一人前だと言えるだろう。
「自分の土俵で相撲を取る」よう心がけて、
負け続きだった場合は、
「自分の土俵」ができてない、ということを意味する。
「自分の土俵」をつくるにはどうしたらいいか?
試合をさせてもらうことである。

以上。
こういうわかったようでわからないような、
わからないようでわかるようなコラムを、
平気で書ける場をつくるのも、
「自分の土俵で相撲を取る」ということである。

まいったか。

2001-02-13-TUE

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