ITOI
ダーリンコラム

<踊るおとうさん>

ぼくらは幼稚園や小学校で「おゆうぎ」を習った。
なにがおもしろいのか、よくわからないままに
くるっと回ったり、手を叩いたりしゃがんだりして遊んだものだ。
あれが誰でもいちどは経験する踊り体験なんだろう。
その後も、学校ではフォークダンスってやつをやらせるから、
ま、義務教育だけ履修していたとしても、
日本人は皆2度は踊りを踊るというわけだ。

他に、盆踊りがある。
ディスコとかクラブとか呼ばれる種類の
「踊り場」もあるんだけれど、
ぼくはそのへんにあんまり近づかないで生きてきてしまったので、
どうも踊りが劣等コンプレックスになっている。

自分の子供なんかを見ている限りでは、
やつらはおゆうぎ以来、
休みなく踊りに縁のある生活をしている。
うらやましいのだ。

ぼくは踊りは、好きなのだ。
踊りたいというのではないが、踊りというものは
なんだかとっても好きである。
「踊り感覚」のある人は、尊敬する。
どこのオトナよりもいち早く「SMAP好き」であることを
公言したのも、踊りがあったからだと思う。

踊りのある人と、踊りのない人という分類が、
できるように思う。
いちがいには言えないのだろうが、
ぼくらの団塊(だんこんと読まないように)の世代には
踊りが足りないような気がしている。
一時期、同年代のたけしさんがタップダンスをやりだしたのは、
なんだかとてもわかる気がしたものだ。
そういえば、松本人志さんも、いつも踊りを意識しているな。

インターネットという世界も、団塊の世代じゃないけれど、
踊りを感じさせるものが少ないように思う。
身体が止まっていることが多いからだろうか?

いろんな単語のあたまに、「踊る」をつけると、
急にいい感じになる。
「踊るマハラジャ」や「踊る大捜査線」は、その代表例だけど。
「踊る物理学者」
「踊る狸親父」
「踊るスポンサー」
「踊る内閣調査室」
「踊る質屋」
「踊る営業部長」
「踊るコンピュータ」
ああ、好きにならずにいられない!

ぼくと同年代の読者の皆さんは、いかがなもんでしょうか?
ぼくは、いちおう「踊るおとうさん」といった位置を
ねらっているのですがね・・・。

1998-09-28-MON

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