2005年3月7日の「今日のダーリン」

・ふだん『気まぐれカメら』で、
 冗談めかして言っている
 「梱包芸術」ということばですが、
 いま、このアートの本家本元である
 クリストの展覧会を、六本木でやっているんです。
 『クリストとジャンヌ=クロード展』として、
 4月6日までということですが、
 うかうかして見過ごさないでよかったと、
 つくづく思うような展覧会でした。

 すばらしいものというのは、
 それに出会った人の頭をくらくらさせます。
 見知っているものと、見知らぬものが、
 まだら状に入り組んでいて、
 「わかるようでわからぬもの」であり、
 「わからぬようでわかるもの」になっているので、
 見ている人のこころが安定できないのです。
 クリストの展覧会は、まさしくそういうものでした。
 
 芸術、それも「現代芸術」というやつは、
 落語のなかの町人のひとりであるぼくには、
 「それがオレになんの関係があるっつーんだ?」と、
 からんでやりたくなるようなところがあるんですが、
 たまに、こう、こんなふうに、
 「ほんとにすごいものは、やっぱりすごいや」
 と思わせてくれるんですよね。

 クリストという作家のことを、
 浅い教養として知っているだけでした。
 それでも「おもしろいなぁ」と興味があったのですが、
 政治人でも経済人でもなく、芸術人として、
 ぼくらの未来を見せてくれるんですよね。
 その感じが、どすーんと胸に伝わった気がします。