BUCHO
チャリで探る地球
「麻布十番の21世紀」

  • 明日に吠えるビジネス

<麻布十番 豆腐屋篇(早朝取材)>

お待たせいたしました。
先日予告したお豆腐屋さん
「麻布吉野屋商店」の早朝取材、
西田部平社員と共に行ってまいりました!!

なんといっても「では朝6:00に。」
とのお約束だったため、
私たちは我が社鼠穴で1泊することに。
朝5:00すぎ、平社員の「部長、起きて下さい!!」
の一言で目覚めたものの、外はまだ薄暗くて、
2人共とにかく寝ぼけ顔。
そのうえ、ひどいネグセに悩まされる2人。
でも早くしないとお豆腐できあがっちゃうでしょう。
そうそう、そしてようやく
少し気合いを入れて外へでてみると、
雨模様にますますどんよりする私たち。
「しょうがない、社用車はあきらめて
今日は自家用車に乗って行きましょう。」
そしてやっとのことで
朝の十番商店街へと向ったわけです。

まだ薄暗い十番商店街は昼間の賑わいぶりはどこへやら。
人も車も全然いない商店街は
もちろんお店もみんな閉っていて
唯一活動しているのが吉野屋さんでした。

「おはようございま〜す。」
中に入っていって、まず聞こえるのは
ぐうぃ〜〜んという機械音、そしてお豆腐のいい香り。
しかしお店はその時間、朝の出荷のためにとにかく大忙し。
「朝は戦争だから。」という言葉どおり、
なるべく邪魔にならないように小さくなってはいるものの、
それぞれに担当の仕事をテキパキと
こなしているみなさんの姿に
ただ圧倒されるばかり。
私たちはしばらくオロオロする始末でした。。

しかしこんなことでは取材にならないのです!
お豆腐がどんな風にできあがるのか、それを取材するために
早起きしたんじゃないですか。
では、大変長ーいまえおきではありましたが、
<お豆腐ができるまで>そろそろご報告いたします。

<お豆腐ができるまで>

その1
まず、お豆腐への第一歩、それは『大豆』を水に浸して
ふやかすことです。
次にふやけた大豆はミキサーで砕かれます。
砕いたものは『ご』といわれ、白い液状になって機械から
流れでてきます。
そして次に大きなバケツのような機械に
『ご』は自動的に送られ
そこでからからの白い『おから』とクリーム色の『豆乳』に
分離されて出てくるわけです。 
『ご』を分離する機械は、
最初から最後まで絶えず動き続けて
いて、まるでお豆腐屋さんの心臓な役目をしています。
そしてクリーム色の豆乳がまさに
お豆腐のもとになるものです。

*まずお豆腐の基本といえば『大豆』、豆です。
 ちなみに吉野屋さんの大豆はアメリカのオハイオ、中国、
 北海道産のものを混ぜて使用しているそうです。
 しかし『大豆』、これはなかなかあなどれません。
 「おから」、「豆乳」、「お豆腐」などなど
 どんなふうに姿を変えてもみんな体にいいわけですから。

『おから』
おからは大豆の3倍くらいの量になります。
だからすごい量になるわけですが、それは1袋100円で
販売されています。
もちろんおからも体に良くて、1袋で10人分にはなると
いうので健康オタクの方にはおすすめです。

『豆乳』
豆乳
豆乳は固めるとそのままお豆腐になります。
だから体にいいものに決まっているわけです。
朝一番に販売される豆乳は
カップに入れてこれも一杯100円。
パックなどに入って市販されているものにくらべると
3倍くらい濃厚で、
植物性タンパク質なのでとても体に良く、
特に肝臓に効くそうです。
健康のために毎朝あったかい豆乳を買いにくる
お得意のお客さんも沢山いました。
このあったかい豆乳は本当に美味しくて、
ちょっと試飲させてもらった私たちは、この時はじめて
「早起きして良かった。」と思ったのでした。

その2
ここから本格的にお豆腐に近づいていきますが、
ここまでは同じでもこれから先の製法の違いで
「絹ごし」、「木綿」の違いがでてくるわけです。

『絹ごし豆腐』(140円)
絹ごし豆腐は長方形の大きなバットに
粉末の苦汁を水でといて
底に敷き、分離したクリーム色の
豆乳をそのまま流し込みます。
それを1時間くらいそのまま固めるとできあがり。
ゼリーを固めるみたいな感じです。
絹のようになめらかなので絹ごし豆腐というそうです。

『おぼろ豆腐』(160円)
おぼろ豆腐
この『おぼろ豆腐』は吉野屋さんのオリジナルです。
基本は絹ごし豆腐なのですが粉末の苦汁ではなく、
液体の苦汁を入れて固めます。
同じく1時間ほどおいて、
固まったらお豆腐の容器に
おたまですくって入れていきます。
液体の苦汁で、やわらかくて、甘味のあるお豆腐になります。
水にさらしたりせずにレンジで温めて食べるほうが
おいしさがにげなくていいそうです。

『木綿豆腐』(140円)
水槽
これは、機械からでてくる豆乳を受ける
大きなドラム缶サイズの容器に、
直接液体の苦汁を入れて長いきべらのようなもので
かき混ぜていきます。
苦汁をいれると少しづつ固まりはじめるので、
ある程度の堅さになったところで、
木綿豆腐用の「わりばこ」という入れものに、
お豆腐屋さん専門用語で「ぼうず」といわれる、
大きなおたまで、すくい入れていきます。
いっぱいまで入れると
その上に木を置き、重しを載せます。
わりばこには水が抜ける穴が沢山あいているので、
水が抜け、凝縮されて、
堅くしまった木綿豆腐になるのです。
この後、木綿豆腐はあらゆるところで活躍します。
例えば、厚揚げ、油揚げ、がんも、
全ての基本になるのは
木綿豆腐です。

*ちなみに『苦汁(にがり)』というのはお豆腐の凝固剤の
ことで、液体と粉末のものが使われていました。
苦汁は、海水から食塩を結晶させた時、
あとに残る苦い液体からできています。
(塩化マグネシウムが主成分-MgC12)
苦汁をちょっとなめさせてもらいましたが、
「うわぁー、にがっ!!」と平社員。

それにしても、絹ごし豆腐と木綿豆腐の違いは絶対に
豆乳をこす時に使う布が絹か木綿かということで
違いがでるのかと決めつけていましたが、
それは間違いのようでした。
正確には絹のようだから「絹ごし豆腐」です。
なので基本的には製造の仕方が違うだけで内容は同じだと
いうことです。大変お勉強になりましたぁ。



街のとうふや 『麻布吉野屋商店』 電話03-3401-9353
営業時間 平日 6:00〜17:30
     土曜 6:00〜13:00
定休日 日曜日/祝日


今日も、まだ地球はまわっていた

1998-10-18-SUN

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