海馬。
頭は、もっといい感じで使える。

第27回 酔いとアルツハイマー病は似てる?


こんにちは! 「ほぼ日」の木村ともうします。

『調理場という戦場』が25日日曜日の毎日新聞で
丸谷才一さんから、かなり好意的な紹介を受けました!

「斉須は日本料理の永田基男(京都千花の主人)と並ぶ、
 発明の才に恵まれた料理人だから、
 その創意と思考について聞くことは、
 他の仕事にたずさわる者にも参考になるのだ」

などなど、ずいぶん大きくとりあげてくださいました。
アマゾンでも、昨日、海馬4位調理場13位でした!

      *     *      *

・・・さて、前回の予告どおり、おととい月曜日、
池谷裕二さんにお会いして、脳とか海馬とかについて
みなさんからの質問を、いろいろと訊いてきましたよー。

今日からしばらくこのページでは、
毎日一問一答形式で、脳に関する
みなさんの問いに、池谷さんが答えます!
どうぞ、おたのしみに・・・。

たくさんいただく「海馬」のメールを読んで、
池谷さんは、次のようにおっしゃっていました。

「感想、ほんとにとってもたくさん、いただきますね。
 ありがとうございます!
 もちろん、ぜんぶ読んでいますし、
 どんなに忙しくても、ほぼ日のメールが来ると
 仕事をとめて読みこんでしまうと言いますか……。

 ひとりひとり、ちゃんとパソコンの前で
 書こう!と気合いを入れて
 書いてくださっているように感じました。
 気軽に書いているというよりは、
 みなさんほんとにしっかり書いてくださっている。

 だから、こちらも本来ならば
 全員にメールをお返ししたい気持ちなのです。
 ただ、量がすごいので、
 それだけのことをする時間も余裕もなくて、
 こういう機会に、ちょっと、質問形式のものだけでも、
 おこたえできるのは、うれしかったりするんです!」


では、さっそく、
読者と池谷さんとのやりとりに移りますね!







・こんにちは。
 私は有料老人ホームで働いて居るんですが、
 痴呆の入居者さんとお話したりするたびに
 「痴呆ってひどく酔っぱらってると人に似てるなあ」
 と思います。

 本人は至ってまじめに話してる(と思われる)のに、
 周りから見たら全然辻褄があってなかったり、
 次の日には言ったことすら覚えてなかったり。
 たまに曇ってる日に
 ぱっと日が射すみたいに正常になったり。

 酔っぱらっている状態がずっと続いてるのが、
 痴呆の状態だと勝手に思っているわけですが、
 酔っぱらっている状態の脳と
 痴呆の状態の脳って似てるものなんでしょうか?

 池谷さんのお話の中で、
 アルツハイマー病の原因が
 神経細胞の機能の低下によるものではないか、
 というのがありました。
 酔っている脳も一時的に機能が落ちてるのかなあ?
 などと思うのですが、
 酔っている脳がどんな風になって
 「酔っぱらい」行為を作り出しているのかなども、
 是非お聞きしたいです。
 (ア)





・この方の質問されていることは、そのとおりなんです。
 アルコールとアルツハイマーというのは
 かなり似ていますね。
 ぼくは今までそのふたつを
 比較したことがなかったのですが、
 「そうとう似ている」と言っていいでしょう。

 と言いますのも、
 アルコールでもアルツハイマー病でも、
 そうなるいちばんの原因が何かと言うと、
 大脳皮質なんですね。

 大脳皮質を麻痺させるというのが、原因になる。

 大脳皮質が麻痺しちゃうと、残る部分というのは、
 視床ですとか、基底核ですとか、延髄とか脊髄とか、
 そういうところだけが生きている状態になります。

 そうすると、アルコールの場合には
 本能とか本性が割とむきだしになってきたりします。
 アルコールではかなりいろんなところが麻痺します。
 アルツハイマー病のほうが、
 もうすこし麻痺する場所が特異的な一部分でして、
 ものを覚えられないとか、判断することに
 支障をきたすということになってきます。
 ただ、根本的には、
 そのふたつは非常に似ていると思いますよ。
 (池谷裕二)






 今日は軽めにひとつ紹介いたしました!
 次回は明日!また違う質問をお届けです。

※なお、ちなみに……。
 海馬のアマゾンでの販売は、こちらで行っております。
 調理場のアマゾンでの販売は、このページで、どうぞ。
 どちらも、アマゾンさんで買うと、送料無料ですよ!

2002-08-28-WED

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