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私をリングサイドに連れてって。

氷上の格闘技NHL開幕!!

アメリカの4大メジャースポーツといえば
MLB(メジャーリーグ、3月末〜11月)
NFL(アメリカンフットボール、8月末〜2月初旬)
NBA(プロバスケットボール、10月〜5月下旬)
NHL(アイスホッケー、10月〜6月初旬)

4大スポーツの特徴はそれぞれあわせると
シーズンオフがないことです。
アメリカのファンは1年中メジャーと呼ばれる
プロスポーツを楽しめるわけです。
それ以外にもボクシング、サッカー、テニス、
カーレース(ナスカーやインディ)、そして
日本と比べて最も熱狂的な違いが大きい
カレッジスポーツ。
特にフットボール、バスケットは凄い人気です。

今年はテロにより、MLB、NFLが1週間延期、
アメフトのファイナルであるスーパーボウルが
初の2月開催(通常は1月最終日曜日がスーパーサンデー)
になるなどスポーツカレンダーも変更されています。
また次回以降に書きますが、テロにより
かつてスタンレーカップを獲得したNHLスカウトが
亡くなるなど犠牲者もでています。

そして今シーズン3つ目のメジャースポーツ
NHLが開幕しました。
WOWOWでもシーズンを通して中継していきます。

今シーズンは来年2月にユタ州ソルトレイクで
冬季オリンピックを控えているとのこともあり
さらに盛り上がっています。
しかしながらテロへの反撃がついに始まったので、
プロスポーツ、オリンピックと
予定通りの消化を祈っています。

NHLはアメリカ24チーム、カナダ6チーム、全30チームが
No1の称号であるスタンレーカップを争います。
レギュラーシーズンは82試合。
その後少なくとも3チームに対して
4勝先取のプレーオフに勝たなければ優勝できません。

日本でもここ4年で97年、98年、00年開幕戦を
代々木体育館(2回)と大宮スーパーアリーナで
計3回行いました。
私も練習を含め試合を真近で見ましたが、
もの凄いスピードと迫力です。

驚いたことが三つありました。
一つは選手の体格です。
大きいのは当然ですが、筋肉の鎧をまとっている感じです。
特にロシアン・ロケットの異名をとる
パブル・ブレ選手のスーツ姿を見たのですが、
身長は172cm程度ですが、上半身は当然ですが
ヒップが恐ろしく太かったのを記憶してます。


二つめはプレーの正確さと速さです。
簡単なプレーでも非常に正確にそれも速く
淡々とこなしてゆくのです。
個人練習は一切しません。
アマチュアや二軍ではないので、
一切、個人的な動きはないのです。
唯一キーパーだけは違いますが。

そして基本の徹底です。
世界トップでも基本的な練習ドリルは
日本のアイスホッケーで採用されるものとほぼ同じです。
特殊なものは全くありませんでした。
同じことの繰り返しで試合を作っていくのです。
ボクシングでも攻撃や防御は
トッププロでも基本に忠実なので(ハメドなどは異例です)
当然といえば当然なのですが、
超一流のプレーヤー、ブレやメシエ、カリヤ、セラニが
チームの戦術として全員と同じ動きをしていたのは
ちょっとした驚きでした。

98年2月には長野オリンピックでアメリカ、カナダの
ドリームチームが来日し話題になりました。
期待に反して両チームとも決勝に進めず、
チェコ対ロシアという渋い決勝でしたが。

私の記憶では試合とは全く関係ないのですが、
外国人ダフ屋が多かったのが
記憶に鮮明に残っています。

アイスホッケーは視聴者にとって
TV中継が分かりにくく理解しにくいスポーツの一つです。
何故かというと
実体験する機会が少ないという点があります。
道具も少なく、家の外でもできる
野球やサッカーと違うので、
体験できないというのがあります。
ヘルメット、ショルダー、エルボー、グローブ、
パンツ、シンガードにスティック、
ホッケーシューズとさらに
アイスリンクがないとできません。
さらに道具を揃えても3〜5年練習しないと
通常のプレーには参加できるレベルになりません。
私自身も約3年間、
プレーではなく練習経験だけ行いましたが、
とても試合に出るレベルには届きませんでした。

プレーを体験せず単純にTVを見るとしても
ヘルメットをかぶっているので
選手の顔がわからない。
選手の交代が早く追いつけない。
(NHLレベルでは1セット約1分で交代。
 3〜4セットで試合を回します)
リンクが狭く、選手とパックの動きが早いため、
追いつけない。
ルールや反則も多く、それも必ず起こるので
ついていくのが非常に大変などです。

WOWOWの今シーズンの中継ではグラフィック等を充実させ
ポイントをできるだけ分かりやすく伝える番組作りを
今年も目指しています。

全世界からアイスホッケー最高峰の選手たちが揃い
凌ぎを削る試合はまさに氷上の格闘技そのものです。
そしてここ数年は攻撃的ホッケーの流れもあり
慣れると非常に面白いスポーツです。

担当の和田プロデューサーから
注目情報を聞いてきたので
これを参考に見てみると面白いと思います。

スーパースターを揃えるトップグループは
デトロイト・レッドウィングス(プレーオフ1回戦敗退)
ダラス・スターズ(西カンファレンス準決勝敗退)
コロラド・アバランチ(シーズン優勝)
セントルイス・ブルース(西カンファレンス決勝敗退)
ニュージャージー・デビルス(シーズン準優勝)

セカンドグループは
フィラデルフィア・フライヤーズ(プレーオフ1回戦敗退)
ワシントン・キャピタルズ(プレーオフ1回戦敗退)
ピッツバーグ・ペンギンズ(東カンファレンス決勝敗退)
トロント・メープルリーフス
(東カンファレンス準決勝敗退)

注目はなんといっても
デトロイト・レッドウィングス。
2001シーズンプレーオフでロサンゼルスに
まさかの1回戦負け。
リベンジを誓う今年はNHL一番の大型補強をしました。
世界No1ゴーリー、長野五輪チェコ金メダルの立役者
ドミニク・ハシェックを、さらにダラスから
スーパースター、ブレッド・ハルを獲得。

また注目されるのが9年目、NHLを
代表する攻撃システムでファンを魅了する
ボウマン監督の攻撃型新戦術です。
昨シーズンNHL2位タイの111得点
(1位はコロラドの118点)を記録し
スタイルをさらに進化させるかどうかで
関係者は話題もちきりです。

その名は「The Torpedo」(魚雷システム)
アイスホッケーは3人のFWと2名のDFそしてGKの
6名がシステムの主流です。
この「The Torpedo」システムは
ヨーロッパで採用されているもので、
2名のFWが相手にプレッシャーをかける
2名のFWがサッカーのMF的に攻防どちらでも対応する
DFポジションは1名。

サッカー的表現で通常は2-3を1-2-2と
3つのフェイズに分けて攻撃力の高い選手を配置し、
より相手ゴールに近いところから
プレッシャーをかけより得点を狙っていく
超攻撃的なシステムです。

プレー全てではなく、得点が欲しい時や
相手が劣っている、疲労している場合に
使用されるのではないか?と考えられています。

ただし抜かれたり裏を取られると
DFが厳しい、紙一重のシステムでもあり
選手も高い能力が要求される諸刃の剣という意見もあり、
だからこそ見てみたいという気がします。

もちろん昨季優勝のコロラド、準優勝のニュージャージーも
昨年並みの戦力でプレーオフ進出は堅いところ。
ワシントンはNHLNo1スター、
ヤロミール・ヤーガーを獲得し、
アダム・オーツとのベテランスターコンビで
下克上を狙います。

開幕直前のラスベガスのオッズは
(本当になんでも賭けの対象なんです)
デトロイト 2.5倍
ニュージャージー 4.5倍
コロラド 5倍
セントルイス 6倍
ダラス、ワシントン 8倍
フィラデルフィア 10倍
オタワ 12倍
となっています。

また現地専門誌の2002年ソルトレイク・オリンピックは
カナダ
チェコ
アメリカ
となっており、非常に楽しみなシーズンが始まります。

都心では東伏見や新横浜で日本リーグも観戦できます。
一回でも生リンクで見るとだいぶ印象が違うものです。
そして氷上の格闘技の頂点、NHLのスーパースターと
進化する攻撃的戦術も体験してみてください。

WOWOW 小田真幹


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2001-10-14-SUN

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