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私をリングサイドに連れてって。

人気王者畑山敗れる!!

人気絶頂のチャンピオン畑山選手が完敗しました。
指名挑戦者1位、フランスの
ジュリアン・ロルシーに3−0の判定負け。
しかもポイントも8、6、5ポイント差の完敗でした。

かみ合うと思っていた試合は
想像通り素晴らしい打ち合いでした。

試合開始して驚いたのは、
距離の違いでした。
中長距離で畑山選手、接近戦でロルシー選手
と、思っていたのですが、
いざ始まってみると全く逆でした。

序盤、畑山選手の距離と考えていた中距離で
ロルシーの強烈なジャブをまともにくらいます。
ロルシー選手の踏み込みが素晴らしかったのです。
チャンピオンは伸びるジャブに苦しみます。
必死に懐に入り込もうとしますが、
そこに見透かしたように
強烈な右アッパーが飛んできます。
それでも畑山選手はロルシーを追い続けます。

ロルシーは今度は足を使い下がります。
しかしそれも戦術でした。
ガードを固めロープを背負いカウンターを
狙ってきました。
左右のコンパクトなフックやアッパー3連発、
右のボディから顔面など
多彩な角度、コンビネーションで完全に優勢にたちます。
さすが元チャンピオンです。
欧州アマチュアでの経験も豊富です。
特にバランスが非常に良かったです。
また防御、特にブロッキングが固く
容易に突き破れません。
さらに戦術プランも予定通りだったのではないでしょうか。
反面、畑山選手は1発を狙い、
手数が少なくなり、そこに先手を打たれてしまう、
という悪循環になってしまいました。

それでもチャンピオン畑山選手は
最後まで果敢に打ち合いを続けました。
10Rにはあと少しでダウンか?
というところまで追い詰めます。
あれだけパンチをもらい、相手を
追い詰めることは並大抵のことでは
ありません。
11R、12Rロルシーは苦しい表情を見せ
スタミナ切れをおこしていましたが、
ポイントでの勝利を確信して、クリンチと足を使い
逃げ切りを図り、再び頂点に君臨しました。



個人的な感想ですが、
リック戦で不本意なドロー防衛、
タレント活動、それに対する雑音、
24時間テレビのフィナーレ、など
チャンピオンは攻撃に徹する試合を
心に誓ったとしか思えません。
勝敗はあくまでもその延長線上にあると
いわんばかりでした。
それはファンのため、会場のお客さんのため、
世界チャンピオンである自分のプライドのため、でしょう。
そこには「絶対にあきらめない」という
強い意志を感じました。

2階級制覇と2度の世界陥落。
栄光と挫折を味わった畑山選手は
今後どうするのでしょうか?
年齢的、能力的にはまだまだ充分ですが、
表情や試合ぶりからは「全て出しつくした」という
満足感も感じました。
今はゆっくり休んで欲しいと思います。

これで日本の世界チャンピオンは
S.フライ級のセレス小林選手、徳山昌守選手の2名です。

今後の世界戦は
・7月15日
 WBC世界フライ級
 ポンサクレック・シンワンチャー(タイ)対 浅井勇登
・8月25日
 WBA世界ミニマム級
 チャナ・ポーパオイン(タイ)対 新井田豊
・9月1日
 WBA世界S.フライ級
 セレス小林 対 ヘスス・ロハス(ベネズエラ)
 WBA暫定世界バンタム級
 エディ・モヤ(ベネズエラ)対 西岡利晃

特に新井田選手、西岡選手はチャンスがあります。
セレス選手にはぜひ長期政権を期待します。

またこの日、同じリングで復活を果たした選手がいます。
元日本フェザー級チャンピオン
木村鋭景選手です。
前回、雄二・ゴメス選手にTKOで敗れ
王座転落したのですが、
この日は鋭い踏み込みの右ストレートで
危険な相手である元OPBFフェザー級王者
トニー・ウィービー選手を1RKOで葬り去りました。
挫折からの見事な復活。
木村選手は一皮向けるのが遅い気もする程の
実力の持ち主です。
宿敵、雄二・ゴメス選手へのリベンジには
もう後がないという状況で
精神的にさらに強くなったという印象でした。
今後が非常に楽しみです。

またガチンコ3期生の竹中選手も
バラエティ出身とは思えない素晴らしいボクシングで
KOデビューしました。
4回戦では非常に能力の高い選手です。
さらに上では打たれた場合、防御がポイントでしょう。

世界王座陥落。
チャンピオンロードへの再挑戦。
夢への第一歩。

7月1日埼玉スーパーアリーナのリングには
さまざまなドラマがありました。

選手の数だけドラマがあるのがボクシングです。
みなさんも興味があれば後楽園に
足を運んでみてはいかがでしょうか?


ご意見はこちらまで Boxnight@aol.com

2001-07-03-TUE

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