BOXING
私をリングサイドに連れてって。

「現代に甦る伝説の中量級」
WOWOWエキサイトマッチ・プロボクシング


みなさんはボクシングにおける「伝説の中量級」
という言葉を知っていますでしょうか?

それは20年前の1980年に溯ります。
当時ボクシングはコアファンには人気があったものの
モハメド・アリ、マイク・タイソンのような
時代を象徴する突出した存在はいませんでした。

ヘビー級ではラリー・ホームズがWBC王座を
16度防衛するなど一時代を築いていましたが、
ライバル不在のためスポットライトが
当たらなかったのです。

そんな時代に後押しされ、
忽然と4人のスーパースターが中量級に出現しました。

アリの華麗なるボクシングを継承した
スーパースター、シュガー・レイ・レナード。

長身強打と脆さを併せ持つ、デトロイト出身の
“ヒットマン”トーマス・ハーンズ。

石の拳といわれる強打で
ガッツ石松をマットに沈めた経験を持つ、
パナマの英雄、ロベルト・デュラン。

ミドル級最強のサウスポー、
“マーベラス”マービン・ハグラー。

この4人のスーパースターの対決が実現し、
全世界に再びボクシングブームが起こり、
それまでのヘビー級中心から
中量級、軽量級のスター対決の流れができ、
現在に至っています。

そして2000年。
再び「伝説の中量級」が甦りました。

バルセロナ五輪金メダル、攻防兼備のスーパースター
ゴールデン・ボーイ、
オスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ、27歳)。

そのデラ・ホーヤに土を付けた
プエルトリコの天才パンチャー、
フェリックス・トリニダード(プエルトリコ、27歳)。

彗星の如く現れた、強打、強気の次世代ヒーロー、
フェルナンド・バルガス(アメリカ、22歳)。

遅れてきた天才! アトランタ五輪金メダリスト、
アメリカの誇るデビッド・リード(アメリカ、26歳)。

この4人を中心にビックマッチが続々登場するでしょう。
そして6月のエキサイトマッチは
この4人が揃って登場します。

第1弾は、いきなりの直接対決!
6月10日(土)午後5時放映
WBA世界S.ウェルター級タイトルマッチ
「デビッド・リード 対 フェリックス・トリニダード」

デラ・ホーヤを破ったトリニダードが、
1つ階級を上げて、ウィテカー、デラ・ホーヤに続く
アメリカの誇る金メダリスト狩りを目指します。
プエルトリコ出身、五輪出場経験のないトリニダードは
この4人の中でも雑草、叩き上げの実力者です。



チャンピオンのリードは
実力者トリニダードを返り討ちにし、
地味な存在から一気に中量級の主役に
躍り出るチャンスです。

階級を上げてトリニダードのパワーが通用するのか?
スピード、テクニック、パワーでまさるリードか?
お互い決して打たれ強くはありません。
このポイントに注目してみて下さい。

第2弾も見逃せません!
6月17日(土)午後6時放映
IBF世界S.ウェルター級タイトルマッチ
「フェルナンド・バルガス 対 アイク・クォーティ」

18戦全勝17KO、中量級随一の攻撃的ファイター、
バルガス。



ロサンゼルスの超不良少年が、ボクシングと出会い
22歳ながら世界の注目を集める存在に。
打倒デラ・ホーヤを公言し、
アメリカの辰吉ともいうべき愛すべきキャラクター。

相手はアイク・クォーティ。
長くWBAウェルター級王座に君臨し、
最強とも言われた選手です。
1999年2月にデラ・ホーヤと、倒し倒されの激闘の末、
論議を呼んだ1-2の判定負け。
しかしアフリカンバズーガは脅威。
デラ・ホーヤをして再戦を避けたともいわれている。

お互いに非常に攻撃的なタイプなので、打ち合いは必死。
バルガスがパワーと接近戦で制すのか?
階級を上げたクォーティのバズーガが再び爆発するのか?
距離的には近くてバルガス、
ちょっと離れてクォーティのペースでしょう。

第3弾はスペシャル!
6月18日(日)午後4時放映
WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
「オスカー・デラ・ホーヤ 対 シェーン・モズリー」

昨年トリニダードとの統一戦で判定負けして、
初黒星を喫したゴールデン・ボーイ、デラ・ホーヤ。
しかし、その敗戦をバネにして、さらに進化して、
再び中量級の頂点を実力で奪いにかかる。

今回の相手は難敵、シェーン・モズリー。
ライト級最強の称号を捨て、
2階級上げて中量級戦争に参戦。
34戦全勝32KO(うち9戦は世界戦)という
卓越したレコードを持つ。
モズリーの魅力は何といってもスピード&連打。
それに抜群のセンスも伴う。

この試合は、2階級上げたモズリーの未知の部分が
非常に重要になります。
「デラ・ホーヤはモズリーのスピードに
 とても対抗できない」
「いや、モズリー有利だ」
現地の声は、私たちの想像以上に拮抗しています。

デラ・ホーヤにとっては、
スピードあるモズリーの動きをどう止めるか?
またロングでの戦いをどうキープするか?
がテーマになるでしょう。
ただし、たとえ接近戦になっても、
デラ・ホーヤの必殺の左フックが当たれば
モズリーも危うしでしょう。

ポイント争いになったとすると、
私はモズリーのスピードが有利に働くと思います。
しかし、1発のパワーでは圧倒的にデラ・ホーヤ有利です。
序盤から的確にパンチを当てれば、
モズリーの動きも自然と落ちて、
デラ・ホーヤ勝利への道は開ける可能性があります。

これらの戦いはまだ序章です。
今後さらに新しいライバルたちが現われ、
「伝説の中量級」は進化してゆくことでしょう。
どうかこの素晴らしい戦いを見て欲しいと思います。

WOWOWスポーツ部
小田真幹

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2000-05-01-MON

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