BOXING
私をリングサイドに連れてって。

『あまりにも、すごい試合だったので、特別編』
〜石井選手よく頑張った編〜


11月21日
名古屋レインボーホール

14日にヘビー級統一王者戦が行なわれたばかりですが、
1週間後の21日に日本でも
世界タイトル戦が行なわれました。

WBA世界S.バンタム級タイトルマッチ
「ネストール・ガルサV.S.石井広三」です。
戦前から打ち合いが予想できそうな好試合だったので、
名古屋に取材に行きました。

結論からいうと、近年マレに見る
非常に素晴らしい試合でした。
劇画のような打ち合いが延々と続きました。
東京では25時30分からの放送で、
見た方が大勢いれば良いのですが・・・。

結果は、12RTKOで敗れましたが、
石井選手は素晴らしい選手でした。
タフでハートがあり、パンチ力も世界レベルというのは
会場に来た人全員が認めるところでしょう。

チャンピオンのガルサは、現役世界チャンピオンの中でも
メキシカンらしく打ち合いを最も得意とし、
常にすさまじい打ち合いで相手を粉砕している、
「本物」の攻撃型選手です。

私も5月にラスベガスで防衛戦を見たのですが、
「とても日本人には太刀打ちできない、強い」
というのが正直な感想でした。
その偉大なチャンピオン相手に、石井選手は
真っ向勝負を挑み、なおかつ、壮絶な打ち合いで
勝負を土俵際まで持っていったのです。
2Rからは度重なるパンチの応酬が果てしなく続きました。
何度かあのガルサをグラつかせ、戸高選手に次ぐ2人目の
日本人世界チャンピオン誕生を予感させました。

しかし10Rから体が立ち始め“危ない体勢だ”
という状況になりました。
それでも石井選手は攻め続けました。
すさまじい精神力です。
11Rまでのジャッジの採点は引き分けでした。
つまり最終ラウンドを取ればチャンピオンになれるのです。
私の採点は1ポイント石井選手リードでした。

運命の最終ラウンド、激しい打ち合いに終止符を打ったのは
石井選手ではなく、チャンピオンでした。
ホリフィールド対ルイス戦でも書きましたが、
勝負はほんの少しの差だったと思います。

石井選手にとって世界は近いようで遠い、
遠いようで近いものでした。
試合を見ていると「ここをこうすれば・・・」という点は
あったと思います。
しかし、細かなことよりは今回の敗戦を糧にして、
全て整えてから、また世界を目指してほしいと思います。
世界レベルであることは間違いありません。

最近の名古屋は元気が良いです。
12月4日のWBA世界ミニマム級に挑戦する安部悟選手も
頑張って欲しいと思います。

石井広三選手、本当に素晴らしい試合でした。
再起を待ちたいと思います。

WOWOWスポーツ部
小田真幹

1999-11-24-WED

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