坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第227回 車で四国遍路に来ています。


こんにちは。
四国の坊さん、ミッセイです。

先日、
東京は品川の高野山別院で、
「心の相談員」の講習会があったので、

建築家、
伊藤豊雄さんの
事務所から独立して、
「白川冨川」(sktk)として活動を始めた、
兄の働く設計事務所を訪れてみました。

いくつもの模型を手にして、
熱心に説明してくれる、
1歳年上の、
兄の話をおもしろく聞きながら、



「一緒にお寺で、なんかやりたいな。」

と頭の中で、
色々なプランを思い浮かべました。

* **

四国に帰って、
近所のお寺の本堂が新築される事になり、
棟上げの儀式に参加してきました。



堂々たる迫力の
様々な材木、

誇らしげな表情の
職人や世話人さんの姿を見ると、

仏教やお寺は、
これからも長い時間、
続いていくんだろうなぁ、
続いてほしいなぁ、
と思いました。

***

四国八十八ヶ所のお寺、
僕の住む栄福寺も、
お遍路さんの季節が訪れ、
連日たくさんの
白装束のお遍路さんが訪れています。



冬の間、
色を失っていた木々が、
いつのまにか、
鮮やかな緑色を見せてくれる、
春の季節が僕はとても好きです。



そんな
気持ちのいい季節を過ごしながらも、

僕は、
お寺の新しい計画にすこし、
行き詰まってしまって、

「これは頭で考えてもダメだな。
 お遍路さんに行こうかな。」

と思い、
車で1番札所から、
お遍路さんを始めました。

今日から、
何泊かするつもりで、
今、徳島県藍住町のビジネスホテルです。

僕が、
お遍路さんの準備をしていると、
母が20年程前に考案して作った、
栄福寺オリジナルの、

「お遍路さんの4次元ポケット」
(名前は僕が今、付けました。)

をくれました。



なかなか便利です。
ローソクや数珠、ライターを入れます。
この商品、再発したいなぁ。

持ってきた納経帳は、土佐和紙製です。



これは結構、
評判がよく、
筆で本尊の名前を書いてくださる、
納経所のたくさんの人に、
「これは、いい紙ですよ。」と褒められました。

今回は僕も、
白い着物の白装束を付けて、
お杖(金剛杖)を持って、
菅笠(すげがさ、スゲの葉で編んだかぶり物)
をかぶって、
できるだけ普通でまっとうな、
お遍路さんをしています。
般若心経の写経も持ちました。
(病気になった親戚が書いたものを奉納します。)

多くのお遍路さんと
同じ衣装である、
白い着物を着て、
菅笠を深く被ると、

なんだか、
四国の土地に、
自分のちっぽけな個性みたいなものが、
気持ちよく吸い込まれていくような、
気分になります。

お経を唱える時も、
納経所でも、
菅笠であれば脱帽しなくていいという、
不文律が四国遍路には存在します。

これは、
その人の立場や病気などで、
顔を見せたくない人への
配慮かも知れません。

四国遍路に関わる
様々な人達に
知り合いの多い
僕に気付く人も今のところいません。

1番札所、霊山寺の
山門をくぐり
僕の四国遍路が始まりました。



まだ、
たどたどしい、
お遍路さんのお経の声を聴き、
自分もお経を唱えてみると、
妙にうまいんです。

そうだな、
僕はお坊さんだもんな。

と変な事に感心しながら、
次の札所へと向かいました。



ミッセイ


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2007-04-24-TUE
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