坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第200回 宇和島に浮かぶ島にて。

ほぼにちは。

ミッセイです。

四国遍路を巡礼するための、
自動車の道と、
歩く人の道(へんろ道)は、
違う部分が結構多いんですが、

栄福寺の近くのへんろ道は、
小川沿いの、
のどかな道で、
僕もたまに散歩します。

その場所にも春が来て、
所々に柔らかい色の草花が咲き始めました。



風にそよぐ麦の美しさは、
見とれるほど気持ちよくて、
風の美しさに見とれることが出来る場所に、
住んでいることは、
すごくうれしいことだと思います。



高野山の大学院の、
通信課程(単位履修生)に入学したことは、
先日ここでも書いたのですが、

実はこれは、
仲のいいお坊さんと、

「今だから、勉強したい事って、
 結構あるんですよねー。」

みたいな話が盛り上がって、

「じゃあ二人で、
 一緒にやろうか!」

という流れになったんです。

そこで、
合格を祝って、
(落ちた人がいるかどうかは未確認です・・・。)

彼の住む愛媛の宇和島で、
お祝い会を企画し、
地元の魚、貝をたらふく食べてきました。

そんなわけで、
宇和島で一泊したのですが、
ここまで来て、
そのまま帰るのも、
なんだか惜しい気がしたので、

地図を見てなんとなく気に入った、
宇和島湾にぽっかり浮かぶ、
「九島」(くしま)に行ってみることにしました。

サイズ的にも、
ちょうど
自転車で一時間ぐらいかければ、
一周できそうなのも、
そそられた理由でした。

というわけで、
持っていった折りたたみ自転車と共に、
九島にフェリーで上陸し、



さっそく海岸線を、
ゆっくりと走っていたのですが、

しばらく走ると、

「鯨(くじら)大師 参道入口」

という何とも、
抗しがたい魅力を持った、
石柱が目に飛び込んできました。



もしこれがデートとかだと、

「おっ、いいねー。クジラ大師って。
 本尊はなんだろう!ねぇ、なんでしょう!!」

とか言うと結構、
気まずい雰囲気になりそうなんですが、
(そんなことはないか。ないと思いたい。)

幸か不幸か、
僕ひとりだったので、
山道を自転車を押して、
登り始めました。

しばらく歩いていると、
拝み込まれた雰囲気を感じる、
お堂があって、



般若心経を唱えた後、
写真を撮っていたら、

住職が出てきてくださって、

「まぁ、お茶でも。」

とお抹茶とおひがし(お菓子)を、
すすめてくれました。

「今日、
 親戚の法事がお寺であるんだけど、
 島の寿司職人を呼んで、
 友達の漁師が釣った魚で、
 お寿司を握ってもらうんだよ。

 よかったら、おいでよ。

 今から一周してきたら、
 ちょうどお昼ぐらいになるからさー。」

というお誘いがありました。

「そんな申し訳ないです。
 親戚の集まりでしょうし。」

と恐縮していたのですが、

「おいでよ、おいでよ。」

と家族みんなで誘ってくださったので、
実は行きたかった僕は、

「お言葉に甘えて。」

という話になりました。


島を一周してみると、
小さな島のいたる所に、
鳥居や、



綺麗に掃除してある
お地蔵さんがあります。



普段は頭で考えてしまうことの多い、

「拝むこと」「仏のこと」「信じること」

なんかが、
にじんでくる汗と一緒に、
自然に体になじんで来るような気がしました。

残念ながら、
用意していた海水パンツの、
活躍できそうなビーチは、
見つけることが出来なかったですけれど。


思っていたより、
小さかった島は、
結構すぐに1周することができたので、

しばらく島を散策した後、
(島の人は目が合うと、
 にっこり笑う。
 独特の笑顔で、
 何かを言いたそうな感じ。)
 
お寺を、

「本当に来ちゃいましたよ。」

と再び訪れました。

そこには、
本当に寿司職人がおられて、



「親戚+見ず知らずの坊さん」

という不思議で楽しい食事会が行われました。



近海でとれたアジや
「もいか」(みずイカ、アオリイカの方言みたい。)
がピチピチのもっちりでおいしかったー。



どうやら法事は、
まだ若い住職の弟さんの、
奥さんの3回忌だったらしく、
弟さんも、

「いい供養になりました。
 ありがとうございます。」

と言ってくださいました。

そして、
一緒に来ていた弟さんの娘さんと、
バスケットボールのパス練習を、
少しした後、
(バスケ部らしい。)

島を後にしました。



帰ってからすこし調べてみると、
言い伝えでは、
このお寺は四国遍路に、
ものすごーく、
かかわりのあるお寺のようでした。
(そういえば今でも伝説に詳しいお遍路さんが、
 やって来ると奥さんが言っていた。)

僕もすこし、
ボーッとしたくなるような気分もあって、
島に行った気もしているのですが、

「まぁ、やりたいことをやる、
 トライするってのは、

 ある意味では、
 一番“楽”な道でもあるはずなんだから、
 
 ここは、ひとつ気楽にやろうぜ。」

みたいなことを、
自分に言えたような気がします。


宇和島の皆さん、
島の皆さん、
どうも、
ありがとうございました。

いつか、また。


ミッセイ

お知らせ。
四国88カ所のお寺が88枚の切手になります。
原画の撮影は「坊さん」の文章の中でも、
何度か登場した三好和義さんです。

栄福寺は11月5日発売の第一集、
20ヶ寺の中に収録されます。
(紅葉が綺麗な秋の風景)

全国の郵便局でも、
通信販売の申し込みが出来るようですよ。

詳しくは、こちらまで。


このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ミッセイさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-05-22-SUN
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