坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第96回 栄福寺周辺、農の話。

ほぼにちは。

ミッセイです。

僕は普段、
基本的に“老人食”のような、
食生活なので、
今回の東京遠征のように、
外食が続くと、
少し苦しくなります。

それは、
僕がケイケンな仏教徒であるからー
というのが、
最大の理由ではなくて、

好みの問題です。

野菜のおひたしとか、
瀬戸内海でとれた、
新鮮な魚介類のあっさりとした料理が、
好きなのです。

スパゲティーと豚まんも、
大好物なんですが。

東京から帰った夜に、
夕飯をまだ、食べていなかったので、
台所にあった、

「“ふきのとう”の佃煮」と、
「はまぐりの吸い物」という、

“ほぼ至福、および黄金タッグ”

で、何日ぶりかの、
“家のごはん”
を、頂いていたのですが、
うまいを、通り越して、
なんか、頭がかるく、
しびれてしまいました。

お恥ずかしい。

ほんっと、うまいよなぁ、ふきのとう。

ちなみに、ふきのとうは、
栄福寺の庭で採れます。



佃煮にするとこんな感じになります。



うまっい!

ふきのとうは、
自然に生えてくるんですが、
白川家の食卓に並ぶ、
野菜のほとんどは、
ここ4,5年で、
なぜか野菜の栽培をはじめた、
父親が育てた野菜です。



畑は8畝
(“せ”、1畝は1段の10分の1で約0.992アール)
とすごく、狭いのですが、
これぐらいあれば、
家族4人が、
毎日、もりもり食べられるぐらいの、
野菜を、作ることができるんだね。

新鮮な野菜は、
とにかく、うまいっ!

さっき、ご飯を食べている時に、

「今まで、どんなの作ったっけ?」

と聞いてみたら、
とんでもないことに、
なったので、
野菜栽培に興味のある方は、
メモのご用意を。
さすがというか、なんというか、
ホント、とことん、だよなぁ。
行くよぉー!

さつまいも、キャベツ、にがうり、
むらさきキャベツ、鉈豆(なたまめ)、ピーマン、
キュウリ、ピーナッツ、ズッキーニ、イタリアンパセリ、
菜の花、大根、まんば、水 菜、みぶな、
人参、高菜、セロリ、行者にんにく、
ネギ、白菜、ニラ、たまねぎ、 しょうが、スナックえんどう、
エンドウ豆、さんじゃくささげ、
隼人瓜、50倍辛い唐辛子
(ピーマンにそっくり、知らずに食べたばあちゃんが、死にかけた。)
普通の唐辛子、ちしゃ、サラダ菜、ブロッコリー、
カモミール(ミッセイのリクエストにより現在栽培中。)
しいたけ、ひらたけ、大豆、ちんげんさい、パクチョイ、
青ジソ、赤ジソ、なす、トマト、おくら、じゃがいも、
あさつき(浅葱、ラッキョウに似てる。)


以上、聞いた通りに書きました。
一部、俗称および、
白川家内のニックネームを含むかもしれません。

なんなんだろう。
この人は。
でも、すごくうまいよ。

食べ物の話をする時の、
家族の人達は、
とても楽しそうです。

ばあちゃんは、
50倍辛い唐辛子で
死にかけた話(比喩的表現です)を、
本当に、うれしそうにします。

この前、明るいビルで、
糸井さんや木村“メリー”俊介さんと、
お話した時に、

「ウチの父親が、農業を、しまくっている。」

話になって、糸井さんは、

「やっぱ、そうなるんだよぉー。」

と、膝を打っていました。
なんでなんだろうね?

木村さんが、

「生き物の生涯、全部、観られますもんね。」

という風な事を言ってたので、

「やっぱ、そのへんもあるの?」

と、聞いてみると、

「わかんない。
 おいしいから。

 スポーツフィッシングはしない。」

ということでした。

今日の話は、

「思いを想像して、スケッチしてみる。」

という、東京で観た、
ある建築家の展覧会から、
ヒントを得た、

「今は実現しなくても、考えてみる。」

という話になるはずだったんですが、
なんか、長くなってきたので、
今度、書くことにします。

代わりに、栄福寺周辺の
“農”の話を、もうひとつ。

僕が、
檀家を廻る時、
いつも、2杯、お茶を飲む、
老夫婦の家があります。

「おっさん、もう一杯、飲んで、
 特別なお茶だから。」

と、奥さんが、言ってくれます。

「どうして、特別なんですか?」

「これはね、何十年も前に、
 “農業留学生”で静岡から愛媛に、
 ミカンの栽培を勉強に来ていた、
 高校生だった子が毎年、
 手紙と一緒に送ってくれるお茶なの。」

「ふーん。そうなんですか。
 ここに寝泊まりしてたんですか?」

「そうなんだよ。
 “あれが、農家の僕の、原点です。”
 だって。
 なんか、恥ずかしいよ。
 おっさん。

 それでね、最近、
 その時以来、初めて、
 その人、が愛媛を訪ねてくれたんだ。
 
 うれしかったな。

 今度は、こっちが、
 静岡に訪ねていくのが夢。

 いつでも、来てって、
 言ってくれてるんだ。いつも。」

食べることを、作るって、
やっぱり、なんか、
いろんな話が、
詰まってそうです。

浜松で奮闘中の(「ボーッした青春」―浜松修行篇―)
ゆーないとさんも、がんばってくださいね。
(もちろん、お会いしたことも、ないんですが。)

遠く愛媛の農村からも、
ぼーっとした話を楽しみにしています。

ミッセイ

2003-03-12-WED

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