坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第78回 じいちゃんも一周忌


ほぼにちは。

つるつる坊主には、
ちょっと厳しい季節になってきました。

ミッセイです。

坊さんの「つるつる度」
というのも、宗派によって
だいぶ違うような気がします。

僕は、けっこう「つるつる系」ですが、
禅宗関係の方々は、
もっと「つるつる」が多い気がします。

浄土真宗の人達は、
「かなり長め」が多いです。
普通の格好をしていたら、
坊さんだと、わからない人も、多い。

チベットの坊さんは、
「ベリーショート」
ぐらいの人が、多いなぁ。

あれは、寒いからですね。
たぶん。

ところで、
栄福寺の先代住職である
じいちゃんの「一周忌」が、
親戚や地元の坊さんを集めて、
執り行われました。

その準備のために、
ぱたぱたと動いていたわけですが、
その時、
僕がいつも、自然と
頭に思い浮かべていたのは、

「じいちゃんなら、こう思うだろうなぁ。」

ということでした。

そんな時、

その人は、まだ
この世の中にいるんだなぁ、
と思いました。

「死んだ人をおぼえている。」

ことが、

「生きている、
 僕達にできる1つだけのこと。」

だとしたら、
こういうことなのかなぁ、もしかして。
と考えたりしました。

実は法事の1日前、
とても個人的で、
とても大切な予定が入っていました。

後から、法事のスケジュールが
決まったんですが、
僕は、2日前までに、
準備をばっちりしておけば、
出かけられる。
と考えていました。

でも、
僕は直前になって、
栄福寺に残って、
前泊する人達を、
迎えることにしました。

うちのじいちゃんは、
びっくりするぐらい、
「もてなし」を大事にする人だったんだ。

僕は、そういう性格では
ないと思うけれど、
じいちゃんの一周忌には、
自分がそうすべきだと思いました。

じいちゃんが、
「いよいよ悪い」
ということになってしまって、
徳島の親戚が病室に、集まってきました。

集まった親戚に開口一番、
じいちゃんが言った言葉は、

「ミッセイ、
 この近くにうまい、
 うどん屋があったじゃろ?
 みんなを、そこにお連れせんかい。」

という言葉でした。

死に近い人の言葉とは、
僕には思えませんでした。

もちろん親戚の人達は、
辞退されて病院で食事をとりましたが、
じいちゃんは相当、不満そうでした。

そして、大勢の人達が
病室に集まって、
個室の入り口付近まで、
人でいっぱいになりました。

それを見て、
全員が入りきれていないと、
勘違いしたじいちゃんは、

「みんな、ワシのために、
 集まってくれた人達じゃ。
 みんなに、席を用意して、
 みんなに、座ってもらってくれっ!」

と大声で叫びました。
その時、じいちゃんは
涙を流して、泣いていました。

そんな、
じいちゃんを思い出して、
自分ができる事を、考えました。

「先代住職なら、こうしただろうな。」

というのは、僕にとって
答えではありませんが、

すばらしい
アドバイスのひとつとして、
生きている間、
一緒に生きていこうと考えています。

ミッセイ

2002-10-28-MON

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