坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第44回 坊さん二人でNOVAへ。

ほぼにちは。

密成です。

みんなは“四国遍路”っていうと
なんだかホンワカしたイメージを持ってるみたいだね。
まぁ、大部分が実際そんな感じなんだけど
四国遍路でも犯罪はあったりします。

近くの札所の駐車場で
お遍路さんの車がハンマーで
車の窓ガラスを割られたようです。
車上荒らしですね。
みなさん気を付けて下さい。
これは、世間では結構オーソドックスな犯罪でしょうが
もっと“お寺”っぽい“犯罪”もありました。

いかにも普通のお遍路さんが
納経所でこう言います。
「実はお財布を、落としてしまいました。
 帰宅次第すぐに郵送しますので
 電車賃を貸していただけませんか?」
ここで、お坊さんやお寺の人が
「どうぞ、どうぞ。困った時はお互い様ですから。」

もし、みんながギャラリーとして
こんな場面に遭遇したら
「いいなぁ、四国って。日本人は何かを忘れていた!」
などと、鼻をふくらませるのではないでしょうか?

実はこの人
近くのたくさんのお寺でこれをやってたんですね。
もちろん郵送なんかしない。
アイデア犯罪です。
捕まったと思いますが。

先週、
四国霊場55番の「南光坊(なんこうぼう)」さんの
若さん(副住職)から電話がかかってきました。
年が近くて、お寺も近いので
イロイロ御世話になってるんです。

「白川君、ノバ行かない?」

「のば、ですか?」

「そう。えーっと“駅前留学”!」

「あーっ」

なかなか唐突ですが
誘われないと行く所でもない気もしたし
体験コースというのが、あるらしいので
行くことにしました。

外国語大学出身の女の子と
歩いている時たまたま、ノバがあって

「ゼッタイ、こういうので、英語勉強するの無理よー。」

「オレもそう思う!前から思ってた。」

なんて言ってたんですが。
はは。

とりあえず
ペーパーテストを受けて(レベルチェック)
いきなり外国人からインタビューを受けます。

これに備えて
とりあえず一階の受付の人(日本人)から

「“坊さん”って英語で何て言うんですか?」

って聞いてたんだ。「マンク」っていうらしい。ふーん。

「ヘイ、ユー!?なこたぁ、言わないが。)
 趣味はなんだい?」
 (一応会話は英語で行われている、いちおう。)

「イラストとか写真が好きだ。
 ネットオークションも好きで
 このシューズはニューバランスの
 イングランドモデルなんだぜい。」
 (ここで靴を脱ぐ)

台本通りだ。我ながら、かなり嘘臭い。
嘘はついてないが、なんか嘘クサイ。

「仕事は?」

「マンク!マンク!!」

「オーーーー、エクセレント!!
 ユーは四国遍路って知ってるか?」

「僕んちはナンバー57だ。」

「オウ!じゃあ、行ってるって、オレ。
 こんな形の寺だろう?」
(なかなか正確に境内図をノートに書いてくれる。)

「そう、そう。」

「なんで、坊さんが英語を勉強するんだい?」

「外国人のお遍路さんもたまに来るし
 (あんたみたいな。)
 外国のミュージシャン、RADIO HEADとかBECKが
 何を表現してるか、もっと知りたい。」

まぁ、そう言ってみると
英語って少し興味あったのかな?

「えーーーーーークセレントっ!!
 それは、いいことだ。ゼッタイいいことだ。
 また会おう。そう、また会おう!」

とテンションの高い方でした。

何回か授業を受けてみたんだけど
恐ろしいほど色んな事忘れてるよ。
ほんと中1レベルもヤバイ時続出!!



行ってみることにしました。

いいんだろうか、こんなに安易で。
ただでさえ忙のに。

とりあえず
大学の同級生が
ロスの真言宗のお寺に留学(?)してるので
会いに行くのが目標かな?
いつか。

ちなみに僕は
時々、外国人に間違われます。

「アジア限定」ですが。

中国から帰る機内の中で
「外国人入国用カード」を何食わぬ顔で
渡されたので、筋金入りです。

修行中は指導員の人から

「白川君ってチベットのナマクサ坊主みたいだよね!」

って言われました。

思っていることを、全部言う人って
結構嫌われますよね。

『ライアーライアー』
(でしったけ?ジムキャリーの映画、
 思ってることを全部言ってしまう。)
じゃあるまいし。

ところで
『ライアーライアー』で
「野茂のスライダーだって〜」みたいな会話
が出てきたと記憶してますが
野茂さんはスライダー投げないですよね。
英語特有の表現なのかな。
それとも、投げるんだっけ?

こういう風に何年も前の映画について
ネチネチ言う人も
わりに嫌われます。
はい。すいません。

ミッセイ

2002-03-29-FRI

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