坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第32回 トイレ巡礼 パート2

前回までのお話

大工さんに「バイオトイレ」の事を
話した密成は、大工さんと共に
「バイオトイレ」のある
「岩屋(いわや)寺」さんを訪れた。

ほぼにちは
ワクワク
密成です。

トイレの話の続きであります。

岩屋寺では大西住職が直接
トイレの説明をして下さりました。

とても温厚で親切な御住職でした。

コーヒーごちそうさまでした。

さて「バイオトイレ」とはっ!

まず機械室みたいなところに
タンクみたいなのがあって
その中でオガクズと、糞尿が混ざったものが
ぐるぐる回っている。
(ビジュアルでは
「あっ、ウンコ!」って感じでは全然ないです。
 「あの黒っぽいU.R.O.(未確認回転物体)はなに?」
 という感じ。)

でも全然匂わない。

「臭くないですね。全然。」

「そうなんだよ。びっくりしてる。」

「でも寒い季節にバクテリアさんは
 亡くならないんですか?」

「ははは。そんな時は、このスイッチ。」

“ヒーターランプ”が赤く点灯する。

おお。やるぅー。

「どういった作業が要求されるんですか?」

「定期的に新しいオガクズを
 このタンクの中に入れるんだよ。
 3分の1ずつぐらい交換するの。」

「なにかトラブルはありますか?」

「今のトコないけど、1ヶ月も経ってないからね。」

「どうして、このトイレを選択されたんですか?」

「やっぱり、山のお寺にとって
 豊富な“水”っていうのが
 一番の課題なんだよ。

 このトイレ“水”いらないからね。」

「そうですか!
 ホントにぴったりですね。」

と、びっくりしてしまった
栄福寺部隊ですが
結論的には「バイオトイレ」は
選択しませんでした。

その理由は
1、 経済的問題
  (ランニングコストはバイオの方が安いけど)
2、 機械室の関係でトイレの規模が大きくなってしまう。
  (スペースの問題)
3、1年を通したお寺でのケーススタディーを
  業者さんの説明ではなく実際に使用した
  「中立的な立場」からの情報収集が難しそう。
  (公的施設にも導入済みということですが、
   それは“信頼”とは別の話であることを
   僕たちは“ケーススタディー”している。
   残念なことに。)

といった3点からです。

でもこの技術
一般化する可能性大きいと思いますよ。
すっごい環境にいいし。
なんせトイレの中で“食物連鎖”が完結してるもんね。

じいちゃんの時の経験から言わせてもらうと
「入院患者」用のタイプは特に注目できると思います。
(そういうのもある)

匂いというのはホント気になるもんだから。

しかし、この商品「通販生活」っぽいよね。
業者さんもカタログハウスさんも
要リサーチじゃないでしょうか?
余計な御世話でしょうが。

条件さえ揃えば栄福寺としても興味大だったんですよ。

そんな訳でバイオトイレは断念しました。
でも実際足を運ぶと気分もスッキリ爽快です。
(忘れてたけど、排便もしてみればよかったなぁ。)

でも、今回思ったのは
やっぱり「お金」のことは
“やりくり”の力をつけたいね。

今は僧侶として憶える事が多すぎて
なかなか、そっちまで手が回らないけど。

「経済的にムリ!」

っていう場合、今は
返す言葉がないもん。
やっぱりなんにつけても、「お金」って
登場してしまうんだよなぁ。

真言寺院だから「曼荼羅」があるべきだ。

便所の近くに将来的に大きな木があると素敵だと思う。

不自然なぐらい大きいテーブルがあると
人が集まる空間になる。

結局全部、お金にも繋がる話です。
「欲しい、やりたい」というのは一番簡単だし、実際

「言うのは、一番、簡単。」とも指摘されます。

だから、それに伴う苦労とか、調整力、会計力ていうのも
自分が鍛えるべき事だろうと思います。早いうちに。

いつかは僕が背負う事だしね。

だから最近の
「お金の話ってケッコウ大事だぜ。」
っていう風潮というか世の雰囲気は
おおいに“アリ”だと思うんだけど、

「金は金じゃん。
 最重要なトピックじゃないよ。」

っていうスタンスも僕は同時に大切にしたいです。

「“坊さん”っぽいなぁ。」って思うかもしれませんが
これは、父から学んだスタンスです。

父は子供の頃から自分の父親が体が悪かったので
決して金持ちじゃあ、なかったと思います。

でも

「金がなくなったとしても、それは“笑顔”とか“幸福”
 とは別の話だよ。」

ていう雰囲気を僕が小さい頃から
今に至るまで常に醸し出しています。
(直接は言わない。)

それは、お金のもう一つの大切な側面として
とっても重要な話だと思うんだよね。

慎重なバランス感覚が必要。

まぁ、とにかく

便所の話ですが
さらなる経済効率、スペースを考えると家に
接着させて作るかもしれません。

最初のイメージとは、だいぶ違うけど
今、栄福寺に求められてるのは
「いいトイレ」ではなくて
「トイレ」なのかもしれない。
(一応今もあるんですが、すごい古い)

どうなるかは、わからないけれど
考えることは、やめません。

僕にとって
「我、思う、故に我、坊さん」
という職業観だから。

これは“使命感”ではなく
“ハッピー”についての話です。

ところでみんな
洋式便所と和式便所どっちが好き?

差し支えなければ
性別、年齢、理由を添えて
密成までメール下さい。

トイレについての意見もあれば。

特に女の子のことは解らない事も多いです。

さらに言えば「おばあさん」のことは
もっと、わかりません。

すいません。
お遍路さん、もうちょっと待ってくださいね。

ミッセイ

2002-02-22-FRI

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