坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第15回 栄福寺のお正月

あけましておめでとう!!

密成です。

今日はお寺のお正月を実況中継!
(といっても例年の話ですが)

しかし、我が栄福寺は正月といっても

特に何もしません。

うわっ、完結した!

でも、都会に住む人にとっては

珍しいこともあるかもしれないので
ぼちぼち、書いてみます。

まず大晦日の朝か、その前日に
除夜の鐘の準備をします。

といっても
ロウソクのカスを溜めていたのを

鉄で出来た小さなドラム缶?
のようなモノに入れていくだけです。

これは除夜の鐘を突きに来てくれた人達が
寒くないように火を焚くためです。

そして
11時30分ぐらいから

「ぼちぼちかなぁ?」
という雰囲気が流れ始めた頃に

近くの寺から鐘の音が聴こえてきます。

「おっ、出遅れちゃ、イカン、イカン!」

とか、じいちゃんが言いながら
最初の一発目は住職が突きます。

後は家族が突いたり、来てくれた地元の子供なんかで
順番に突きます。

お父さんも、亡くなったじいちゃんも先生だったので
ちょっとした「同窓会」みたいにもなって
教え子さんが

「キャー」とか「ウオォー」とか言いながら
鐘を突いてくれます。

なかなか、いい「おまけ」付きの同窓会ですよね。

別に知り合いじゃなくても
その時に、申し出れば
誰でも突けますので、来年からぜひ!

しかし、ケッコウ大変なのが
「108回」を数えることです。

栄福寺オフィシャルカウンターは「セイコー」です。

ごめん、うそっ。「ばあちゃん」です。

だから、ばあちゃんは境内には出てこずに
こたつに入って、「紅白」を音を消して眺めながら
(今年は「猪木軍vsK1」かもしれませんが)
白い紙に「正」の字を書いていってカウントします。

でもこれだけでは不安なので、
お父さんもストップウォッチなんかを使って
外でカウントします。

“危機管理”ですね。

その連絡役はだいたい僕で

「ばあちゃん!今、何回?」

「キュージュー ヨン!」

「お父さん!!いま94でOK?」

とか言って回ります。

でも、たまぁーに

「えっ、93だよ」

なんて事もたまにあって困ってしまいます。

これは子供とかが勢い余って
連発してしまってしまうことから
発生したりする事態です。

その時の最終決定権はやっぱり住職です。

「さっきのは、ナシ!」

年によってはお母さんが甘酒を作って
お守りと共にみんなに、振る舞います。

僕は除夜の鐘の後
よく、兄と山頂にある神社に行って
(明治時代まで栄福寺と同じ場所にあった。)
お参りします。

こっちは人が一杯いますよ。

そして
年が明けて元旦の朝
大晦日の夜に「しめなわ」を結んだヤカンに
入れていたお湯(若水)を使って
お茶を飲みます。(福茶)

続いて
家族が集合して爺ちゃんが
暦を見て方角をチェックして
今年の神様を迎え入れます。

洗米の上に松を立てて。

この時はケッコウ、フランクな会話が行われて

「やや、神様、今年もどうかよろしく。」
「みんなが、元気でありますように、
 どうか、ナニトゾ!」

とか普通に話しかけます。

そしてみんなが、
じいちゃんにお酒をついでもらって飲みます。
(僕はコレでアルコールに目覚めた。)

でもそんな日でも「お遍路さん」は来られるので

呼ばれると誰かが納経をしに行きます。


そんな感じです。

今年のじいちゃんの役目は僕なので

がんばりまっせ!


今年が僕とみんなにとって
素敵な年になりますように。

府頭山 密成 敬白

2002-01-11-FRI

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