『バカドリル』を知ってますか〜? ふたりのマンガ家さんいらっしゃ〜い。


第4回 『バカドリル』から『新しいバカドリル』へ。


── でもやっぱり、『バカドリル』以前以後って
流れとして、あるような気がするんです。
似た本もたくさん出たじゃないですか、この後って。
タナカ そうですね。
── 笑いの種類としても影響受けてるようなものが、
いろいろ出てましたよね。
天久 うん、けっこう言われましたね。
ギャグマンガのマンガ家で、
影響受けた子も多いと思うんだけど、
芸人さんとか広告関係の人が
よく持ってるんですよ。
── あー。
天久 で、それはやっぱりこのフォーマットが
マンガじゃないからかなと。
あと、読んでると
自分も考えたくなるな
って、
と思うんですよ。
だからそういう意味で、
マンガとはまた違う形の装置として
機能してるのかなあと、思いましたけどね。

── 読者としても、
マンガとは思ってないですね、やっぱり。
天久 でもまあ、ふたりともマンガ家だから、
「マンガの新しい形を」っていうのは、
途中から思い出したんですけどね。
── 絵は、おふたりで、描いてらっしゃるんですよね?
天久 僕が描いてるものは‥‥
タナカ ありますよ。
── そこね、結構知りたいんですよね。
どういう分業がされていたのか。
タナカ 例えばね、ここ、僕ノータッチ(笑)。


『バカドリル』より

唯一ここだけ描かしてもらった。


『バカドリル』より
── のびのび、たのしそうに描いてありますね(笑)。
天久 ほんと、僕はまったく描いてないです。
言ったことを、カツキさんが全部やってくれる
っていうのが嬉しくて。
「ここ、面白いの描いて」って言ったら
面白いモノ描いてくれますからね。
タナカ これってマンガの形式でいうと、すごい古い、
昔のマンガの形式なんですよね。
── と、いうと?
タナカ コマ割以前の、北斎とかの頃のね。
天久 北斎漫画です。
タナカ フォーマットとしては
読む人が、すっと入っていける形ではあるんですよ。
「絵」と「文章」だからね。
── マンガにある、
右から左に、無理矢理こうやって読め。
っていう方法は、
後でできたものなんでしたよね、コマ割とかって。
タナカ 映画みたいに、時間の流れを見せるのが「マンガ」
ということになったけど、昔はちがった。
『バカドリル』は古い形のマンガなんです。
時間がほとんど止まった状態なんだよね。
天久 そう、時間の表現とかをあえて放棄してる。
だからギャグのカタログなんです。
タナカ 読んだ後と、読む前と同じ時間。
ずっと3時だから。

天久 ずっとおやつの3時。
── で、まずはその『GOMES』が終わると同時に、
『バカドリル』は一応、終わったんですよね?
タナカ 『GOMES』のインターネット版っていうのも
ありましたけど、基本は止まってますかね。
文庫版とか出る度に、描き下ろしたりはしてたんだけど。
── どれくらいの期間で、
今回の『新しいバカドリル』のネタを作ったんですか?
タナカ 実は、2000年に入ってちょっとして、
またやり始めてるから、あんまり止まってる
って感じでもないんですよ。
── えーっ!
じゃあ、ずっとやり続けてたんですか?
ほぼ、止まらずに?
タナカ そう。
たまるのに時間がかかったんだけど。
久々にやった、新しい『バカドリル』じゃないんだよね。
── へぇ〜。じゃあ、もう、
ライフワークみたいな感じなんですか?
天久 それは大袈裟ですけど、文庫化のたびに
ちょっとした書き下ろしもあるし、
「ブッチュ君オール百科」ってバカドリルから派生した
本も作ったりして。
意識の中ではやっぱり、ずっとバカドリルのコンセプトが
続いてたんです。
なので、
「キチンと新作をつくりたい」
という気はあって。
オリジナルはもう十何年も前のものだから。
で、今回はいろいろ事情と、タイミングが重なって。
タナカ あとね、すごいね、描きたいんだけど、
全然依頼がないんですよね
、そもそも。
── (笑)。
タナカ いつでもやるつもり、できてんのにね。
で、ネタもあるのに、全然ないんですよ。依頼が。
── じゃ、この『新しいバカドリル』も
自分たち発ですか、結局は(笑)。
タナカ そう(笑)。
みっともないぐらい、自分発信。
── (笑)。
タナカ いい大人なのにさぁ。
いい加減、発注してよ〜。
天久 パクリはいっぱい出ましたけどね。
── くやしいですねー。
で、まあそれが今回、上下巻の2冊になったと。
天久 はい。
── タイトルについてる「新しい」って‥‥何でしょうか?
タナカ 世紀が新しくなったよ。
── え?
タナカ 世紀。
21世紀になりましたからね。
── それ、周りの話ですね。
自分たちじゃなくて時代の話。
タナカ ほんとだ。
天久 前に比べて「時期」が新しい。
── 時期が新しい(笑)。
「新しい考え」とかっていうんじゃなくて、
いちばん「新しく」作ったという意味の?
タナカ 新刊というかね。
そういう意味で、『新しいバカドリル』。

── ええぇ〜〜〜っ!?
  (続きます!)



今日の立ち読み『バカドリル』

『新しいバカドリル』の中から厳選したものを、
少しずつ掲載させていただくことになりました。




夏休みの自由工作(『新しいバカドリル(上)』より)

タナカ:
自分で効果音を作ってみよう。っていうやつですね。

天久:
これね、壮大なオチがあるんですよ〜。




2008-11-25-TUE



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