青山分校、開校!

これまでも、糸井さんには
何度も無理なお願いをしてきたけれど、
今度のがいちばん図々しかった。

青山にできた新しい糸井事務所をはじめて見るなり、
僕はすっかりそこが気に入って、なんと
「うん、ここは芸術人類学研究所の
 青山分校にまことにふさわしい」と
思ってしまったのである。

芸術人類学研究所で研究したいことは、
人の心のいちばん深いレベルで働いている、
ラジカルな心の活動である。
研究所のある多摩の大地には、
「タマ(スピリット、霊力)」は
みちみちているけれど、
それが世界の表面にあらわれてくるのは、
やっぱり地理のさきっぽにあたる
「岬」の部分でなければならない。
そこでは、経済や流行や先端の知性をとおして、
人の無意識がはげしい力の放出をおこなっている。

青山は東京のまんなかにありながら、
まさにそういうラジカルな「岬」であり、
多摩でじっくりと時間をかけて
鍛え上げた思想の威力を試してみるには、
うってつけの土地。
そこに糸井さんは事務所を開き、
うっかり僕をそこに招き入れてしまったのだ。

糸井さんは、今度も僕の無理なお願いを
聞き入れてくださった。
こうしていよいよ青山分校の開校である。

僕はいま、すっごくはりきっている。





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