あきんどゴコロ

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うちの会社に来ていた
大手生命保険会社の外交員のおばさん
Kさん。
はっきり言ってトロかったです。
説明は下手で答えられない質問をされると
おろおろするし、押しは弱く、
最初は世間話一つ満足に出来なくて、
たまたま他の生保の外交員さんと
事務所で鉢合わせすると
気後れしてそそくさと帰ってしまったり、
契約なんて取れないどころか、
頼りなくて相手にされてませんでした。

だけどKさん、
諦めるって事を知らない人で、
契約が取れなくても、
毎日毎日通って来て飴を配ってました。
だんだん時間が経って性格が見えてくると、
これがまた保険外交員らしからぬ
ウソの付けない人で、
おまけに凄いお人よしなんです。
若い社員に
「定期を買いに行く時間がない」
って言われれば、買ってきてやり、
その他買い物を
代わりに行ってあげるなんて序の口、
朝一からコンサートのチケット取りに
借り出された事も。
それもお金は全て立て替えてあげてても
自分でなかなか催促出来なくて、
私の方が心配して、頼んだ人に
「さっさと払いなさいよ」
って注意したり。

こんなだから自分に有利な保険に
誤魔化して契約させるなんて絶対出来ない。
そのうちだんだん信頼されるようになって、
一人2人と契約するようになりました。
その後、これ以上うちの部で
契約数を延ばすのは難しくなってきても、
毎日必ず1回は顔を出す律儀な人した。

で、阪神大震災の時の事。
会社は大阪駅の近くだけど無事で、
社員にも怪我はなかったものの
電車は止まってるし、
家が全壊した人はいるしで、
ばたばたしてて
Kさんが来ない事にも
気が付かなかったんですが、
地震から3日ほど経った昼過ぎ、
ひょっこりKさんがやって来ました。

話を聞いてびっくり。
Kさんの家は神戸の三宮駅近く
(阪神地区の人なら
 ココで仰天するでしょう)
阪急電車の駅舎が全壊したりして
一番被害の大きかった地区の一つです。
「うちの家は建て替えたばっかりで、
 全然大丈夫やよ。
 けど電話は掛からへんし、
 怪我したり病気の人が出て
 連絡取りたい人が居てたら
 あかんから来た」
とニッコリ。
えー、来た? 来たって簡単に・・・
電車が動いてる駅まで何時間かかったのか、
瓦礫の間をずっと歩いて来たのです。

それからもKさんは
3日に一度やってきました。
「やっぱり毎日はしんどいからゴメンね」
って、そんな
他人の心配してる場合じゃないのに、
なんて律儀な人だろうと
ますます信頼されるようになりました。
その後、家庭の事情で
外交員を辞めるまでの間
(最初からだと10年以上)
うちの会社の担当でしたが、
最後まで説明は下手で、
押しは弱かったけど、
Kさんの保険の契約数は
うちの社内では断トツになりました。

もの凄く長くなってしまいましたが、
ばりばりのやり手おばさんばかりじゃない、
こんな保険外交員さんもいるのを
知って欲しかったんです。
(大阪のやっちゃん)

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