アジオ、アジコ、アジノモト博士
天久聖一の味写入門

第106回 味写を集めよう!(その90)



博士
諸君!
あの名曲「おふくろさん」が
大変なことになっとるぞい!

アジコ
なんでも冒頭に勝手に歌詞をつけたってことで、
作詞家の先生がオカンムリのようね。

アジオ
勝手に菓子を?!
和菓子? 洋菓子?

博士
ふむ!
歌う前にそんなに菓子をほおばっては、
さぞ歌いにくいじゃろうな。

アジコ
アホか!
その菓子じゃないわよ。

アジオ
じゃあ、いったい冒頭に何をつければ
許してくれるんだい!

博士
一発ギャグはどうじゃ?
インスタントジョンソンの
「お疲れちゃ〜ん♪」のバリエーションで
「おふくろちゃ〜ん♪」とか

アジコ
余計叱られるわい!

アジオ
もっと真面目なメッセージは?
イントロで必ず「北方領土を返せ!」と叫ぶ!

アジコ
深刻過ぎるわよ!

博士
落語みたいに枕話をすればよい。
嫁姑問題とかをさりげなく織り交ぜて‥‥

アジオ
いっそ枕詞は?
おふくろさんの枕詞と言えば
「たらちね」だよね?

博士
じゃあコマネチ!のポーズで
「タラチネ!」は?

アジオ
それだっ!

アジコ
それだじゃないわよ!
なにもいらないのよ! 冒頭には!

博士
とりあえず作詞家先生の
耳毛は凄かったな‥‥

アジコ
では、おふくろさん問題の円満解決を祈りつつ、
今週の味写を紹介しまーす!

アジオ
まず一枚目は、H・N
華さんの作品でーす!

味写No.214「ドラえもん電車」
写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。


アジコ
投稿者が修学旅行で撮影した
一枚だそうです!

博士
ドラえもん車両をバックに走る
オジサンがダンディじゃな。

アジオ
胸にさした赤い羽根が
いい味出してるね!

アジコ
旅立つ恋人を
引き留めようとしてるみたいね。

博士
別れを意識することで、
やっと自分の気持ちに正直になれたんじゃろうな。

アジオ
その愛の言葉を伝えるために、
全力でここまで走ってきたんだね‥‥

アジコ
でも途中で募金もしてたのね。

博士
‥‥優しい男なんじゃよ。

アジオ
しかし無常にも電車は出発!

アジコ
車窓に映った彼女の姿は
どんどん小さくなっていく!

博士
オジサンの横を
手を振ったのび太が追い抜いていく!

アジオ
彼女との別れのはずが、
のび太との別れになっちゃった!

博士
去りゆく電車にオジサンが叫ぶ!

アジオ
のび太のクセに生意気な〜!

博士
以上、妄想ドラえもん
「のび太のさよなら銀河鉄道」じゃ。

アジコ
それにしても修学旅行の思い出が、
見知らぬオッサンのこの写真とは‥‥

博士
しかしこういう細部から浮かぶ
旅の思い出もあるはずじゃ。
味写はそういう記憶を
よみがえらせる装置でもあるんじゃぞい!

アジオ
赤い羽根のおじさん!
クダラナイ思い出をありがとう!
では次の味写です。

アジコ
お次はH・N goldfishさんからの
作品でーす!

味写No.215「梅園」
写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。


アジコ
まあ!
美しいモノとそうでもないモノが
一枚の写真に!

アジオ
うん!
にぎやかなモノと寂しいモノが
一枚の写真に収まってるね!

博士
しかしどちらも自然じゃよ。
花を咲かせる梅の木の自然なら、
薄れゆく頭頂部も自然。
ここにはふたつの自然が
なんのてらいもなく写し出されておる。

アジコ
そうね。
この作品はシンプルであるがゆえに
奥深いメッセージを感じるわ。

アジオ
諸行無常、万物流転、栄枯盛衰‥‥
難しい四文字熟語がどんどん浮かんでくるよ。

博士
どうしても薄毛の悩みは暗くなりがちじゃが、
この頭頂部は逆に清々しいな。

アジオ
満開の花と青空に負けない存在感があるよ。
この景観に臆することなく
参加してるこの頭頂部に、
ボクは敬意を感じるよ。

アジコ
同感だわ。
この写真を見ているだけで
丘から吹き下ろす風を頭頂部に感じるもの。
禿げにくい女性の頭が憎らしいくらい!

博士
よく見ると頭頂部の脇に
こちらを向いているオッサンがいるな。




アジコ
咲き誇る花に囲まれて、
まるで妖精みたい。

博士
こちらに向かってなにか言ってるように
見えるぞい。

アジオ
「ボクの姿が見えるのかい?」
って言ってるんだよ。

アジコ
この妖精は心がキレイな人にしか
見えないのよ。

アジオ
手前の男性が薄毛じゃなければ、
見えなかったのかも知れないね。

博士
頭髪は人の素直な心を
覆い隠してしまうのかもしれん。
人は禿げることではじめて
妖精を見ることが出来るんじゃよ。

アジコ
今週はメルヘンチックなオジサンを
たくさん見られたわね。

博士
味写は中年の夢が
支えているのかもしれんな。

アジオ
これからも味写を通して
いろんなオジサンに出会いたいね!

2007-02-25-SUN

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